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SIGNALS  作者: 九缶婆
2/4

第一話 〜分かつ者〜

⚠️注意⚠️

実在する暴動、殺人事件がモチーフの内容が含まれています。

〜R.C(紀元再生)40年。


「今日もロクなことが起きなさそうだ」


不揃いな街並みのノッポに座る1人の青年がボソリと嘆く。


赤い袖長のタートルネックに、黒い上着、身体を巡るようにつけ、長い筒を背中に抱えるように留めるポケット付きベルト。


彼は紅 龍我。


辺り一面乾燥地域が広がる中にある、あべこべでガラクタだらけの混沌の国、『ケイオス帝国』に住んでいる。


彼はこの混沌だが、絆深いこの国で育ってきた。


そんな国で最近、人々が妙な様子を見せていた。


「さっそく暴れている輩が居るな」それは、青天の霹靂の如く起こる騒動の連続。


彼は今まさに、その様子をノッポから捉えていた。


例え小さく見えてもそれは、一目瞭然の地獄絵図だった。


「商店街の常連さんだったよな?仲は良かった筈......」


それが嘘とでも言うかのように、理性無き人達が商店街を荒らしている。


それも理性無き人達は力自慢ばかりだった。


「事情は後で聞くとして、今は無力化だな」


そう言い龍我はベルトについてるポケットから巻尺を取り出す。


「詮索されないようにパパっと終わらせとくか」


彼が巻尺を両手に包んで何か念を込めた途端、彼の持っていた巻尺が分離するように変形され、大きくなってから彼の両腕に装着されていった。


右腕には巻尺の測る部分が鞭のように巻き付き、左腕にはカバー部分が盾のように装着された。


ノッポから落ち、すかさず彼は鞭のようなそれを他の建物の突起に絡めてターザンの如く移動する。


2、3回の空中浮遊の後、彼は急降下でターゲットに目掛けて盾のようなそれを突きつけた。


結果は見事に命中。


その姿は正にハヤブサ。


だが、まだターゲットはいる。


急降下で着地した為に砂埃が視界を塞ぐ中、仲間の1人がやられたのを見ず知らず暴れる人達の足元を鞭のようなそれでしばき、怯んで動けないターゲット達を鞭のようなそれで拘束し、商店街の裏側に吊るした。


この間、約5秒。


周りにいた一般人は目の前に突然広がった砂埃で何が起こったかも知らずに立ち尽くすことになった。


そんな様子を隠れて覗いた龍我はそっと胸を撫で下ろした。


「よし、"今回も"バレずにやれたな...」




「さて、いつも通りやっていくか」


俺は紅 龍我。


この混沌で活発な国を愛して止まない者だ。


とはいえ、さっきあったこの暴動はいけ好かない。


本来この国にある混沌はこんなバイオレンスなことではない。


あらゆる個性、思想、伝統、文化、言語、人種、その他多くのものが混在しながらもお互いを尊重して共存し合える自由な国だ。


そして誰もが他人を傷つけはしない。


そんなはずだったのにここ数年から暴動する人々が続出している。


丁度他国と戦争を始めてしばらくの時期だったろうか。


戦争とはいえ、この国では徴兵なんてないし、自分たちの生活必需品が戦争の影響で枯渇してる訳でもない。


だからこそこんな状況であることが不自然なのである。


拘束してからしばらくして、暴動を起こしていたほとんどの人達は、ようやく正気に戻ったようだ。


自身の置かれた状況に戸惑っているようだが、それは気にせず彼らに質疑応答する。


こんなことをするのは、彼らのような人達が揃って自覚がない状態であると知ったからだ。


だから、彼らには以前の記憶を喋ってもらいこっちはそれを記録するようにしている。


何せ、この事件には人為的な何かが作用してるように見えるのだ。


彼らに限らず今まで質疑応答した人達は、口を揃えてこう言う。


大きな絶望に打ちのめされた時に「"天使"が来た」と。


この国には似つかわしくない潔白を身に纏っていたそうだ。


彼らは天使から楽園に往くための"試練"を課されたそうだが、その直後に吐き気を催す絶望と希望の渇きを感じて今に至ったらしい。


彼らが知らずして特殊な薬物を摂取させられたのか、はたまた、強力な催眠なのか。


もしかしたら"自分と同類の力"なのかもしれない。


そう思い悩んでいた時、ふと視界の端に、異様な物が写っているのに気づいた。


「......マジかよ」


俺が目にしたそれは、不自然な位置に作られた、灰色に塗装された板が枠ぴったり張られた通行口である。


それも、板には腰辺りの高さに、回転させる取っ手が取り付けられていた。


間違いない、あれはこの国におけるタブーの存在。


"トビラ"だ。


この世界が再生する前までは、"トビラ"は窓のように仕切る存在だったそうだ。


ただ単純に部屋を隔てる存在だが、ここでは違う。


ここの"トビラ"は、繋げてしまうのだ。


俺たち人間の脅威となる存在の巣窟へと。


だが対処は知っている。


もし見つけたならば、トビラの様子を見つつ、トビラ管理局に連絡すればいい。


巻尺を取り出したところとは別のポケットからトビラ管理局通信用小型無線機を取り出し、電源をつける。


その途端、背後に人がいるのを感じた。


(まずい...!俺を嗅ぎつけて来た奴か!?)


しかし俺の後ろにいたのは、一般人でも政府の人間でもなかった。


暴れていた人達が口を揃えて言っていた"天使"だった。


この国に似つかわしくない潔白を纏っている。


間違いない、あれが元凶___。


「"試練"を越えれなかったか。でも大丈夫、もう一度"試練"を与えよう」


"場違いな白"はそう言い、俺が抑えた人達に触れた。


その直後、鎮まっていたはずの人達は実は狼男だったかのように理性を失い、声を荒らげて路地裏から抜けていった。


「元凶はお前だったか!!」


アイツは俺がいることに今気づいたかのような顔つきで目を合わせた後、呆れた表情を顔に塗り替えて言った。


「元凶?人聞きが悪いなぁ。じゃあこの人だけ返すよ」


遅れて暴走した1人が俺のところに向かって走ってきた。


いや、彼は俺ではなく、俺の後ろにある"トビラ"に向かったのだ。


「ちょっ、おい!!」


振り返った頃には既に彼は"トビラ"の奥へ入ってしまった。


そして俺は考える間もなく無意識に彼を追いかけ"トビラ"の奥へ向かってしまった。


「あの青年が龍我で間違いないな。でも、能力があっても"あの世界"で生きていられるかな? ましてや、"予言の子"と合流するなんて」




「クソッ、かなり奥に行ってしまった...」


本来ならば、如何なる場合に置いても"トビラ"に入ってしまった人を追いかけることは危険として禁止されていた。


だが、もう入ったからには彼を探す他ないだろう。


"トビラを"入った先の世界は不気味だった。


自分のいた世界は冷たい風が砂嵐を起こし、乾燥していて命の息が少ない、しかし多くの人々が集まって生きる活気に満ちていた場所だったのに対し、此処は生命の息もない洞窟のように冷たく息苦しい場所だった。


此処には、"ナレノハテ"という存在がいる。


ヤツらは此処を巣窟として生息し、ヤツらのテリトリーに入った対象を殺すそうだ。


なるべくヤツらに会うことなく奥へ行ってしまった彼を救出したい。


しばらく歩いて、此処の背景が分かってきた。


此処の世界は、入る"トビラ"によって背景が違う。


どれもその冷たさと息苦しさは変わらないが、そこに生息するヤツらはその背景によって種類が違う。


今回俺がいる此処は、"紀元再生より前"の現実世界にあった今で言う"学校"らしい。


廊下には個室へ繋がる通行口と横へ連なるロッカー、時々"赤白の横線の左上に星がズラリと並べられた四角の青の模様が描かれた旗"を見る。


俺のいた世界の校も、形式上は大体同じである。


ただ不可解なのは、あちらこちらに銃痕が刻まれていること、床には空の弾丸が転がっていたことだった。


自分たちの技術ではない......


"仮にこれが銃なら、本来こんな運用はしないはずだ"。


思案に耽っていた時、廊下の曲がり角から足がした。


「......」


だが、俺は声をかけない。


その向こうに、彼がいるとは限らない。


ヤツらの可能性もある。


何より、大声を出せば、居場所をバラすことになる。


足音はこちらへ向かっている。


ならば、いつでも対応できるよう構えるだけだ。


以前に鎮静と拘束のために使用した道具を用意する。


廊下の先にある死角から覗き込んだそれは、


「銃口......?」


それにしてはあまりにも大きかった。


大砲と言ってもいいだろうそれは途端にこちらを向けた。


それは、瞬く間にその場を震わす爆発を起こした。


危なかった。


デカイ銃口から飛び出た弾を耳へ掠めたのを気づいてすぐ、身体中の血が一斉に引いたように感じた。


ヤツだった。


頭から銃が飛び出たヤツは、俺の想定外の挙動をした。


(銃は本来、"エネルギーを送り込む装置"じゃなかったのか!? まさか直接こちらに飛ばすとは、アレが紀元再生前の運用なのか!?)


そんな奇想天外なヤツの名は、『ショット・エンド』。


個体差はあるが、全身のうち1箇所に生えた銃口によって遠くから弾を発射し、対象を射殺する"ナレノハテ"の一種。


全身が撃たれたような風穴を作っており、これも個体差がある。


撃たれた対象は、1週間以内に処理しなければ同じショット・エンドに成り果てる。


ヤツへの対処方法は、身を守る物体に隠れること。


俺は教室だろう部屋に駆け込み、机を壁にするように並ばせた。


これで何とかやり過ごせそうだ。


......なんてそんな悠長なことも言ってはいられず、突然、周りに配置した机だったものが流星群の如く放たれる弾と共に四方八方に飛び散る。


フレームがちぐはぐな映像みたいな惨状に目が追いつけずチカチカする。


ヤツは、この部屋に入るまでもなくただひたすらに乱射したのだ。


「何か創り出すしか......机、机、机と言えば......」


道具を思いつこうにも、冷静を失った頭では何も思いつきやしない。


それでも必死に頭を回転させるしか他はない。


「もうこれでどうにかなれッ!!!」


俺の手が持った道具は、何の代わり映えもない机だった。


「あ、不発......」


拍子抜けした俺を、部屋に入ったヤツは頭に生えた銃口を覗かせるように首を動かした。


途端に目の前に閃光が広がったかと思えば、左肩から強烈な痛みが走った。


反射的に避けたことで辛うじて胸を避けたが、肩を撃たれれば、動きに大きな制約がかかる。


顔を歪めながらもヤツの銃口先を目で捉えつつ廊下へ向かう。


しかし、逃げようとしてることを悟られたのか、目の前で廊下への通路を破壊され、逃げ道が絶たれた。


絶体絶命であった。


人を助けるどころか、生き延びることすらままならない。


「万事休す......か」


不思議と自身に迫る"死"を容易に受け入れられた。


人は死を前にすると冷静になれるのだなと身をもって知った。


ヤツが今度は逃さないと銃口をじっくりと合わせる。


もう、撃たれた肩の痛みは感じない。




「シルバーバレッド?」


「打開策って意味さ、銀の弾丸は不純な脅威を退けると信じられていて、困難に対抗する手段として比喩されたことからきているんだ」


「へぇ......でも弾丸ってカートリッジと何が違うんだ?」


「そうだね、カートリッジはエネルギーを送り込むためにあるのに対して、弾丸は対象を殺すためにあるって感じかな。要は目的の違いだね」


そういえば、俺が暇つぶしにマスターの持ってる本を読んでいてその言葉が気になったんだ。


それで博識なマスターが教えてくれたワケだけど、こんな話が走馬灯に出てくるのかよ......


確かに今まさに銃を頭に貼り付けた怪物と関連はあるかもしれないが......


「シルバーバレット」......


そういえばこの場所は空の弾丸が辺り一面に転がっている。


探せばきっと未使用の弾丸があるかもしれない。


ましてやそれが銀の弾丸であるならば...!



「うおおおおおおお!!!!」


意を決した。


はね飛ばされたように全身を横に倒し、辛うじてヤツの狙撃を回避した。


全身を地面に打ち付け、消えていた肩の痛みがまたズキズキと脳に信号を飛ばす。


痛みでパニックになりそうな頭を必死に回し次の手に移る。


先程破壊された通路に背中を寄せる。


ヤツは予想通りこちらに銃口を向け射撃する。


前にギリギリ避けてきたことに憤りを感じたのか、こちらへ何発も連射していった。


むしろ好都合。


咄嗟に頭を地面にぶつける勢いで下ろす。


案の定その攻撃によって後ろにあった瓦礫が吹っ飛び大きな穴を見せた。


そそくさと廊下に飛び出た俺は全速力で走りながら廊下に転がる空の弾丸から未使用の弾丸を探す。


右から左、左から右へと目を走らせる。


後ろからはやはりヤツが追ってきており、正確に定めもせず乱射してきている。


こんな状況で見つけ出すのは荒波の中でガラス玉を探すのと同等と言っても過言ではないほどに困難。


しかし、俺は廊下の微弱な照明に照らされる空の弾丸たちから白く輝く"それ"を見つけた。


前傾姿勢で走っていたところから腰を一気に後ろに突き飛ばし、尻餅をつきながら"それ"がある位置に片手を伸ばす。


突然、手元にヤツの弾丸が飛んできて、その辺りにあった弾丸たちを弾ませた。


もちろん、そこにあった"それ"も。


「俺の"打開策"、無駄にして終われるかあ!!!」


何処から湧いたか分からぬ力が全身を飛び上がらせる。


これが火事場の馬鹿力というものだろうか。


空へ舞う"それ"を今度は両手でしっかり掴んだ。


宙に上がる俺の姿を隙と捉えたかヤツはしっかり銃口を合わせ、絶対に殺ると言わんばかりに連射した。


だが、もう恐れはしない。


今の俺には「銀の弾丸」があるから。




紅 龍我、彼が手にした"それ"は、彼の"打開策"になる"銀の弾丸(シルバーバレット)"であった。


彼が以前巻尺にやったように、


その弾丸に念を込めていた。


念を込められたその弾丸は、たちまち大きさを変え、眩いほどに光を放ちながら彼を包んでいく。


ヤツ___もとい"ショット・エンド"が彼に放った攻撃は全てその眩さに参るように弾かれる。


全身を輝かせるその光が収まり、龍我の輪郭が明らかになる。


彼の姿は、二つに割った薬莢を両腕に、弾頭を胸に取り付けたシンプルな装甲であった。


もっと複雑な造形でカッコイイ仕上がりになると思っていた龍我は拍子抜けした顔を見せたが、すぐに気持ちを切り替えた。


「まあ、こんなもんだろう」


龍我はひとっ走りでショット・エンドに突っ込んでいく。


次こそはといつも以上に速く連射してくるが、龍我の腕にある薬莢が盾として攻撃を弾いていく。


龍我は只々足を止めず突っ込んでいく。


まさに、弾丸の如く。


「このまま突っ込むッ!」


そう言い龍我は両脇を締めて小さめの前ならえのポーズで加速を上げる。


空気を破り突き進むその加速力は、ショット・エンドの連射間隔コンマ1秒で10m先から間合いに接近する程の凄まじさである。


その速く大きな弾丸が、ショット・エンドにめがけて突っ込む。


しかし、倒したと確信した龍我が気づいた時には、彼自身が天井をぶち抜く勢いで天高く飛ばされていた。


まさに、跳弾の如く。


実は彼が対面しているこのショット・エンドは個体差ある中でも特にしぶとい部類に入る。


この部類に入る対象の全てに共通するものは、全身に現れている風穴の数。


今、龍我が対面しているショット・エンドは大小含め17個、しぶとい部類の中でも上澄みに入る上級個体である。


そんなヤツに、龍我の攻撃が効かないのも納得である。


天高く飛ばされた龍我は上の階まで突き破り、その階の天井でようやく止まった。


彼の背中に激しい痛みが走ってるのを彼の苦悶の顔が物語っていた。


しかし、彼の目はしっかりショット・エンドを捉えていた。


龍我は天井にめり込んだ状態で天井のひび割れたコンクリートから小石程度の大きさをもぎ取り、ショット・エンドに向かって投げた。


彼の投げた塊は弾丸と同じ速さで加速し、ショット・エンドの足元の床に風穴を開けた。


龍我はひっきりなしに塊を投げる。


どの塊も例外なく弾丸のように加速しては、同じようにショット・エンドの足元の床に風穴を開けていく。


「この形態での俺は、力を込めて動力を起こした対象を弾丸と同じ速さで動かせるみたいだな!」


そう、彼自身が弾丸と同じ速さで走れたこと、塊も同じく速く飛ばせた理由は、現在の彼の形態によるバフだったのだ。


彼はその力を今度はショット・エンドにではなく、ヤツの足元の床に狙った。


床に施された風穴は、ショット・エンドを囲むような形で円を描いた。


攻撃が止み、ショット・エンドが反撃を仕掛けようと銃口を向けたとき、突如真上から巨大な弾頭が飛んできた。


「お前を倒せねえなら、場外に飛ばせばいいッ!」


龍我は胸元に取り付けられた弾頭を外し、自らが発射薬の役割を担い、その弾頭を蹴り飛ばしたのだ。


彼のバフによって加速した巨大な弾頭。


その大きさが弾丸と変わらぬ速さとなれば、もはやそれは大砲そのもの。


突然の追撃に対応できず、まともに喰らってしまったショット・エンドは耐え凌ごうと踏ん張る。


しかし先程龍我がショット・エンドの足元に作った円状に空けられた床が勢いに耐えきれず崩れ、押してくる弾頭とともに真下へ落ちていった。


真下はそこの見えない奈落であった。


「ショット・エンド、クリア!」


静寂を取り戻した空気の中、龍我がそうぽつりと呟いた。




紅 龍我、彼の能力は触れたものの性質を二つに分離させること。


生成される道具は、彼の想像力に委ねられる。


彼のような非現実な特性を持つ特殊能力者を、この世界では"象徴者(SIGNALS)"と呼ばれ、世間で観測されてるのは、彼を除き四人、そして後に、もう一人がその枠に加わることとなる。


その人物は____。




「どこに入ればいいんだろ...」


無機質で狭い廊下の天井に並び、ちぐはぐに光る蛍光灯が壁一面に並べられた形様々な"トビラ"を暖色に照らしている。


そこには例の予言の子が同じように照らされながら立っていた。


砂嵐の中にあった"トビラ"から入ったのだろう。


今、彼女は次の行き先を悩んでいた。


無理もない、ここはあらゆる行先に繋がる回廊である。


元いた世界に繋がるのか、はたまた"ナレノハテ"が潜む異世界に繋がるのか。


廊下に連なる様々な形態を持つトビラをじっくり観察してみても、その先に続く世界がどういうものか見当がつかない。


そう思いながら連なるトビラを眺めていた彼女はふと、ひとつのトビラに目を留める。


「これって、"EXIT"......?」


シンプルな造形のトビラに施された出口を意味するアルファベット四文字。


如何にもこの場から抜けれるルートのように感じた。


「他のところはパッとしないし、ここにしよう」


そう決心した彼女は、そのトビラを開き先へ進んだ。


よく言えば挑戦的、悪く言えば浅はかな彼女の行動は、後に大きな歯車を動かすこととなる。


彼女の行先は、"学校の非常口"。

少女もまた、"ナレノハテの世界へ_____!!

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