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セピアシアター  作者: さよん


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23/25

番外編 ~ライター~

思いつきの話のため、今は番外編としています。

今後、本編として入れるかもしれないし、逆に削除するかもしれません。。。


クラブ閉店後。


ラムはカウンターに入ると今夜の売り上げの計算をし始めた。


その隣でごみをまとめていたハイリーだったが、そのラムの横顔がふいにあ(・)の(・)人(・)と重なり、改めてまじまじと、しかしラムに気づかれないよう手を止めずに見つめる。

不思議なくらい似ていて、本人なのではと思ってしまうほどだった。


と、突然ホールの電灯が消え、目の前が真っ暗になる。

舌打ちするラム。

恐らく電器屋がまた何か拾ってきてそれの修理を試したのだろう、この辺り一帯が停電となったのは間違いない。

停電に慣れているラムは持っていたライターをつけるとすぐに辺りが照らされ、橙の光がラムの手元を中心に明るくする。

そしてライターをカウンターへ置くと、薄暗いままラムは売り上げの計算を続けた。


ペンを握ったまま顎に手を当て、真剣な表情で数字を見るその様にハイリーはあの人そのものだと思った。

ただ、一つ違っていることがある。

それは、仕事の席には決して酒は置かなかったこと。


と、今しがたラムが記入した数字が違うことに気づき、ハイリーは売上表を指さして指摘した。

一か所誤りを見つけてしまうと、果たしてすべて合っているのか気になるというもの。売上表を自分の見やすい向きへとずらし、一つ一つ数字を確認していく。


結果、数字の誤りは一か所だけだった。


すべて合っていると伝えるためラムに視線を戻した、その時———思ったよりもラムの顔が近くにあり、ハイリーは驚きのあまり体が固まり動けなくなってしまう。


すると。


それまで一緒に売上表の数字を見ていたラムの視線が、ゆっくりとハイリーへ移動する。

ハイリーは視線をラムから外すことができず、至近距離でラムと見つめ合う格好となり、それが余計に緊張を加速させなお一層にハイリーの体を硬直させた。


時が止まったかのように二人の沈黙している間もライターの明かりは二人の顔を照らし、1つになった大きな影が壁に映し出されていた。


どのくらいそうしていたのか、間もなく電気が復旧し、ホールに明るさが戻ってきた。

同時にハイリーの体もようやく緊張から解放され、自由に動けるようにはなったけれど、今のほんの数分の間に、生きた心地がしないほどの緊張からどっと疲れが押し寄せ、今度は体が重くてたまらない。


肩を貸そうか、というラムの申し出を断りぎこちなく寝室へ急ぐハイリー。その後ろ姿を、ラムはただ不思議そうな表情を浮かべながら見送った。

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