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四話 教えてあげないとね

 私の言葉に、使用人たちが不安そうな顔をする。


 ……あぁ、そういえば……私は社交界では「贅沢三昧のワガママ令嬢」だと思われているのだったかしら。


 だから旦那様もあんな風に仰ったのね。納得だわ。


 なら最初にやることは決まったわ。

 私が「贅沢大好きワガママ令嬢」なんじゃなくて、「お仕事大好き節約夫人」だってこと、この屋敷の皆にわからせてあげなくっちゃね。


 そんなことを考えながら、私はもう一度使用人達に声をかけた。


「この家に仕えている人間はこれが全員?」


 私の問いかけに対し、皆の反応は様々。

 怯えている者、戸惑っている者、顔を歪める者……。まぁ、明らかによく思われていないのは確かね。


 仮にも伯爵夫人となった人間に対してその態度はどうかと思うけれど……まぁ、それ程までに伯爵の教育がなってないってことだわ。


 さてどうしたものかしらと思っていると、一人の侍女がおずおずと手を挙げた。


「あ、あの……! 執事長のバートンさんと、庭師や調理人の皆さんはここにはいらっしゃいません……!」

「あら、そうなの。彼らはどこに?」

「え、えっと……それぞれの持ち場でお仕事をされていると思います」

「執事長は?」

「執務室にいらっしゃるかと……」


 ____執務室ですって?


 はぁ、とついため息が漏れる。

 執事長がこの場にいないなんて……本当に、この屋敷はどうなっているのかしらね?


 それとも……よっぽど私は歓迎されていないという意思なのかしら。

 ……おそらく、両方ね。


「バートンさんをお呼びしましょうか……?」


 先程の侍女が涙目で話しかけてきたので、私は極力柔らかい笑みを浮かべながら彼女に話しかけた。


「いいえ、いいわ。その代わり、私を執事長のところまで案内してくださる?」


 どうせ執務室も使うことになるんだもの、丁度良いわ。


「わかりましたっ! ご案内いたします!」

「ありがとう。……他の皆はそれぞれの持ち場へ戻ってもらって構わないわ。あぁ、それとそこに置いてある私の荷物だけど……私の部屋へ運んでおいてくれるかしら?」

「か、かしこまりました……」


 本来なら、私が指示しなくてもこのくらいのことはやってほしいのだけれど、どうやら私は歓迎されていないようだし……まぁ仕方ないわね。


 これから教育していけばいいだけよ。


「では奥様、行きましょう!」

「えぇ」


 緊張した面持ちで案内役を買って出てくれた彼女の後ろを歩く。


 階段をのぼって、少し歩いたところに鎮座する荘厳な扉。

 その扉の前で彼女は立ち止まって、こちらですと私に頭を下げた。


「ありがとう。あなたも持ち場へ戻っていいわ」

「は、はいっ!」


 私がそう言うと、彼女はパタパタと早足で去っていってしまった。

 ……廊下の埃が舞ってるのが気になるわ……。



 まぁ、今はそんなことよりも……執事長と話をしなくちゃいけないね。





 ……この家でクランドール伯爵の次に誰が偉いのか、ちゃんと教えてあげないといけないもの。

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