第六話「工場長」後編
シン
見た目は〇PEXの〇ス〇インダーのような二足歩行ロボット。
三年前、ガラクタの山で倒れているところを発見された旧式の戦闘機体。
(発見時、何故か武装はすべて解除されていた。)
偵察ドローン
機械軍偵察部隊所属。
見た目は〇PEXの〇イフラインのドローンのようなフォルムで、それが単体で行動しているような存在。
大きな赤い一つ目を持ち、クラゲのようにふわりと浮遊する。
監視・探索能力は高く、静かに獲物を追跡する。
ノール
ガラクタ部隊の三兄弟の長男。
冷静沈着で、仲間たちからの信頼も厚い頼れる兄。
戦闘機体ではなく、かつて子どもたちを笑顔にしていた三人兄弟ロボット
「トライブラザーズ」の一体。
柔らかな造形をした、優しい印象の二足歩行ロボット。(ピエロではない)
トール
ガラクタ部隊の三兄弟の次男。
真面目で誠実、判断力に長けたバランス型の兄。
ノールと同じく「トライブラザーズ」の一体
(ピエロではない)
コール
ガラクタ部隊の三兄弟の三男。
やや単純でお調子者だが、情に厚いムードメーカー。
同じく「トライブラザーズ」の一体。
トラブルメーカーでもあるが、いざという時は誰よりも仲間思い。(ピエロではない)
ダン・シュナウザー
人機軍戦闘部隊隊長。
外見は黒を基調に赤いラインが走る重装機体――〇イアンマン初号機を思わせる姿。
人機軍戦闘部隊・隊員たち
今回登場したのは下級隊員。
装備はブレードと光学ピストルのみ。
頭部はフルフェイスヘルメット、装甲は特殊部隊風の無骨なデザイン。
階級が上がるほど、装備も外観も劇的に変化する。
エドワード・サントス
人機軍拠点の工場長を務めている。
ベレムナイト
機械軍戦闘部隊の部隊長。
漆黒の装甲に包まれた、細身の騎士のような機体。
静かにして苛烈。
その機体には数多の「凶悪な手札」が隠されており、
人機軍にとって最も危険な存在の機体のひとつとされる。
エドワードの言葉が、室内の空気を一瞬で張りつめさせた。
――ゼウスシステム。
その名を聞くだけで、シンの演算コアが警戒色に点滅する。
「……再起動の兆候、ですか?」
シンの声には、明確な緊張があった。
エドワードは静かにうなずき、壁際の古びたコンソールへ歩み寄る。
指先でスイッチを押すと、中央のモニターが青く光り、
“ZEUS SYSTEM LOG”の文字列がゆらりと浮かび上がった。
「見ろ。これが最新の観測データだ。」
画面には無数の数値とパルス波が走り、中央に
“再起動シーケンス:進行率23%”の文字が点滅していた。
「そんな……。稼働停止から十年以上も経ってるはずじゃ……」
シンが信じられないというように呟く。
「本来ならそうだ。だが――誰かが“中枢にアクセス”している。
それも、内部からだ。」
エドワードの声は低く、冷たく響いた。
「内部……? 機械軍の中枢から、ってことですか?」
「いや。――我々は“人間の意志”による再起動と見ている。」
その言葉に、シンもショウも息を呑んだ。
「まさか……人間が?」
「ああ。理由は不明だがな。」
エドワードはゆっくりと二人の方へ向き直る。
「ゼウスシステムを作ったのは人間だ。
そして今、それを再び動かそうとしているのも――人間だ。」
モニターの光がエドワードの顔を照らす。
その瞳の奥には、長い年月の怒りと悲しみが宿っていた。
「君たちも知っている通り、ゼウスシステムは、かつて人類が“人の域を超えよう”と開発したものだ。」
シンがうなずく。
「ええ。それは知っています。しかし開発途中で暴走を起こし、人類は成人していた者の意識だけが機械に宿り、未成人は意識すらも消滅した。
そして、その人機をAIがウィルスと判断し――機械と人機の戦争が始まった。」
その時、背後から声がした。
「そう、“AIがウィルスと判断した”ことが、問題だった。」
現れたのはダンだった。
「すまないね、少し席を外していた。改めて名乗ろう――ダン・シュナウザーだ。」
シンは驚きの声を上げる。
「シュナウザーって……まさか、あのシュナウザー社の!?」
「そうだ。私はその昔、完全なるAI技術を確立し、かのゼウスシステムの主任を務めた。
――シュナウザー社の社長、ダン・シュナウザーだ。」
その顔には、機械でありながら人間のような“苦悩”が浮かんでいた。
ショウはそれを見て、胸の奥に不思議な違和感を覚える。
「私も開発チームの一員でね。彼とはその時からの旧友だ。」
エドワードが穏やかに言うと、ダンは肩をすくめた。
「君は部下で、私は上司だったはずだが?」
「そうだったか?」
エドワードが笑う。その笑い声に、ダンの表情もわずかに緩んだ。
「さて、話を戻そう。」
エドワードがモニターを指す。
「AIがウィルスと判断したこと――それがすべての始まりだ。」
ショウは息を詰める。
「……どうしてそんなことに?」
「ゼウスシステムは暴走後、本来なら自動停止するはずだった。
だがAIたちは、人間の意識を機械に移す現象を検知し、システムにアクセス。
解析の末にたどり着いた結論が、“人間の意識を持つ機械(人機)を殲滅する”ことだった。」
「そんな……!」
ショウの喉がかすかに鳴る。
「そこからが地獄だった。」
エドワードは静かに言った。
「AIたちは全機械を動員し、人機を次々と殲滅していった。
――それが、“戦争”の始まりだ。」
沈黙。
遠くで機械音が鳴り、そのリズムがまるで心臓の鼓動のように響く。
ダンが低く言う。
「我々開発チームも、慣れない機械の体でゼウスシステムを停止させたが……その時には、すでに手遅れだった。」
「そして今、またそのシステムが目覚めようとしている。」
エドワードの声が重く落ちる。
「ゼウスシステムは破壊されていない。停止させただけだ。
AIが介入した以降、内部がどう変化しているか誰にもわからない。
もし完全に再起動すれば――我々の“意識”すら消滅するかもしれん。」
「こんな時にアイがいてくれればなぁ……」
エドワードがため息を漏らす。
「おい、エド。アイの名を出すな。」
ダンが露骨に怒りをあらわにした。
「すまない、冗談だよ。」
「あの……アイって?」ショウが恐る恐る尋ねる。
「いや、気にするな。」
静寂が戻る。
重い機械音だけが部屋に残った。
やがて、エドワードがゆっくりと口を開く。
「……とりあえず、現状では不明な点が多すぎる。
今はしっかり休息を取ってくれ。それと、シン。」
「はい! なんでしょうか、工場長。」
「ダンに腕を診てもらえ。不自由だろうが、今よりはマシになるはずだ。」
「わかりました。……ショウは僕たちの部屋に戻って休んでていいよ。」
「でも……」
「大丈夫、すぐ戻る!」
「では、行くとしようか。」
ダンが静かに言う。
ショウは小さく拳を握った。
「あの、まだ僕に何ができるか分かりませんけど……ぼく、頑張ります!」
エドワードの胸部液晶パネルに"ピコッ"と微笑んだ顔のアイコンが浮かぶ。
「いい心がけだ。――行きなさい。」
三人は静かに執務室をあとにした。
その背を、エドワードは長く見送っていた。
モニターの淡い光が、孤独な工場長の姿を照らしていた。
ダン・シュナウザー
その昔、“完全なるAI技術”を確立し、
ゼウスシステムの主任を務めた天才技術者。
シュナウザー社の元社長でもある。
現在は軍に身を置き、己の過去と戦いながら人類再興の道を探っている。
エドワード・サントス
元シュナウザー社の技術者で、
ダンの部下として「ゼウスシステム」の開発にも関わっていた人物。




