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俺がただ竜を殺すだけの物語 第三章  作者: M.TOTTORI


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第20話 積み荷の罪に

焼け落ちた狩竜人船はところどころ燻っており、燃えつきてからまだ日にちが立っていない事が伺えた。

俺達がこの森へハンマーテールを狩るために飛んで来た時には上空から煙が見えなかったので、恐らくは俺達が森に入ってから燃え上がったのだろう。

森の木々に遮られているとは言えこの規模の火災ですら視認できないなんて、両の眼に映る物だけに頼るのではなく、五感すべてで感じる事の大切さを痛感した。


「中へは・・・、危ないかな」


正直なところ、燃えた魔力炉に近付いて良い物かどうかも俺にはわかっていない、それにこの船が何を積んでいたかなんて分かる訳が無いのだから、燃えて有害な物を発しているかもしれない事を考慮すれば、本来なら近付かないのが正解なのだろう。

ただ好奇心がそれを邪魔してしまう、目の前の船への興味が恐怖を克服してしまう。


「何か気になるところは有ったか、シリル」


ぐるりと船首から船尾へ回ったところでベンと鉢合わせした、気になる事は山ほど有るが、ここでベンと二人で話し合ったところで答えが見つかるはずがない、この船の国籍や誰が乗っていたかなんてわかるわけが無い。

ただ一つ大きな疑問が有る、この狩竜人船は燃え尽きているが、その割りには周りが延焼していない。

船の中で火を使って調理をしていたとしても、ここまで船が燃える事は無い筈だ。

当然厨房の周りは火が燃え移らない様に工夫が施して有るし、万が一火が燃え移ったら船員が総出で消火に当たるだろう。

それに明らかに荷室と思われる場所が激しく燃えた様に見える、それも荷室の中から。


「狩竜人船が、火事で燃え尽きたって聞いた事有るか」


俺はベンに気になっている事を尋ねた、どんな事を聞いて来るのかと身構えていたベンは少し拍子抜けた様だったが、


「ん、ああ、聞いた事は・・・無いな、まず、狩竜人船って燃えない様に作る物だしな。竜と言ったら火を噴く生き物だって思うだろう、実際にはそんなに火を噴く竜は居ないらしいんだけど、やっぱり竜は火を噴くって思うよな。それによ、不注意で狩竜人船を全焼させちゃいましたなんて事は、恥ずかしくて表に出せないから、箝口令をしいてでも外部には漏らさないと思うぜ」


「だよな、俺も同じ結論だ。不注意なんかじゃこんな燃え方はしないと思う。明らかに船首の荷室が燃え方が酷いし、何を積んでいたかわからないけど、爆弾でも積んでいたのかな」


「いやぁ爆弾ならもっと損傷してるんじゃないか、それに、案外爆発しても燃えないんだぜ」


「そうだよな、だとすると一体何が燃えたんだろう。おっと、また火が出たぞ」


「・・・おかしくないか、船首は燃え尽きてるのに、また火が出るなんて」


俺達は顔を見合わせて首を傾げ、船首へ視線を移した。

明らかに先ほどより火の勢いが増している、と言うよりも火が噴き出している。


「まさか、とは思うけど」


「俺も、そんな事は無いと思いたいけど」


「荷室の中に・・・」


お互いがその名を口にしようとした時、耳をつんざく咆哮が辺りに響き渡った。

何やらごちゃごちゃとうるさいと、お叱りを受けてしまった。

そして両耳を押さえていても聞こえてくるほどの衝撃音が響き渡り、爆発の様な衝撃と共に燃え尽きた船首が崩れ落ち、ゆっくりとその生物が姿を現した。

俺達の方を見ている、そいつからしたら俺達は単なる餌だ、どっちが美味いかわからないが、どっちも喰えばそれはわかるだろう、そんな事を考えているのかはわからない、その漆黒の瞳には何も映っていない、すべてを飲み込むほどの黒、そして、大きく引き裂かれた口から糸を引く粘液を纏った舌を出し、ぺろりと舌なめずりをした。


恐怖で足が竦み声も出せない、そこには名も知らぬ本物の竜が居た。

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