第九十一話「勝利の後の…」
追記:書き終えて満足して投稿忘れてました
大変申し訳ございません。
また風邪引きました。
しんどいのはこれからだと思うのでこの話はまだ大修正は要らないはず.....要らないはずですっっ!!
寒暖差が激しいので皆様もお気をつけ下さい。
物凄い速度で北門前に着地したベレムナイト。
自身が作った鉄山の上に立つ姿は
先程までの死闘を制した人機軍の歓喜を
余裕でドブに捨て去らせる濃い絶望を漂わせていた。
「ベ、ベレムナイト様.....救援感謝致シマス、
デスガ足元ニ同胞ガ.......ゴゲッ!?」
「申し訳ないウイルス諸君
私の部下たちが随分と世話になっていたようだな」
かろうじてスクラップを免れた機械が声をかけるが、
ベレムナイトは仁王立ちのまま右手だけを動かし
何かを投擲する。
機械に命中したそれは高周波を纏った投げナイフだった。
「さっきのバルクって奴もそうだけど
味方を壊して気にも留めないなんてホントに仲間?」
「仲間?
フッ、我々はそんな矮小な集まりではない
我らの崇高な理想に仲間意識(傷の舐め合い)など存在しないのだ
悲願達成の前には私でさえ道具でしかないのだから.....なっ!!」
セレナがボソッとこぼした言葉に反応し、
何一つ間違ってないと言いたげに語るベレムナイトは
ナイフの突き刺さる機械に近付き
目の前で倒れる機械を左脚でグシャリと潰した。
「さっきそこに転がってるヤツらのことに詫びを入れてたな?
今回の襲撃はお前の指示じゃねぇのか?」
数で有利さを取っているが相手が相手だけに
コールも話を引き伸ばして時間を稼ごうと試みる。
「そうだ。
今回に関しては少しトラブルがあってな」
時間稼ぎに気付いているかは分からないが
ベレムナイトは余裕を持って会話を続けているように見えた。
「.....なら今日はもう帰ってくれてもいいんだぜぇ?」
いくらこちらの数が多いとはいえ、
消耗している自分たちには分が悪いと悟ったコールが苦し紛れに提案する。
「それは出来ない話だな」
「......何故だ?」
コールの提案を食い気味で拒否するベレムナイトに
横から巨体の人機が疑問を投げた。
「お前は?」
「直接会うのは初めてだなベレムナイト
私はダン・シュナウザーという」
総力戦に移行してから後方で指揮していたダンだったが
騒ぎを聞きつけて前線まで出張って来ていた。
突然の新たな脅威にダンはそれまでより明らかに緊張し、
既に臨戦態勢であるように見える。
「ほぅ、お前があの....」
「??」
興味深そうにダンの脚先から頭の上までをゆっくりと眺めるベレムナイト、
その予想外な反応にダンは少し首を傾げた。
「......クッ、まあ過去の話か....
今となってはお前など何の役にも立たん」
先程までの興味ありげな空気が消え、
ガラクタを見下す雰囲気に変わったベレムナイトに
ダンは無意識に構えを取る。
「.....なんの事か分からんが、
そんな事より何故撤退しない?」
コールの時間稼ぎに破損機体や損傷者を撤退させていたダンだがそれも限界かと感じ始め、覚悟を決めて質問した。
「クックックッ、それはな....
この場所は遅かれ早かれ私が指揮して滅菌するところだったからだ」
小さく笑いながらダランッと深い猫背になったベレムナイトが
いつの間にかダンの目の前に居た。
「ぐっっ!?」
素早い蹴りが炸裂し、ダンが街壁にめり込む
「ダン隊長!!」
煙の上がる壁に向かって叫ぶシン
その目には何が起こったのか殆ど見えず、
しかしダンが攻撃を受けたことだけは確かだった
無言で追撃に飛ぶベレムナイト。だが、
「............ッッ!?」
突然目の前に刃が迫る。
神速の一刀を機会と思えないほどヌルリとした動きで身体を捻り避けるベレムナイト。
そこへ今度は真鍮の円盤が挟みにかかる、がこれも避け、そこへさらにホーミングするロケット弾が迫るがフレアを飛ばして難なく回避。
全てを避けきったベレムナイトの目の前に居合の構えで立つ人機と猿を肩に乗せた人機、空からは大型のヘリが立ちはだかる。
「また隊長に貸しが出来たな
また無茶させられないようにしっかり覚えておかないと」
「折角邪魔者を消したとこなのに新しい邪魔者なんて、これじゃまたセッションできません。
最短で終わらせましょう」
「すみません、丘の残党処理に時間がかかり過ぎました。」
「..........」
ダンの前に立つ三機をベレムナイトは静かに見つめている。
かと思えば走り出して正面から突っ込んで来た。
「相手は一機、油断は禁物だが
三人で向かえば何とかなるはずだ」
地面を抉りながらこちらに迫るベレムナイトから目を離さず、それぞれが相手の動きにカウンターで合わせる作戦のようだった。
「カウンター狙いか」
すぐさま相手の狙いを読んで呟くベレムナイトだが走りを止めることもせずそのまま真っ直ぐ迫る
「フンッ、随分と自信があるみたいですね.....って、えっ!?」
鼻で笑うトルミナだったが、その余裕が相手の動きで大きく揺らぐ
こちらに飛び掛るベレムナイトは人型にあらざる形に変わっていた。
ーー
「いやはや関係無いと思っていたのに
あの距離を一瞬で移動してくるとは
どうやらとんでもない相手が参戦してきたようだな」
斜めに打ち上がり上空から北門を見下ろす教皇ヤンソルムは高みの見物ながらも下にいる者たちに少し同情していた。
そこへ
『状況はどうだ?』と通信が入る。
「......お疲れ様です、コラプト様
今回の戦い、どうやら人機軍の敗北で決着が着きそうです。
人間の少年が奴らの手に落ちるのも時間の問題でしょうね」
ボスからすればどうでもいいことだろうと思いながらそれでも報告だけはと伝える。がしかし予想外に歯切れの悪い言葉が返ってきた。
「.....そうか....
それは少々、勿体ないな」
「....? と言いますと??」
普段とは違うコラプトの様子に
興味ありげにその先を聞く
「........詳しいことは戻って来てから説明するが
我々としてもいずれ少年を手に入れたいのだ、
今回連れ去るのは無理としても機械軍に取られるのだけは避けたい。
何とかして機械軍を退けることは可能か?」
「はあ...自分はアジト襲撃時に"居なかった"
のでよく知りませんが、この戦いを見ていても
正直あの少年にそこまでの価値があるとは思えません。
まあボスがそう言うならそうなんでしょう.....
幸い人機軍(彼ら)に用意していたお土産がありますのでそれを使いましょうか」
少しの焦りすらも感じる手短な要望にこちらも戸惑うが、後で教えてもらえるのならと彼もとっておきを出そうと提案する。
「ああ、お前お得意のアレか?」
「はい、久々に暴れさせていただきます。」
相当信頼度のあるそのとっておきを聞いてコラプトもさっきのことが無かったかのように口ぶりに余裕が乗る。
「ここ長いとこ裏工作ばかりの地味な立ち回りしかさせていなかったからな
今回はド派手にしてもいいだろう」
「ありがとうございます
このボウリーが聖街始まって以来一番の
パフォーマンスをお見せいたしましょう」
ボウリーと名乗る教皇の皮を被った無機質な顔が
ぐにゃりと歪んだように見えた。




