3話 領軍とバレルズとの出会い
数日後。
伯爵家の馬車が、ブラドリー領軍の駐屯地へ入った。
キリムは窓から身を乗り出すようにして外を眺めていた。
広い。
屋敷の訓練場とはまるで違う。
中央では数十人の兵士が走り、その向こうでは長槍が一斉に突き出されている。さらに奥には弓を構える兵士たち。馬場では騎兵が土煙を上げていた。
「キーぼん」
低い声に呼ばれて、キリムは馬車を飛び降りた。
「ウオドリー隊長!」
声の主は、三十代後半の女性だった。
シャーロッテ・ウオドリー。
ブラドリー領軍を預かる軍隊長であり、母ケイトリンの古い友人でもある。
飾り気のない防具に、腰には剣。そして反対側には細く巻かれた鞭。
シャーロッテは駆け寄ってきたキリムをしばらく見下ろした。
そして、無言のまま赤い頭に手を置いた。
わしゃわしゃ。
「大きくなったな」
「髪ぐちゃぐちゃになる!」
「前よりだいぶ大きい」
「僕だってもう10歳だよ!」
「そうか」
もう一度、わしゃわしゃ。
「もういいって!」
そこへ、馬車から降りてきたケイトリンが笑いながら近づいた。
「久しぶりね、シャーロッテ」
「ああ」
「相変わらず愛想がないわね」
「そうか」
「そこも変わらないわ」
ケイトリンだけが一人で楽しそうにしている。
近くにいた兵士がちらりと二人を見た。
いつも無駄口ひとつ叩かない隊長に、ここまで気安く話しかける人間は珍しいのだろう。
シャーロッテはケイトリンからキリムへ視線を戻した。
「伯爵閣下から話は聞いている。ここで鍛えたいそうだな」
「うん!」
「遊びではないぞ」
「分かってる」
「ならいい」
それだけだった。
だがケイトリンには、まだ言いたいことがあった。
「そうだ、シャーロッテ。聞いて」
「何だ」
「キリムね、治癒魔法が使えたのよ」
ケイトリンの声が明らかに弾んでいた。
「まだ本当に小さな傷ぐらいしか治らないんだけどさ、でも間違いなく治癒の適性があるの。私と同じ」
「そうか」
シャーロッテが短く答える。
ケイトリンは眉を寄せた。
「もっと驚いてくれてもいいでしょう?」
「驚いている」
「顔に出てないわ」
「昔からだ」
「母様、もういいよ……」
母に自慢されるのが気恥ずかしくなり、キリムが口を挟むと、ケイトリンは不満そうだった。
「だって嬉しいんですもの。治癒魔法は誰にでも使えるものではないのよ?」
「分かってるって」
シャーロッテがキリムを見る。
「母親と同じものを持っていたか」
「うん」
「なら、大事に使え」
短い言葉だった。
キリムは素直に頷いた。
「うん」
その返事を確認してから、シャーロッテは馬車の後ろに積まれた大量の籠へ目を向けた。
「……あれは?」
待ってましたとばかりにケイトリンの顔が明るくなった。
「それも試してほしくて持ってきたのよ」
籠が開けられると、兵士たちが集まってきた。
「なんだこれ?」
「パンだろ」
「ずいぶん細長いな」
「中に肉入ってるぞ」
鶏肉。
卵。
何種類かの野菜。
そこへ料理長が試した数種類のソース。
キリムが考え、ケイトリンが話を大きくし、料理長がどうにか食べ物の形へ戻した結果である。
ケイトリンが兵士たちへ声をかけた。
「試作品です。よかったら食べてみてくださいな」
最初に手を伸ばした兵士が一口かじる。
「……うまい」
その一言で、周囲の兵士も次々と手を伸ばした。
「お、ほんとだ」
「食いやすいな」
「これなら立ったままでも食える」
「野菜入ってる割にはうまいぞ」
それを聞いたケイトリンの眉がぴくりと動いた。
「野菜だけでも美味しく食べなさい」
「は、はい! 夫人!」
兵士の背筋が伸びた。
キリムはパンを一つ取ると、中を確認した。
「僕の、肉少なくない?」
すぐにケイトリンが答えた。
「同じ量です」
「倍にしてって言ったのに」
「却下したでしょう」
近くにいた若い兵士が、その会話を聞いて笑った。
「坊ちゃん、俺も肉倍がいいです」
「だよね!」
キリムが嬉しそうに振り返る。
ケイトリンは二人を交互に見た。
「野菜も倍なら考えます」
若い兵士が黙った。
キリムも黙った。
二人ともパンを食べ始めた。
「似た者同士ね」
ケイトリンが呆れる。
一方、シャーロッテはパンを食べながら兵士たちの様子を観察していた。
皿はいらない。
匙もいらない。
片手で持てる。
兵士たちが短い休憩時間でも食べ終えている。
「ケイトリン」
シャーロッテが親友へ声をかけた。
「何?」
「遠出にも使える」
「やっぱり?」
「ただし、今のままでは長く持たん」
シャーロッテはパンの中の野菜を見る。
「水気の多いものは傷みやすい。肉も変えた方がいい」
その瞬間。
ケイトリンの表情が変わった。
「ああ、それなら遠征用は別にしたらいいのね」
「そうだな」
「パンも少し硬めにして――保存の利く野菜を使って――それなら鶏肉だけじゃなく干した肉も……」
ケイトリンはもう止まらない。
近くの兵士にも尋ね始めた。
「皆さん、遠征ではどんなものを食べるの?」
「え? あ、乾パンとか、干し肉とかですが」
「何日くらい?」
「行軍次第ですけど……」
「でしたら三日用と五日用で――」
「母様」
キリムが呼んだ。
「なあに?」
「また大きい話になってる」
「必要なことですよ?」
ケイトリンは何を言っているのか分からないという顔をした。
シャーロッテは止めなかった。
兵士の一人が、キリムへ小声で話しかけた。
「坊ちゃん」
「なに?」
「伯爵夫人って、いつもこんな感じなんですか?」
キリムは少し考えた。
「最近こうなった」
「なるほど……」
兵士はよく分からないまま頷いた。
パンの試食が一段落すると、シャーロッテはキリムを訓練場へ連れていった。
「剣を持て」
「うん」
キリムは木剣を取る。
慣れた動作で右足を引き、腰を落とす。
剣先を相手へ向ける。
シャーロッテは黙ってそれを見る。
「……ブラドリーの流れを汲む、いい構えだ」
「ほんと?」
「ああ」
キリムの頬が緩む。
父から教わり。
兄セリウムと何度も打ち合って身につけた構えだ。
「じゃあ――」
パシン。
乾いた音がした。
「え?」
いつ抜いたのか分からなかった。
シャーロッテの鞭が、木剣へ巻き付いている。
次の瞬間。
木剣がキリムの手から飛んだ。
地面を転がる。
キリムは空になった右手を見る。
木剣を見る。
もう一度、自分の右手を見る。
「……ずるい」
「戦場では言えないぞ」
シャーロッテが淡々と返す。
「敵が剣を返してくれるか?」
「……返してくれない」
「なら拾え」
「はい」
キリムが木剣を拾う。
少し離れたところで見ていたケイトリンが笑っていた。
「シャーロッテ、いきなりそれ?」
「伯爵閣下から甘やかせとは言われていない」
「私は無茶をさせないでとは言ったわよ」
「承知している」
シャーロッテはキリムを見る。
「次は走ってこい」
「え?」
「外周を一周」
「剣は?」
「持っていけ」
「剣術の訓練じゃないの?」
「走れ」
キリムは木剣を持ったまま走り始めた。
領軍の敷地は、外から見ていた以上に広かった。
しばらく走ると、長槍を持った兵士たちが見えてきた。
「構え!」
号令と同時に、長い槍が一斉に前へ向く。
「突け!」
ザッ!
空気を裂く音まで揃っている。
キリムは思わず速度を緩めた。
長い。
剣より遥かに遠くへ届く。
「前を見ろ」
いつの間にか後ろを走っていたシャーロッテが言う。
「槍兵を見てたんだよ」
「走りながら見ろ」
キリムはまた速度を上げた。
次に見えたのは弓兵だった。
十数人が横一列に並ぶ。
「放て!」
弦が鳴った。
矢が一斉に空へ飛び、遠くの的へ突き刺さる。
「おお……!」
さらに走る。
今度は大きな盾を持った兵士たち。
盾を並べて壁を作り、号令に合わせて少しずつ前へ進んでいる。
その向こうの馬場では、騎兵が馬を走らせていた。
馬上から槍を突き出し、藁人形を貫く。
武器庫の前には大量の槍。
斧。
弓。
盾。
キリムがこれまでほとんど意識したことのなかった武器ばかりだった。
鍛冶場では刃を研いでいる。
馬小屋では兵士が馬の脚を確認している。
炊事場では大鍋から湯気が上がっている。
少し離れた場所では、腕を怪我した兵士が包帯を巻いてもらっていた。
剣を持った騎士だけではない。
軍は、こんなにも多くの人間で動いている。
キリムの足は走り続けていたが、目だけは忙しく左右へ動いていた。
父が率いているもの。
自分がなりたいと思った騎士。
その姿が、ほんの少し違って見え始めた。
一周を終えた。
「ふぅ……」
キリムが息を整える。
シャーロッテが槍を一本差し出した。
「次」
「え?」
「槍を持て」
「槍の練習?」
「走れ」
「また!?」
二周目。
「長くて邪魔!」
「そういう武器だ」
「走るのに邪魔!」
「戦場では縮まん」
三周目。
斧。
「重い!」
「知っている」
「剣よりずっと重いよ!」
「それを軽々と振る相手もいる」
「……そっか」
「喋る余裕があるな」
「あるけど」
「もう一周」
「なんで!?」
四周目。
盾。
「これ持って走るの!?」
「そうだ」
「一番邪魔!」
「それで人を守る」
「走りづらい!」
「だから走る」
「隊長、全部それで終わらせてない!?」
シャーロッテは答えなかった。
キリムは走った。
その後、キリムは何日かおきに領軍へ通うようになった。
毎日ではない。
ケイトリンから魔法を習う日もある。
何もしない日もある。
身体を休め、食べ、眠る。
最初、キリムは休む日が気に入らなかった。
「何もしなかったら強くならないよ」
そう言うキリムに、シャーロッテは短く答えた。
「休むのも訓練だ」
ケイトリンも同じことを言った。
二人から同じことを言われては、さすがのキリムも従うしかない。
領軍へ来る日は、色々な武器に触れた。
槍。
斧。
盾。
弓。
弓だけは、驚くほど当たらなかった。
「止まってるのに!」
「的は逃げない」
「それなのに当たらない!」
「だから練習する」
「走って斬った方が早くない?」
「矢より速く走れるならな」
キリムはしばらく考えた。
「……弓も覚える」
「そうしろ」
少しずつ。
本当に少しずつ。
キリムの中に、剣以外の戦い方が増えていった。
ある日の午後。
キリムは小盾と木剣を持ち、一人で訓練場の端にいた。
今日はシャーロッテから教わった動きではない。
夢の中の男が、ゲームで使っていた動きだ。
一撃。
剣を戻し切る前に、手首を返して二撃目。
さらに一歩。
盾を前へ突き出し、その反動から三撃目。
一度攻撃を始めたら止まらない。
ゲームでは『連撃』や『コンボ』と呼んでいた。
一撃ごとに構え直すのではなく、次の動作へ繋げる。
右。
左。
盾。
突き。
キリムは頭を捻りながら何度も繰り返した。
「……妙な動きだ」
声がして、キリムが振り返る。
シャーロッテが立っていた。
「ゲームでやってた動き」
「剣術か?」
「分からない。でも、こうやった方がいっぱい攻撃できる」
「相手に試したか」
「まだ」
シャーロッテは少し考えた。
ちょうどその時。
木箱を抱えた少年が、二人の近くを通りかかった。
「バレルズ!」
シャーロッテが呼ぶ。
少年が止まる。
「ん?」
「それを置いて、こっちに来い」
木箱を地面へ置く。
バレルズはキリムと同じくらいの年頃だった。
日に焼けた顔。
少しくたびれた服。
兄弟の多い農家の子で、軍の雑用を手伝えば飯を食わせてもらえると聞き、最近はよく駐屯地へ顔を出していた。
キリムが伯爵家の次男だとは知らない。
シャーロッテが「キーぼん」と呼んでいるので、自分もそう呼べばいいと思っている。
「キーぼんの相手をしろ」
シャーロッテが言った。
バレルズはキリムを見る。
「なんで?」
「終わったら菓子を一つ追加してやる」
「やる」
即答だった。
キリムが呆れる。
「菓子だけで?」
「菓子だぞ」
「まあ……菓子だけど」
バレルズは真顔だった。
シャーロッテは二人へ同じ木剣と小盾を渡した。
「同じ条件だ。始めろ」
キリムが構える。
バレルズも構えた。
だが、剣の持ち方からしてぎこちない。
最初の一撃。
キリムの木剣が、小盾の横を抜けた。
バレルズの肩へ軽く当たる。
「一本」
シャーロッテが告げた。
「え?」
バレルズが自分の肩を見る。
「もう終わり?」
「続けろ」
シャーロッテが言う。
もう一度。
今度はバレルズも盾を上げた。
だが遅い。
キリムが下から回り込み、脇腹へ当てる。
「二本目」
「キーぼん、強えな」
「僕、ずっと兄上とやってたから」
三度目。
バレルズが剣を振ってきた。
大振りだった。
キリムは小盾で受け、そのまま横へ回って背中へ木剣を当てる。
「三本」
最初は勝負にならなかった。
キリムには、父と兄から教わった剣がある。
バレルズには、ほとんど何もない。
だが。
四度目。
キリムが例の連撃を使った。
一撃。
バレルズの盾。
二撃。
また盾。
三撃目。
今度は間に合わず、腕へ軽く触れる。
「惜しい!」
キリムが笑った。
五度目。
一撃。
二撃。
三撃。
最後だけ、盾が間に合った。
「お?」
六度目。
バレルズは最初から盾を前へ出した。
キリムの一撃。
受ける。
二撃目。
受ける。
三撃目。
今度は剣が肩をかすめただけだった。
明らかに変わっている。
キリムが右へ動く。
盾も右へ。
左へ切り返す。
盾がついてくる。
上。
盾。
足元。
盾が下がる。
「もう慣れたの?」
「分かんない」
「分かんないの!?」
「なんとなく」
キリムの顔に笑みが広がった。
「じゃあもっと速くする!」
一撃。
二撃。
三撃。
バレルズは下がる。
だが、盾は間に合う。
今度は当たらない。
キリムには技術がある。
攻めればバレルズを押せる。
しかしバレルズも、もう一方的にはやられなくなっていた。
キリムの攻撃を受けるたびに、盾の使い方だけが目に見えて良くなっていく。
シャーロッテは黙って二人を見ていた。
そしてキリムも、ひとつ気づいた。
バレルズの剣。
ほとんど使われていない。
盾ばかり動いている。
ふと。
シャーロッテに鞭で剣を奪われた日のことを思い出した。
――武器をなくせば。
ゲームでも似たことをやった。
武器を持つ手を狙う。
攻撃手段を潰す。
キリムは大きく上段を見せた。
バレルズの盾が上がる。
その瞬間。
自分の小盾を、バレルズの剣を持つ腕へぶつけた。
腕が外側へ流れる。
そこへ木剣を下から打ち上げた。
カンッ!
バレルズの木剣が宙を舞った。
地面へ落ちる。
「取った!」
キリムは笑った。
これでまた自分が有利になる。
バレルズは地面の剣を見る。
一秒。
二秒。
拾わない。
「……剣、拾わないの?」
「いらね」
「え?」
バレルズは空いた右手を盾へ添えた。
両手で構える。
「こっちの方が楽だ」
キリムは首を傾げた。
攻撃する武器がない。
なら簡単だ。
「じゃあ行くぞ!」
キリムが踏み込んだ。
ガンッ!
「え?」
木剣が横へ流された。
二撃目。
盾を傾けられ、また剣が外れる。
三撃目へ繋ぐ。
その前に。
バレルズが半歩前へ出た。
盾そのものがキリムの間合いへ入ってくる。
剣を振れない。
キリムが下がる。
「……」
もう一度。
上。
盾。
横。
流される。
足元。
下がった盾が受ける。
フェイント。
ついてくる。
連撃。
一撃。
二撃。
三撃。
全て盾で防がれる。
剣を持っていた時には何本か取れた。
少し慣れてからも、キリムは攻め続けることができていた。
なのに。
剣を捨てた途端。
一度も当たらない。
最後の一撃を受け流したバレルズが、盾の上から少しだけ顔を出した。
「フフン」
「…………」
キリムが眉を上げた。
「今、笑ったな?」
「オラ、笑ってねえ」
「フフンって言った!」
「フフン」
「もう一回やろう!」
バレルズがシャーロッテを見る。
「菓子増える?」
「増えん」
「じゃあ――」
「もう一回!」
キリムが叫ぶ。
バレルズは少し考えた。
「仕方ねえな、キーぼん」
「よし!」
もう一度。
今度は最初から。
キリムは剣と小盾。
バレルズは盾だけ。
さっきまで一方的だった勝負を見ていた兵士たちも、いつの間にか何人か足を止めていた。
「おい、あの坊主、急に当たらなくなったぞ」
「盾だけの方が強いってどういうことだ?」
「変な奴だな」
キリムはもう周囲の声を聞いていなかった。
右。
左。
上。
下。
連撃。
フェイント。
盾打ち。
突き。
夢のゲームで覚えたことを、思いつく限り試した。
それでも。
最後まで、バレルズの盾を抜くことはできなかった。
「そこまで」
シャーロッテの一言で、勝負が終わった。
「まだやれる!」
キリムがすぐ抗議する。
「終わりだ」
「あと一回!」
「今日は終わりだ」
「でも――」
「無理せず休んで身体を作るのも訓練だ」
キリムは口を閉じた。
最近、何度も聞いている言葉だった。
食べる。
眠る。
休む。
強くなるには、それも必要だ。
「……分かった」
渋々、木剣を下ろす。
その横で、バレルズがシャーロッテへ手を差し出した。
「何だ」
「菓子」
シャーロッテはその手を見た。
「忘れていなかったか」
「そのためにやった」
キリムが吹き出した。
「僕との勝負は?」
バレルズはキリムを見る。
「面白かった」
「ほんと?」
「ああ」
それから、自分が抱えている盾を見る。
「これも面白い」
シャーロッテの視線も盾へ向いた。
「そうか」
短く答える。
「なら、次からもそれを使え」
「訓練に参加してもいいの?」
「ああ」
「飯も出る?」
「働けばな」
「じゃあ来る」
即答だった。
キリムは笑った。
「次は絶対その盾抜くからな」
「フフン」
「また笑った!」
周りの兵士たちが笑う。
シャーロッテは何も言わない。
ただ。
盾を抱えた農家の少年と。
もう次にどう攻めるか考え始めている赤髪の少年を見ながら。
ほんの少しだけ、口元を緩めていた。
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