第40話 季節は廻り
時は流れて春から夏になった、ブレンドンとはあれ以来何度も狩りに行き、二人とも生きて帰って来た。
ヘレナ達ガンナー組との連携をして何度も狩りを行った、そして遂に竜を狩る時が来た。
「なんだか、慣れちゃったのかもな。正直、あの時の方が緊張してる、油断しているんじゃないかと言われそうだけど、何故だか不思議と自信が湧き出て来る」
ブレンドンと甲板に出て流れて行く雲を眼前にそんな事を呟いた、あの時の事、俺達の間では俺達が二人になった時の事をそう呼んでいる。
そして、その場所は今立っているこの甲板だ、その時の傷跡も残ったままだ、
「それは俺も同じだ、ただ俺の方がもう少し緊張感を持っているかな、身体の力を抜けと言われたら返す言葉も無いけど」
「一人には・・・なりたく無いな」
「ああ、それはお互い様だ」
「そろそろ退船準備の時間か、いよいよだな」
俺達は甲板を後にしてそれぞれの部屋へ戻り、狩りの準備と再び戻ってくるための目印をベッドに残し、艦内放送が鳴るのを待った。
「停船準備に入ります、衝撃にご注意ください、停戦後、狩竜人の方は甲板へお集まりください。」
「ようし、行くか」
微かな衝撃の後、鳴り響いていた魔力炉の作動音が静かになり、俺は重い荷物を背に扉を開けたところでブレンドンと顔を合わせ、少し小走りに甲板へ急いだ。
甲板にはすでに今回の責任者であるレイナルドと、狩りの同行者であるフランシスとトリスタンが待っていた、
「これで全員だな、今回は初狩りも居るから少しだけでも気を使ってくれ、と言っても二人の実力はもう知ってるよな。シリル、ブレンドン、竜は今までの狩りの相手よりも桁違いに強い、今回の目標は竜の中では狩り安い方だからと言って、油断などせずに心して掛かる様に」
「はい」
俺達は声を揃えてレイナルドに返事をした、狩竜人の先輩達とは何度も狩りに行かせて貰っているが、出来る限り足を引っ張らない様にしたい。
「それじゃあ狩りの先行は俺が行くから、初狩りの二人は荷物持ちだ、貴重な水と食料を任せるんだから失くすなよ」
今回の狩りを先導をするのはフランシス・フライデイ、ペイン教官の先輩にあたる。
そしてもう一人がトリスタン・スターン、ペイン教官の後輩で俺達の一つ上の先輩になる。
空を飛ばない竜を狩る時は、今回の様に歩いて狩り場まで行き、竜を狩って戻って来る。
狩竜人法の抜け道の為、荷物を載せる荷車を狩竜人船とするため、魔力炉を積んでいて僅かに地面から浮いている。
その為に肉を冷やす事も出来るし、俺達が押したり引いたりも楽になっている、が、その為にとても高価な物になっていて、壊されたりしたら大変な事になるので、荷車を任されると言うのは下っ端の仕事では無くて、ある程度の信用を得ている証拠でもある。
そして、狩竜人の移動はとても速い、狩りをしていない時間と言うのは無駄な時間であるから当然なのだが、うっそうと生い茂る木々の間を駆け足の速度で走り抜けるのは至難の業である、そしてそれは荷車が通れる隙間を目敏く見つけて先導している、フランシスの目利きに掛かっている。
そして、あの時は魔力炉の無い荷車を引いていたから比べるまでも無いが、僅か一日で目的の狩り場付近まで近付く事が出来た。




