表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

七話 名前を教えて

「ここが私の部屋……ね」


 すっかり執務室の掃除に夢中になって、肝心の自分の部屋を見るのを忘れていたけれど……。


 なんというか……この部屋……すごく……。


「派手すぎないかしら……?」


 私がぽつりと呟くと、使用人の彼女はビクッと肩を揺らしてこちらの様子を窺ってきた。


「お、お気に召しませんでしたか……?」

「いえ……まぁ、そうね、あとで模様替えを頼ませてもらうわ。家具は仕方ないとして……問題はあちこちに散乱している薔薇の花弁と、派手すぎるカーテンね……。ちなみに、誰の案でこの状態になったの?」

「その、だ、旦那様です……」

「…………なるほどね」


 まぁ、伯爵からしてみれば私は贅沢三昧のワガママ令嬢だものね。

 このくらい華美な方が満足するだろうと思ったのでしょうけど……私は機能性を重視するタイプなのよ。


 でも、もっと殺風景な部屋を想像していたから……きちんとした部屋が用意されていたのは、正直意外だった。


 初対面はあんな感じだったけれど、伯爵なりに私を妻に迎える気はあった、ということなのかしらね。


 問題はなぜわざわざ私を妻に……というところだけれど……。

 まぁそれは、本人に直接聞けばいいわ。



「夕食まで時間がないわ。ドレスのまま掃除をしてしまったから、少し裾が汚れてしまったの。夕食に相応しいドレスを選んでくれる?」

「はい! 好きな色はございますか?」

「そうね、赤でお願い。髪のセットは自分でやるから気にしないで」

「かしこまりました」


 子爵家では節約のためにほとんど使用人を雇っていなかったから、自分のことは自分で出来るようになってしまったのよね。


 令嬢らしくはないのかもしれないけれど……これが私だし、私はそんな私が結構好きだから、別に気にしていない。




「……あぁ、そういえば……まだあなたの名前を聞いていなかったわね。教えてくれるかしら? 私、あなたが気に入ったの」


 一生懸命にドレスを選んでいる彼女に向かってそう問いかける。

 すると、彼女はバッと私の方へ振り向いてから、弾けるような笑顔で答えてくれた。


「っスーザンです! よろしくお願いいたしますね、奥様!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ