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俺がただ竜を殺すだけの物語 第三章  作者: M.TOTTORI


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第51話 昔の事

艦橋への扉を潜るとそこにはレイを含め何人もの狩竜人が居た、J・Jにシンディ、フランシスなど、正直今回の面子を見ると、俺の初狩りの為に比較的簡単な竜を狩るのでは無く、かなり困難な竜を狩れるだけの面々である。

レイの言うちょっと強いって言うのが、俺にとってちょっと強いでは無く、明らかにレイにとってちょっと強いのは、俺に対する期待からなのか、単なる意地悪なのかはわからない。

ただレイとJ・Jとフランシスの後ろに立ち、後方にはシンディが控えているとなると、ある意味過保護すぎるほど過保護にされているとも言える。


「全員揃ったようだな、どこに向かっているかがわかっている者は、何を狩るのかわかっていると思うが、今回の狩猟対象は始祖の竜と言われる、原始竜アンドリューだ、人類が初めて対峙した竜であり、初めて退治した竜でもある。アンドリューを倒した事により竜が狩れる事がわかり、そして船が空中に浮かぶ事が出来るようになった。俺達狩竜人にとっては一番縁の有る竜であり、今でも難関種として知られている竜でもある」


レイの言葉で、何の竜を狩るのか予想が付いていた人たちからもざわめきが起こった、俺は確か前に本で読んだ事が有るぞ、空を飛び回る種類だから浮遊靴が必須で、甲板に縛り付けるのは困難な為に狩竜人船で追尾しながら矢を射かけて飛行速度を落としてから、俺達剣士が浮遊靴で順番に斬りかかって狩るのが一般的だったかな。

今でこそ浮遊靴と狩竜人船と性能の良い狩竜人武器が有るから、狩竜人にとって狩れる竜として分類されている。

しかし、アンドリューを初めて狩った人たちは、高速で飛び回る竜に当たりもしない矢を射かけ、地上に降りて来たと思ったら、その硬い鱗に剣は弾かれ、退治をするのは不可能だと思われていたのも頷ける。

いったいどれだけの人々の犠牲の下に初めて狩る事が出来たのだろうか、本には多数の死者としか書かれていない数多の名も無き狩竜人たち。

そしてそれから何頭のアンドリューが狩られてのだろうか、俺達が竜を狩れるようになったのだから、アンドリューもまた、狩竜人船を狩れるようになる日が来るかもしれない。


「狩り場へ着いたらアンドリューに見つかるよりも先に見つける事、それが出来れば狩りの半分は成功だ」


という事は、先に見つかってしまったら狩りはさらに困難になるという事か、そこはシンディの眼に頼るしか無いかな、ヘレナも助力出来れば十分だろう。


「狩場に近付いたらまた館内放送をするから、それまでは自由にしていてくれ。それでは、一旦解散」


部屋へ戻る前にシンディの前を通ると、シンディはちらっとヘレナの方を見て抱き着こうとしてきたため、その腕を巧みに躱すと、


「あら、もう私には捕まえられなくなっちゃったのね、昔はシリルの方から抱き着いて来てくれたのに」


「そういう嘘は止めて下さい、僕から抱き着いた事なんて・・・、無いですよね」


「昔の女の事は全部忘れちゃうのね、あんなにキスもしたって言うのに」


そこでヘレナが鋭い視線に変わる、何度説明しても理解して貰えない関係なのは認めるけれど。

ヘレナ、言いたい事が有ったら俺じゃ無くてシンディに直接言った方が良いぞ。

そんなやり取りをして、少しの間だけでも頭の中から狩りの事が抜けている事に気が付いた、もしかしたら、本当にそんな事は無いと思うけれど、僅かながらでもシンディが気を使ってくれたのかもしれない。

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