第25話 懐かしの狩竜人船
懐かしい狩竜人船は、試運転の時から比べれば幾分かは輝きを落としてはいるものの、どれだけの修羅場をくぐって来たのか、凄味は増している様に見える。
あの姫様が乗船しているのだから当然なのだが、それだけでは説明できない程の雰囲気を漂わせ、正直言えば少し足が竦んでしまった。
貨物室が大きく開けられ、門番の様に左右に従者が立っていた為、名乗りを上げるとローブで隠された奥の顔はにこやかに微笑んでいる様に感じた、一人の従者が先導して姫様の所まで案内をしてくれた。
何度も行き来したので良く知って入るのだけれど、あの時とは違って俺は部外者なので、案内と言うよりも監視の側面が強いのかもしれない。
「シリル参上しました」
姫様の前で跪いて参上した事を告げると、姫様はすぐに右手を振り従者を下がらせ、
「待っていたぞ、まずは無事で何より」
「ありがとうございます、予定通り帰って来れたのは、姫様がお付け下された従者の方たちが素晴らしい仕事をして下さったからです」
「そうか、あの二人には私から伝えておこう。それで、あの火を吐く蜥蜴の事だが」
「・・・蜥蜴・・・なのですか」
「ああそうだ、何を驚いている。あれが火竜だと思っていたか」
「え、ええ、わたし一人ではとても狩れるものでは無く、初め火を吐く獣を見たものですから」
「まあ、そう思うのも無理は無い。竜でも無いのに火を吐く獣は少ない、あれが竜に認定されるかはまだわからないが、ただ、恐らく火蜥蜴の一種だろうと調べは進んでいる、今のところあれは竜では無いから、火竜では無く仮竜と言ったところか、それで、調べを進めて行くうちに何やら面倒臭い事になってしまって、まあその話しはおいおい」
「そうですか、仮にあの火蜥蜴の一種が竜に認定されたら、私にとっての竜の初狩りになるのですけれど」
「おお、そうなるか。あの森で狩竜人試験のために、ハンマーテールを狩っていたのだろう」
「はい、それも変わった尾なのでハンマーテールと言って良いのかわかりませんが、何とかみんなの力を合わせて狩る事が出来ました」
「そうか、それは良かった。それで、変わった尾と言うのはどんな形だ」
「はい、斧の様な形をしていまして、その尾で群れの仲間・・・なのかはわかりませんが、ハンマーテールの群れを全滅するまで殺戮したようです」
「なるほど、斧の様な形の尾か、それは手強かっただろう」
「それはもちろんとても苦戦致しました、それに斧の様な尾だけでは無く、頭に生えた角なのか骨なのかわかりませんが、とても鋭い出っ張りが左右に有って、それらもとても脅威でした」
「あの森で、そのようなハンマーテールは見た事が無い。やはり・・・」
姫様はそれから暫くの間考え事をしていた、何か気になる事でも有るのだろうか。




