第36話 睡眠という幸せ
「それで、急いで駆けこんで来たのはその剣の話しだけか」
「え、はい、まだグッドゲームの船が有る内にと思いまして・・・、それと」
もう一つ気になっていた事は、あの特異個体の巣から持ってきた卵の事なんだけれど、自分も忘れていたように大した事では無いだろう、
「これなんですけど」
ペインに持ってきた卵を見せた、ハンマーテールの卵だと言うとそれほど興味は示さなかったが、これがあの特異個体の物かも知れないと伝えるとペインの眼の色が変わった。
「そいつはすごい、この卵からお前らの言う特徴のある個体が生まれたら、とんでもない事になるぞ」
「とんでもないって、どんな事ですか」
ペインの驚きように俺は興奮気味に尋ねた、
「それはお前、あれだろう、大変な事だよ」
どうやらペインも勢いで喋っていたらしい、とにかく卵はペインに預け、狩竜人を続ける事にした4人と部屋を出た。
「今回の狩りの報酬も7等分なんだろう、シリルはどう思う」
自分たちの部屋へ戻る途中でダンが質問して来た、そういえばそんな事は考えた事も無かったけれど、これから狩竜人を続けるにあたって大事な事だ、
「どう思うって言ったって、そう言う物だから。例えば今回は斥候をした俺とベン、それにロバートとバーナードは危険な任務だからって取り分を多く主張したとしても、実際に獲物を狩ったのは俺とブレンドンだし、その後の蜥蜴を狩ったのは俺とベンだし、って俺は多く主張しても良いのか」
「俺はそれをどう思うって聞いたつもりなんだけど、改めてシリルはどう思う」
苦笑いをしながらダンが同じことを聞いて来た、確かに今回の狩りを思い出すと、俺の活躍って凄いなって思うけれど、その為にはみんなで行動しなければならなかったし、慣れない代表をブレンドンにお願いをしたし、斥候で特異個体の住処を見つけたのはロバートとバーナードだし、どれもこれも全部俺一人でやった事では無いから、特に等分に関しては問題は無いと思う、
「それには同じことを答えるよ、そう言う物だから。俺一人で狩りをしたわけじゃ無いし、俺一人じゃ出来ない事だし」
「シリルがそう言うのならそれで良いよ、ありがとう」
「お礼を言うのはおかしいよ、俺が助けた所は有るかもしれないけど、俺も助けられてるんだし。もしお感謝をしているのなら、次の狩りでも、その次の狩りでも良いから」
言いかけた言葉を途中で飲み込んだ、下手に恩を返そうとして無理をさせてしまっては良くない、もっと簡単でそれほど負担にならない事を頼もう、
「いつでも良いから、夜の見張りを変わってくれたら、俺はそれで充分嬉しいよ」
「わかった、覚えておくよ」
ダンたちは俺に笑顔を見せて自分たちの部屋へ入って行った、俺も自分の部屋へ戻りベッドに横になる事が出来た。
どこででも寝れるし、腹が減っていても眠れる、2日くらいなら寝ずに高度も出来るけれど、やはり快適な環境で、何事にもとらわれずにぐっすりと眠る事は何よりも幸せだと改めて感じた。
その幸せは、けたたましい警報音と振動にかき消された。




