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俺がただ竜を殺すだけの物語 第三章  作者: M.TOTTORI


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第18話 復讐

意味を持って倒された草、それらを掻き集めて作られた寝床、そこには傷ついたハンマーテールと無残に潰された卵が数個、近付く俺達に力無く威嚇をするも咆哮と言えるほどの音圧は無く、最後には悟ったかのように目を瞑り卵を抱き抱えた、割れている卵には生きていた証がわずかに残されていた。


「シリル、これはいったいどういう事だろう」


「わからない、わからないけど・・・、仕方が無いよね」


俺はそう言い残して傷ついたハンマーテールに近付き、止めを刺すために剣を振りかぶった、


「そこまでしなくても・・・、どうせさ、その、放って置いても死ぬんじゃないか。何も今止めを刺さなくても」


ベンも戸惑っている、ハンマーテールは大きな身体ゆえにかろうじて生きてはいるが、傷口の具合を見ると恐らくは持ってあと数日だろう。

長く苦しみを味わわせないために即座に殺すのか、このまま見逃して傷ついたからだと共にゆっくりと死を迎えるのか、俺達狩竜人と言うものははただ殺して食す、自然の中では俺達と他の生物に何の隔たりも区別も無い、すべては平等でとても残酷なもの。

ベンの言葉を聞いて俺は振り返り小さく頷いた、その瞬間にハンマーテールが素早く俺の足へ噛みついて来た。

有るだろうと思っていた最後の抵抗を躱すと、ハンマーテールの伸びきった首へ剣を振り降ろした。

切り離された後で微かに口元が動きゆっくりと瞼が閉じた、首を失った身体からの出血が止まった事を確認し、ベンの方へ再び振り返った、俺は何も言わない、だがベンも俺が何を言おうとしているのか、何を思っているのかは伝わっている様だ、


「ごめんシリル、余計な事を言っちゃったな」


「良いよ、気にしないで。それよりもダンとルイスを捜さなきゃ」


「ああ、そうしようか」


歩き出すベンを尻目に思考を巡らせた、恐らくは特異個体はこの傷ついたハンマーテール、多分メスにここで卵を産ませたのだろう。

このハンマーテールが群れの一員だったのかどうかまでは解る筈も無いが、虐殺されたハンマーテールたちの群れにメスと卵を潰されて、番である特異個体が群れを追って復讐をした、そうなれば食べるためでは無くてただ虐殺した事に説明も付く、そんな事をするほどの社会性が有るのかはわからないけれど、群れを作って集団生活をするのならば多少の社会性は持ち合わせているに違いない、そしてダンとルイスがここに近付いたから特異個体は急いで戻って来た、となればまだ二人は生きているかもしれない。

俺達が近付いた時に不意打ちを仕掛けた後で、俺達を追いかけて来なかったのはここを離れたく無かった、再び俺達が戻って来た時もまだここに居たのだから、それほど間違った考察では無いと思う、とするとこの卵は特異個体の卵・・・。


「シリル、何してるんだ」


「ああ、すぐ行くよ」


俺は残された卵を懐に入れ、ベンの後を追った。









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