10.
誤字を発見し修正しました。
あんなに見直したのに…
恥ずかしい間違えです( T_T)
「ラキィ~。 そろそろ休憩しない?」
コーヒーを片手にシイタさんが団長室に入って来た。
室内に香ばしい良い香りが漂い顔を上げる。色々やる事が多すぎて時間が足りない。
「あ~。 シイタさん、有難う」
受け取り、シイタさんに椅子を進める。
「ラキ、ちゃんと睡眠取ってるか? これじゃ次にアラドバハル国に行く前にぶっ倒れっぞ」
それに、アイラちゃんに話したのか?と続く。
「……、言えてない。ってか、会えてないから…」
カップに口を付けてズズッと啜り、目を伏せる。
「まぁ俺が言う事でもないが、早く話とけよ?」
くしゃっとラキの頭を撫でる。
本来なら団長にこんな事出来ないがこの大将は特別だった。戦での働きは男でも惚れそうな頼りある奴なのに、普段は弟か子供かってくらい守ってやりたくなる時がある。
だが第四騎士団にとって必要不可欠な男。
この男の為に戦いたいと思わせる大将だった。
絶対に本人には言わないが一生付いて行くと決めている。
コンコン。
さっとラキの頭から手を離すと「どうぞ」とラキが答える。
「失礼します。 あ、シイタさんもいらっしゃったんですね。うちの管轄ではないと思うのですが…。帰宅途中の女性が酔っ払いに絡まれて、街の居酒屋で保護されているそうです」
ラキとシイタは顔を見合わせる。
「それってなんで第四に話が来てんの? 自警団の方じゃなくて?」
団員の言葉を受けてシイタが質問を返す。
「自警団の方で加害者は拘束しているようですが、どうやら被害者が城内関係者だったようでこちらにも連絡が入りました。 被害女性は食堂係りのアイラ・ミルファー 17歳…」
ガタッ!
「アイラが!? 場所は? 俺が行く」
二人とも椅子から立ち上がるとドアへと向かっていく。
「え? ラキ団長自ら?」
報告をしに来た団員は慌てて二人の後ろを追っていく。通常はラキが指示をして、その時間に動ける人材を派遣するのだ。団長自ら現場に行くなんて有りえない。
だが場所を伝えると用無し、とでも言うのか全力疾走で立ち去ってしまった。
「いや…、ボコボコなのは加害者の方なんですが~…ってもういないか…」
ラキがお店に向かえに行くと女性従業員が奥の従業員控室に居ると教えてくれる。
「アイラ。 俺だよ」
暗い部屋の隅から涙で顔をくしゃくしゃにしたアイラがそっと顔を上げた。
ラキに手を伸ばしてすがり寄って来ようとするが腰が抜けてうまくいかないようだ。
ラキもすぐにアイラを迎えに行って抱き寄せる。
「なんでこんな時間に一人で外に出てるんだよ!」
ラキはアイラの肩に顔を埋める。
「違う、ごめん。そんな事が言いたいんじゃない。無事なのか? 何もされてないのか?怪我はないか?」
矢継ぎ早に質問する。
「だ、いじょぶ…。手首掴まれた、ラキが教えてくれたように、やって逃げた から」
アイラは逃げられたけど、怖くて震えが止まらないという。
こんなに怯えて。
背中をそっと撫でる。小刻みに震える体。顔は涙でぐしょぐしょだった。
可哀想な事をした。どうして俺が現場に居なかったんだ。と悔しい思いをする。
ラキは優しく自分の袖で涙を拭きとると、すっとアイラのひざ裏に手を通すと横抱きにして店を後にする。
アイラはラキにしがみついて顔を伏せた、この店に来る時はいつもラキにおぶって貰ってるなと思った。
「アイラちゃん、大丈夫か?」
外に出ると心配顔したシイタさんが待っていてくれた。二人に迷惑を掛けてしまった事に深く反省し頷く。
シイタさんが現場を引き受けるから、ラキは送ってやってくれと言い残して自警団詰所へと向かって行った。
家までの道のりを横抱きで帰るのはさすがにラキの腕が心配だ。
「ラキ、私、歩けるから下ろして?」
「駄目だよ」
「大丈夫。その代わりラキの腕につかまっても良い?」
逡巡した後、ラキはアイラを地面に下ろした。
ふらつきを感じたがラキの腕につかまれば歩けそうだった。
「アイラ。 思い出したくない事だと思うんだけど、状況説明出来る?」
歩きながら見上げると榛色の瞳と目が合う。
「うん。 今日は急病人が出て夜当番を変わったの。それで、帰りに酔っ払いに絡まれて、誘いを断ったら…、手首を掴まれて、路地裏に連れて行かれそうになったから…」
ギリッ
ラキが歯を食いしばった音がした。殺気が溢れてる。
「あ、でも、ラキが教えてくれたやり方で手首も振りほどけたし、逃げられた。ラキぃ、有難う。 いつも、いつも私のためにって、色々教えてくれてたから、たすか…った」
アイラは我慢できず、再び涙を流す。
するとラキはぴたりと立ち止まり、アイラの両手を取って手首を確認する。
右の手首に強く握られた手形が残っていた。
「詰所行って加害者殺って来るわ」
物騒!!
「ラキ! あっちは大丈夫でしょ? シイタさん行ったでしょ?」
きっとシイタさんが来てくれたのはこの事も見越してだろう。さすが、出来る男。
ラキが加害者と会ったら命の保証は出来無さそうだ。
でも、全部自分が悪い。ラキを心配させたから。
この間から私は失敗ばかりしてる。やっとラキに会えたのだから話がしたい。
ラキの両腕を掴んで自分の方へと向ける
「ラキ、この間の、訓練場覗きに行った件、ごめんなさい!! 私、自分が悪い事したのに誤魔化そうとして…、最低だったよ。本当にごめんなさい」
一気に謝ると両腕事ラキを抱きしめた。
「それと…、本当は訓練場にラキを見に行った。 大人になったラキの練習が見たかったの。だって団長にまでなったんだよ? 絶対に私の知ってるラキとは違うもの…」
もぞりとラキが動いたので、力を入れて阻止する。今、顔を見られるのはご勘弁願う!絶対に真っ赤だから。
「アイラー、抱きしめたいから腕離して」
今、なんと?
ちょっと待って!
今、離したら抱きしめて欲しいって事になるの? いや、抱きしめて欲しいですけど?
ここは離すのが正解? 離さないのが正解?
混乱して固まっているとラキに解かれてしまった。そりゃ、そうだ。敵うはずがない。
ふわりと優しく囲ってくる。
ラキの香りに安堵する。これで目まぐるしい一日は本当に終わるだろう。
「アイラ。ごめんな。 最後に会った時、あんな別れ方だったのに中々会いに行けなかったから、気を使わせた…」
「ううん。私も恥ずかしくって本当の事言わなかったからいけないの。 ごめんなさい」
ラキの背中に手を回す。
「ラキ。 向かえに来てくれて、有難う」
「んっ」
どうしたのだろう?
ラキが動かない。背中をポンポンと優しく叩いてみる。
よく考えたらラキは騎士団の制服を着てるし、抱き合っている所を人に見られたらまずいのではないか?
「ラキ、帰ろう?」
「んっ」
やっと離れると、アイラの腕を取って自分の腕を持たせる。
「今日はアイラが寝るまで側にいようか?」
嬉しい! 嬉しいがそんな状態で寝られるわけがない。
でもラキと離れがたい気がしていた。
「それだとラキの明日の仕事に響いちゃわない? ん~、泊まってく?」
「泊まってく!?」




