プロローグ
世界は、滅んだ。
"平和"を望む一人が世界に
"絶望"したからである。
しかし、誰かが抗った。
"自由"を望む一人が世界に
"希望"を持っていたからである。
激しい戦いの末、世界は"再生"した。
しかし、元に戻ることはなかった。
抗った一人が救いたかった一人の友達すらも。
ここは乾いて冷たい風が吹く乾燥した世界。
砂嵐が立ち込め、生き物の息がかき消される過酷な世界。
しかし、確かにそこに命がある。
僅かな灯火から繋がり広がった命の集まりがある。
そしてその命は善にも悪にも平等に在る......
今、その命の集まりに一人の命が入ろうとしている。
少女である。
ミント色の長い髪をなびかせたその姿は、砂嵐が流れる中でも鮮明に見えるほどだった。
褐色の肌に深緑色の服とツギハギな鎧を身にまとい、腰には黒いローブを巻いており、その布には見慣れない灰色の紋章を大きく見せていた。
そんな姿をした彼女が何処からやってきたか誰も知らない、不思議な存在。
しかしそれ以上に不思議なものが彼女の前に現れる。
何も無い所に立ち尽くす何のためにあるか分からぬ"トビラ"である。
開いてみると、不思議なことに部屋が広がっている。
彼女は砂嵐吹くこの場から逃げるようにそこへ入っていく。
その"トビラ"が閉じてしばらくして、遠くからそのさまを見ていた怪しい影が姿を現す。
仮面を被り、白いロングピーコートを身につけた露出度が極めて低い姿である。
その服の懐から無線機らしきものを取り出し、低く、しかし喜びを堪えたような声で無線先に伝えた。
「白天使くん、龍我くんを"トビラ"に向かわせてくれ。来たんだよ、"あの子"が」




