第28話 ジェイミーの秘密
「黒龍教に命を狙われていたから、ジェイミー王子は女装をして学校に来てたのですね」
俺の言葉にジェイミーは複雑そうな顔をした、どうやら女装をしていた事とはあまり関係が無い様だ、じゃあなぜわざわざ手間のかかる事をしてまで、ジェイミーは女装をしていたのだろうか。
もしかして・・・、単なる趣味なのだろうか。
今度は逆にジェイミーが俺の表情を読み取って悟ったらしく、
「違うぞシリル、何も好き好んで女装をしてたのでは無いぞ」
慌てて取り繕うジェイミーを見ても、レイラは表情を変えなかった。
いつもならばレイラは笑いながらからかう所なので、どうやら込み入った事情がある様だ、
「ああ、別に話したところで構わんか、シリルは姉上の事をどう思う」
ジェイミーからの突然の質問に驚いてしまった、ジェイミーが姉上と言う存在は当然あの最強の姫様の事だ、ただ、改めて冷静に俺があの姫様に対してどう思っているかを口に出すのは大変に難しい事だ。
相手は女王と言う立場に居られるお方だ、軽々に美人だと言って良い物かどうか、そして好きと言う感情は持ち合わせてはいるが、恋人に成りたいだとかそういう好きとは違う感情だ。
人として好きと言うのか、強さに惹かれているとか、そういう誰もが口にするようなちゃちな言葉では言い表す事が出来ない様な崇高な存在だと感じている。
「一言では言い表せないです、立場も違いますし不敬にあたるかも知れません」
「なんだシリルは姉上に対して、不敬にあたるような事を考えているのか」
ジェイミーが笑顔でからかって来た、だけどそれぐらいなら後から姫様の耳に俺の言葉が伝わるよりはマシだろう、
「まあ良い、当然人それぞれだろうから、それでも姉上に対して不埒な考えを持っている輩は許さないがな」
ジェイミーの眼が鋭さを増した、明確な殺意は俺以外のどこかの誰かに向けての物だろう。
良かった、ろくでも無い事を言わなくて。
「私は一番近くで姉上を見て来た、私が物心がついたころには、すでに姉上は私の為に全てを注いでくれていた。そして私は思った、姉上こそが王になるべきだろうと」
ジェイミーに、王としての資質が有るとか無いとかは俺にはわからないし、そんな事を口にする物では無い、そして姫様に王としての資質が有るかと問われたら、俺は当然大いに有ると思うと答えるだろう。
「そして私は何度も父上に進言をした、私では無くて姉上を王にして下さいと、そうしたら父上は言った、女であるオフィーリアでは王に成れない、と、姉上が女だから王に成れないのなら、男である俺が女になったとしたらどうなるだろうか、と、それ以来俺は表舞台に出なくなり、女装をして過ごした」
ジェイミーが女装をしていた裏には姉弟愛が隠されていた、こうして本人の口から真実を聞くと、レイの持っていた情報は間違いだらけという事になる、つまり情報の秘匿は上手くいっていたという事だろう。




