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俺がただ竜を殺すだけの物語 第三章  作者: M.TOTTORI


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第46話 最悪の結末

油断をしていた、そう言われても否定は出来ない。

あれは仕方が無い、そう慰められたら頷いてしまう。

俺は今、竜と呼ばれている生物と対峙している、事の重大さに真剣に向き合っていれば避けれたかもしれないし、もしかしたら変に力が入ってしまい致命傷を受けていたかもしれない。

そんな事は、結局のところ結果論でしか論ずることしか出来ない、だとしたら俺は油断をしていたから助かったともいえる。

ダンドリスと呼ばれている竜の右足は、フランシスの斬撃によって破壊されており、動きには僅かに精彩を欠いていた。

その隙をついて、狩竜人の俺達4人は順調に斬撃を加え、狩りの終焉が近い事は初狩りの俺にも伝わって来ていた。

そしてその時、大きく振り廻したダンドリスの右腕の攻撃を躱し、体勢を崩した隙を見逃さずに短いダンドリスの首目掛けて致命傷を与えるべく大きく踏み込んだ。

背後からの斬撃だったのなら、ダンドリスは避ける事が出来なかっただろう、だが、その時のダンドリスは両の眼で俺を捉えており、真正面から最大の弱点である首へ向けて剣を振り降ろすと言う愚行を、俺は犯してしまった。

初めての竜の狩り、俺の一撃で竜を仕留める、その功名心が無かったとしたら、俺は狩竜人になんかならなかっただろう。

そしてその事は他の3人にも言えて、そこで踏み止まるくらいなら剣を置くかもしれない、口々にそう答えた。

だけど、やはり生きていてこその狩竜人なのだ、踏み込んだ事は間違いでは無いが、僅かに心に余裕を持っていなかったのは間違いだった。

息の根を止める致命の一撃はその瞬間では無かった、ただそれだけだ。

俺の姿を両の眼で捉えていたダンドリスは生にしがみついた、何が何でも俺の斬撃を受ける訳にはいかない、そう思ったであろうダンドリスは出来る限り抗った、体勢を崩してい居ても、傷ついた右足を引き摺ってでも、鮮血の止まらない左手を犠牲にしても、ダンドリスは抗った。

多分、左手が俺を捉えたのだろう、目の前が真っ暗になった瞬間に光が弾け、大きな衝撃が前後から襲って来た。

多分、殴り飛ばされた先に有った木にしこたま打ち付けられ、前後から押しつぶされた肺は呼吸を止め、あまりにも強い衝撃により心臓は鼓動を止め、全身の痛みに耐える事を拒否した脳が意識を失わせた。

どれくらい意識を失っていたのかはわからない、ほんの一瞬だったのかそれよりも長い時間なのか。

だけどそんな物はどうでも良い、どれだけ短い時間だろうと狩りの途中で意識を失ってしまえば、それは即、死に繋がっている。

俺が生きているのは4人で狩りをしていたからだ、そして意識が戻った事を後悔するほどの激痛は、俺の身体がまだ生きている証拠だ。

死んでしまえば痛くない、本当の所はわからないが、死んでしまいたい程の痛みだろうと、生きているのならばそれに耐えよう。

倒れているダンドリスを見て、生と死の狭間を見た気がした。

狩りが終わった・・・、本当に?何か大事な事を忘れていないだろうか。


「シリル、大丈夫か」


狩りの途中でどこかに飛んで行ってしまった俺を心配してブレンドンが声を掛けながら近付いて来た、返事をしようにも口からは鮮血しか出て来ない、まだ肺が呼吸をしてくれない様だ。

そして、少しづつ痛み以外の意識が戻って来て、そうだ、大事な事を忘れていた。


「ぶふぁ、げ、げ、ぐ」


声にならない叫びはブレンドンには届かなかった、倒れていたダンドリスがブレンドンに向け拳を振り上げ、フランシスとトリスタンが同時にダンドリスに断末魔の叫びを上げさせ、それに驚いたブレンドンが振り返った。

それを見届けると、痛みに耐えかねた身体が再び俺の意識を失わせ、気が付いた時には船に乗っていた。

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