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俺がただ竜を殺すだけの物語 第三章  作者: M.TOTTORI


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第13話 特異個体

「この様子だと殺して回った後に、すぐに次の獲物を探しにこの場を離れたんだろう、ここに来るまでに気配も感じなかったし、もっと奥まで探索しないと見つけられ無さそうだな」


ベンが垂れ下がっている臓物を確認しながら呟いた、ブレンドンもここに長居をする意味も無く、漂う腐臭に嫌気が差したのか、


「少し間隔を空けて痕跡を捜そう、狩竜人の足跡は絶対に見落とすなよ」


ブレンドンの号令一下で間隔を空けて森の奥へと歩を進めた、気を張りながらの探索は疲労を蓄積させるが、自分の命と仲間の命が掛かっている以上、流れる汗を気にも留めずにゆっくりと確実に前へ進んだ。

特異個体が残したであろう足跡を、複数あるハンマーテールの足跡の中から見つけるのはとても骨が折れた。

そして、遂にルイズがその中から特異個体の足跡を見つける事に成功した。


「みんな見てくれ、ここで特異個体が走り出した様だ」


そこに残された足跡には爪で作られたであろ深い穴が空いており、ルイズが指差した木の幹には横一文字の傷が残っていた。

そこから足跡を追跡したところで、新たな痕跡を発見する事が出来た、


「狩竜人の足跡だ、まだ真新しいからロバートとバーナードの物だと思う、ここで特異個体と遭遇して、森の奥へ逃げ出したのだろう」


そこには折れた枝に交じって二回転捻じられた枝が有り、横や縦からの力では無く、明確な意思を持って折られた枝であることの証明になる。


「どれくらいの速度でハンマーテールが走るのかわからないが、少し歩く速度を速めよう、急がないと追いつけ無いかも知れない」


ブレンドンの言葉で再び森の奥へ進み始めた、幸いにして特異個体の残す足跡は特徴的で、逃げる途中で木を捻じる事が出来なかったであろうロバート達が、どの方向へ走って行ったのかが丸わかりだった。

その為に自然と早歩きから駆け足へ変わり、順調に距離を縮めている事で少し気が緩み始めていた。


「止まって」


嫌な予感に俺はみんなの足を止めた、何事も慎重にならなければいけない、目の前に腰ほどの高さの草むらが広がり、森の木々も疎らになり森の中に突然広場が現れた。


「どうしたシリル、急がないといけないのに」


リーダーであるブレンドンを差し置いて俺がみんなの足を止めた事に、ベンが少し不満を抱えたようだ。

ブレンドンは前を向いた視線を逸らさず、ベンは俺の方へ振り向いている、


「逃げろ」


ブレンドンと俺が同時に声を上げた、視線を逸らしていたベンは何のことかわからずに固まっていたが、ブレンドンが肩を掴んで引っ張り、事の重大さに気付いたベンは後ろを振り向く事無く駆け出した。


腰ほどの高さの草が舞い踊り、はらはらと落ちて来る中に異形な頭と尾を持つハンマーテールがゆっくりと姿を現した。

名前の由来であるハンマーの様な尾は鋭い斧の様な形に変貌しており、地面に突き立てて前転する頭には特徴的なコブでは無く、鋭く飛び出た三角の角を蓄えている。


なぜここに追いかけていたはずの特異個体が居るのだろうか、ロバート達を追っていたのでは無いのか、それとも追いかける必要が無くなったのか、どうしてそんなにゆっくりと現れた、勢いよく飛び出して来たら一撃ぐらいは食らったかもしれないのに。


考えが纏まらない中で一つだけ確実な事が有る。


俺は一目散に逃げだした。

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