第三十九話 魔王
「オイ」
「ハッハイッ」
「クロトを呼べ」
「ハイーッ」
がチャッ、、バタン、、、
えええぇぇぇー
バタンッ、、がチャッ!
「いませんでし「どこに行きやがったあの野郎、、探せぇー!」
「「「ハイー」」」
ここは獣王国からおよそ南東に9000キロ「日本からだとおよそニュージーランドの距離」
草一本生えてない魔族領デギサス国
怒鳴っているのがゴリゴリの筋肉達磨に太く真っ黒な角を両サイドに生やした魔王ウルギローム・デギサス
建物は、、、建物とは呼べないドロドロした紫色のマグマが固まったような集合体と呼べばいいのか、、とても気味が悪い構造だ
そしてここ魔族領はほとんど光が差し込まない
言うなればずーっと朝日の登らない夜明け前の時間帯
または、日が落ちる間際の黄昏時
その位しか灯りがないせいか皆目がギンギラギンに開いていて若干怖い
そして魔族だからか、、陽が当たらないからか、、短気だ、、すぐ怒鳴る
そして上下関係が厳しい
奴隷みたいにずーっと良い思いなく一生を終える者がほとんどである
そんな土地に産まれてきたので、ソレが当たり前だと皆思っている
しかし魔王の息子クロトは違った
「父さま、、何故皆に優しくしないのですか?」
「クロトよ、、優しくして何の意味がある」
「一緒に過ごす者とは仲良くするべきです」
「ハッ、オマエは変わってるな。いいか、俺が主だ、コイツらは奴隷だ、、それだけだ」
「父さまは心の底から笑った事はありますか?」
「何だと?、、そんなこと、、あるだろ」
「、、無さそうですね!やはり皆んなと仲良くしましょう」
「おい、、待て、、オマエは次期王ぞ」
「裸の王様は嫌です!僕は友達が欲しいのです」
「待て待て、、逃げるな、クロトー!オイッ」
事あるごとに意見が食い違う父親と息子
魔王が不思議に思うのも当然である
息子のクロトは転生者だから
「でさー昨日の番組ちょー面白かったよな」
「うん、やっぱりあそこで必殺技が良かったよね」
「ああ、魔法使ってみたいなー」
「子供みたいだね、健太くん」
「なんだよ、、黒岩こそ子供っぽいとこあんだろ」
「僕は、、大人だよ」
「うそつけ!じゃあお前エロ本見た事あるか?俺公園で見つけたんだ、後で行こうぜ」
「なっ、、そんな!あっ先生きた」
前の席の健太くんとは大の仲良しだ
学校が終わったらそのまま僕の家で毎日5時まで遊ぶ
誕生日といえばどちらかの家でパーティー
高校も同じ所へ行こうと堅く誓い合っていた矢先
たまたま遅刻してしまい走って学校へ向かってる途中
道交法違反者に撥ねられ死んだ
気付いたら真っ白な世界でこう問われた
「まだ、、生きたいか?」
「健太くんと同じ学校へ行きたいんです」
「、、それは叶えられない」
「そんな、、」
「違う世界でもいいなら、、」
「違う世界、、よく分からないけど!僕、、もう一度健太くんと同じ高校へ行きたい」
「うーむ、、学校が無い世界だからね、、」
「そうなの?じゃあ、僕が教師になって
僕みたいな子と、健太くんみたいな子を導きたい」
「ほー、君は優しいねー」
「そうかな。、、」
「少し過酷かもしれないね!申し訳ないけど頑張ってね!ささやかだけどプレゼントを渡しておくから役立ててね」
「あの、、」
「ん?」
「ありがとうございます、。、僕死んだんですよね」
「そうだね、、」
「僕は、、僕は、、健太くんが好きだった」
「うん、、」
「言えなかった、、嫌われそうで」
「うん、、」
「次こそ、。次こそ好きな人に好きって言いたい」
「うん、、頑張ってね」
魔王の息子 クロト レベル1
HP 2000
力 1900
MP 800
防御 2000
素早さ 300
スキル 種族固有スキル「魔王」星7
「血の呪縛」星5
「呪い」星5
「形状変化」星5
「魔王の波動」星7
「ねえ、モリヤ」
「何ですか?クロト坊ちゃん」
「何故この国は奴隷制なの?」
「そうですな、、昔からそうですじゃ」
「それが当たり前だと教えられたからか、、」
「、、、坊ちゃん、、奴隷だからかわいそうと思うかもしれません、、しかし奴隷にも主人に仕えて幸せと思う事もあるのですよ」
「ええー、、だってやりたい事とか叶えたい夢とかあるでしょ」
「そうですな、、ただ、自分の夢がいつからか主人の夢を叶えることになる奴隷もいるんですよ」
「変なの、、そんなの、、刷り込みだよ」
「すり、、こみ?」
「幼い子に、、君は幸せだよ、、君は幸せだよ、、って植え付けるとどんなに苦しくてもどんなに辛くても、僕は幸せって思うんだって」
「ホォー、、坊ちゃんどこでそんな話を、、」
「えっ!いや、何となくだよ!」
「爺にはよく分かりませんが!お父様はアレで優しい所もあるのですよ」
「そうなの?」
「ええ!」
「良かった!僕優しい人が好き」
「ホッホッホ!そしたら大好きになりますよ」
城、、?みたいな建物?、、から逃げ出した魔王の息子クロトは街?、、みたいな所を執事の爺と歩きながら色々と話した
最初こそ変な場所で気持ち悪いと思っていたが
僕はもう12歳!日本だと小6かな?
でも中学校まで通ってたから、、、精神年齢は25.6辺りか、、すっかり大人じゃん僕
それに歩いていると街の人達が「坊ちゃん、坊ちゃん」って話しかけてくれるから嬉しくてつい、、
それでお城?みたいな建物?にある魚やお肉をこっそり持ってきたら凄い喜んでくれた
「こんな、、宜しい、、のですか?、、ありがとうございます、、坊ちゃんはお優しいですね」
そうなの?王様って国民の為にいるんじゃないの?
変だよこの国
僕が王様なら皆んなで収穫した物でパーティーをやりたいなー
もちろん冬に備えて備蓄は必要だと思うけど
たまにはパーティーしたいよね
「そうだ!爺、、パーティーしようよ」
「パーティー?」
「お祝いさ、、お酒とかないの?」
「お酒は魔王様がたまに飲んでますな」
「じゃあ、、盗んじゃお!」
「あ、、クロト坊ちゃん、、怒られますぞ」
急いで城?に行き
お父様の部屋から貯蔵庫の鍵を取る
そのまま貯蔵庫へ走ってガチャンッと開けて持てるだけ持つ
そして走って行く
「みんなー、、ごめんね、、ちょっと少ないけど!」
「こ、、これは?」
「食べ物だよ!皆んなでパーティーしよ」
「、、とんでもない、、せっかく納めた税を、、まさか坊ちゃん盗んできたんですか?」
「??皆んなで食べようよ」
「あっ、、あっ、、坊ちゃん、、うし、、うし、、」
「牛??」
「クオラックロト、、てめー何やってやがる」
「あっ!やばい、、」そーっと後ろを振り返るといつにも増して怒ってるお父様がいた
「えへへ、、皆んなで食べよう、、かと」
「バッカモン!」
「ヒッ!」
「ふぅー全く、、爺、ちゃんと説明しろ」
「ハッ」
突然の魔王にビックリし
国民は土下座状態
食べ物も拾って持って帰るようだ
「なんで、、なんでよ!、、皆んなで食べようよ!、、それに何で皆んな土下座してるのさ
王様なんでしょ?怖がられてるだけじゃん、、
嫌われてるんじゃないの?僕たち、、」
バチンッ
えっ?!
衝撃が自分のほっぺにきたんだと分かるまで何秒か必要だった
分からなかった、。叩かれたんだ僕
時間が経つとジーンと痛くなってきた
「お久しぶりです魔王様」
「ムウッ、、村長か。久しいな」
「ハイッ!お変わりなきようで嬉しゅうございます
それに、、大それた事をしてしまいました!申し訳ございません」
「よい、、ワシも叩こうと思ってた」
え!お父様じゃなくてこの村長っておじいちゃんに叩かれたの?なんで?
「坊ちゃんすみません、、ただね!魔王様はなにもケチってる訳ではないんですよ」
「、、ウッウッ!じゃあなんで、、ヒック、、」
「坊ちゃん、、周りを見てください。」
「周り?、、」
そこにいたのはお年寄りや子供、、それに片足がなかったり、、片手が無かったり、、障害のある魔族もいる
「ここにいる者は皆あまり動けません!
もちろんお城や戦闘部隊ともなれば立派な戦士がおりますじゃ
しかし、、動けない者はどうやって食べて暮らしてると思いますかな?」
「、えっと、、誰かが配給してる?」
「そう、、魔王様の命によりここに居る者たちも飢える事なく暮らしていけますじゃ」
「、、そうか、、収穫した物を毎日少しずつ管理してたのか、、」
「ハイッ!坊ちゃんは賢いようで大変嬉しゅうございます」
「、、僕が持ってきた大量の食糧がなくなれば
冬食べ物がなくなっちゃう、、」
「そしたら我々も心配ですな」
「税と言ってはいるが、一度に食べないよう管理してたんだ」
「左様ですじゃ」
「、、それならもっと食糧を、、野菜を植えたりすればもっともっと豊かになるんじゃないの?」
「、、、見てくだされ、ここの土地を、、」
「あっ!」
僕はバカだった。今まで散々のんびり暮らしてきてたのに
肝心な事を見て見ぬフリをしてた、、
日本で勉強もして大切に育てられて
こっちにきてからもずーっと守られてきた
この頭は、、この頭は何の為にあるんだ!
「やめい」
ハッ!、、気づいたら自分の頭の角が折れて血が出ていた
右手が真っ赤だ、、、
お父様に止められてようやく気付いた
自分で自分を殴ってたんだ、、、
「帰るぞ」
「、、、はい、、」
クロトの角は折れたままだった
ーー3日後ーー
「ねえ村長!何処なら畑を作れる?種はないの?
この水は何処から?魔物って強い?」
「ぼっ、、坊ちゃん、、一度にたくさんは、、順番で、、」
「何でここは陽の光を浴びないの?」
「昔この世界は栄えていましたじゃ
ヒトも魔族もエルフもドワーフも、、
じゃがやり過ぎた。いつしか皆んなで結束し神の領域へ侵入し
もっとスキルを欲しい、もっと豊かな世界にしてほしい、もっと、もっとと強請りました
そうしないと神といえど殺すぞ、とな」
「そ、そんな」
「無論神達は怒りました。それまで空を飛ぶことも
早く移動する乗り物も
さらにはそこら中で野菜は育てられ、家畜といういつでも食べられる魔物まで飼ってたそうですじゃ」
「高度な文明があったんだね、、歴史のメソポタミアやアステカ、古代エジプトみたいだ」
「???ある日この世界に隕石が降ってきたそうじゃ、、その後海からは水が押し寄せ全てを洗い流し
雲が世界を覆い、寒くなった、、、今生きてるのはその時生き残った僅かな人達の末裔ですじゃ」
「そうか、、変だと思ってた!この島以外見えないんだもん」
「それまではほとんどの国が陸続きだと聞いてます
多分その隕石のせいで海が増えたのか、陸が下がったのか、、」
「氷河期だね、、恐竜も絶滅したもんね」
「???何にせよ今は僅かな食糧でも生きてられて幸せですじゃ」
「幸せ???そんな事はないよ!」
「坊ちゃん」
「村長見ててね!僕がこの島をうんと幸せにするから!」
「おおっ、、まるで昔の魔王様のようじゃ」
「ねえねえ種はないの?この水はどこから?魔物って強い?」
「坊ちゃん、坊ちゃん、、頼むからひとつずつ〜」
その後クロトは頑張った
魔王直属護衛団こと狩り部隊にも志願し
少しずつレベルも上げ
自分のスキルを磨いていった
狩りに行かない日は朝から晩まで村へ行き
皆んなを手伝った
すると、、暗闇でも育ってる野菜があった
もやし、ニラに似た野菜だ!
クロトは喜んだ
地球では極ありふれた野菜
お金を出せばすぐ買えた
その野菜1つ育てるのにどれだけ苦労したか、、
初めて収穫出来た時は感動して泣いてしまった
やっと一歩!
やっと一歩だよ!
これからもっとこの地を豊かにして
皆んなを幸せにしちゃうもんね!!!
「ほー!クロトが野菜を見つけ栽培してるとな」
「ハイッ!しかも村人皆んなと仲良くやっておりますじゃ」
「そうか。、、あやつこそこの国の救世主かもしれんな」
「流石魔王様の子、私感動しております」
「フッ、、どうじゃ?来年獣王国に招待されとる、、」
「クロト様と?」
「そうじゃな、、お主もだな」
「私のような者など、、何かあったときにお守り出来ませぬ!護衛団の中から誰か選んでください」
「ならぬ!!お前には散々苦労をかけた、、いいな、、コレは命令だ」
「ハッ、、ありがたき幸せ」
「クロトにも伝えておけ、、歳が明け春の頃だと」
「かしこまりました」
「もっと強くなってないと獣に殺されるぞ、とな」
「そんなに強いのですか?獣王国とは、、」
「そうだな、、獣王とやらは、、強いな!!ワシと本気でやって、、どっちが勝つかわからん」
「なっ!!罠かもしれません」
「フハハハ、、罠なら面白いな!八つ裂きにしてくれるわ」
「オオオッ、、魔王様が笑った」
「Sランクソロ、、それが出来ぬなら置いてく、、そう伝えよ」
「ハッ」
魔王に言われたSランクソロを年明けにはクリアしたクロト
「僕、、強くなれたかな」
魔王 クロト レベル45 20歳 ガっチリ
HP 6000
力 2800
MP 3400
防御 6000
素早さ 1000
スキル 種族固有スキル「魔王」星7
「血の呪縛」星6
「呪い」星6
「形状変化」星6
「魔王の波動」星7
「春には獣王国かー、、どんな所だろう、、
種が欲しいなー」




