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【百合】最推しが同級生だった挙句、弱みを握られ抵抗虚しく性的にタコ殴りにされるまでのお話。  作者: 中毒のRemi
第二章 文化祭編

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第45話 人とはこの世で最も醜悪な獣の総称である。

 人とはどうしてこうなのか。

 他人とはどうしてこうも、生理的な嫌悪を催す存在なのだろうか。


 ――これはただの文化祭。

 仕事ではなくて、遊びと殆ど変わらないというのに。


「私の父は病気で亡くなってしまって、母は一人でとても大変そうでした。それで私は私を育てて産んでくれた母に恩返しをしたくて、料理を始めるようになったんです」

「素敵♡」「うんうん」「……」

「それで母や妹、そして友達達が料理を美味しいって言ってくれるのがキッカケで私は将来、料理人になりたいって考えました」


 私の思考は、どす黒い澱にゆっくりと侵食されていく。


 分かっているつもりだ。

 そう、自分でも分かっている。

 これは普段の人嫌いの性質に重ねて、連日の体調不良と、空腹と、鳴り止まない喧騒が私を尖らせているだけだ。


 だが、それでも尚あまりある。


「そうだ!良かったら皆さんも、今度家に遊びに来てください。この楽しい時間のお返しとして、とびきり美味しいご馳走を用意しますから!」

「行きます!♡」「私も!!!」「……これ、チップです」

 

 私は過去に受けた虐めを通し、理解したはずだ。

 

 他人とは騙すべきものであり、隙あらば陥れるべきもの。

 弱肉強食はもちろんのこと、貧富の差が大きい現代社会において、それは絶対不変の真実であることを。

 

 やられる前にやれとはよく言ったものだ。

 狩る相手は誰でもいい。

 まずは虐められる前に、こっちの味方を増やし相手に対し虐めをふっかけ、敵を駆逐して自分の居場所を作る。

 それが小学生の頃の私が辿り着いた、数ある結論の一つ。

 

 人は共通の敵を作ってこそ、更に人間関係を深めていく。

 

「ありがとうございます。また、明日も来てくださいね」

 

 では目の前の獣共はどうだろうか?

 何を思って、こんな安っぽい嘘に頬を染めているのか。

 

 きっと今の私とこうして対面できる人達は、温室育ち(神に愛された人)――絶対的強者なのだ。

 他者を虐める側に立てる者であり、それがこの社会を通して、一般的な人としての在り方。


「藤崎()()の好きな食べ物とかある?……良かったら今度持っていこうと思うんだけど」


 そしてまた、新しい獣が本能のままに擦り寄ってくる。

 この二時間だけで、かなりの数の畜生を相手にしてきた。

 だがどれほど言葉を重ねても、彼らの本質は変わらず、私が出してきた数ある結論は変わらない。

 弱肉強食は世の常で、弱者は自害すべき下郎である。

 

 ……むしろ、下劣な下心を隠しきれない客の相手をするたびに、私の人嫌いは末期症状へと向かっていく。

 

「ふふ……そうですね。勿論こちらの先輩を――テイクアウトで」

「きゃー!」


 この獣なんかも本当に酷い。


 聞き齧った話によれば、彼女は2週間から1ヶ月で男を取り替えている遊び人だそうだ。

 最近の彼女は良い出会いがなかった折に、私を発見し、嗜虐的な昂ぶりを覚え、ここに顔を出したという。

 

 そしてこの獣は私を男に見立て、大した金も払わずに公開の自慰行為を楽しんでいるのだ。


 ……人の本質はどこまでも変わらない。

 人間は他の動物より優れていると自負しながら、結局は剥き出しの欲望に従うだけの畜生と変わらないのだ。

 

 あぁほんと……私以外の全員、苦しみながら死んでしまえばいいのに。

 いや、金で飼われて動いている私も本質は変わらないのだから、死ぬべきは私含めた全員だ。


「先輩……」


 私は先輩の頬に手を添え、唇を近づけていく。


「藤崎くん……♡」


 あぁぁぁ……あぁ……………………






 

 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。


 ――そんな時だった。


「お客様!…………飲み物をお持ちしました」

「……え、私頼んでないけど……藤崎くんが頼んだの?」

「……………………………………」

「こちらは私のサービスとなっております。ごゆっくりどうぞ」


 私の思考がよくない方向へ完全に侵蝕される寸前、月宮さんが助け舟を出してくれた。

 そして彼女は弦巻さんを引っ張ってどこかに消えていった。


「…………」

「藤崎くん、大丈夫? ……ちょっと顔赤いけど」

「あっ……あぁ! あはは……。先輩があまりに可愛い反応するもので、私の方がドキっとしちゃったんです」

「もう!そういうのいいから!!」

「あんまり悪戯はするものじゃないですね。もうすぐお時間ですし、ここら辺にしていきましょう」

「うん…………また明日会いにくるね?」


 二度と来るな、首を吊って死ね――。

 そんな言葉が喉まで出かかり、それを強引に飲み込んだ。

 

「はい、お待ちしております」


 私は完璧な営業スマイルで、一つ上の先輩を追い出した。


「茜っち〜、もう終わっていいよー!」


 そこでタイミングよく、ようやく今日のシフトという名の刑期が終了した。




 ---




 時はお昼時。

 

 私は更衣室で元の服に着替える気力もなく、かと言って教室にいると今までの宣伝効果から、私は100%接客に駆り出されるのが目に見えている。

 少しでも現在接客中である月宮さんのそばに居たかったけど、状況がこうなってしまっては他クラスの出し物を眺めるふりをして、廊下を彷徨うしかなかった。


 救いなのは、私みたいに終わってる格好して歩いている人が少なくないことかもしれない。

 執事服はだいぶ目立つけど、ギリギリ他の人からは見逃してもらえそうな雰囲気だ。


 そんな時。


「あっ!執事さん!!俺ですよ俺……」


 不意に横からかかった厚かましい声に、私の心臓が嫌な音を立てて硬直した。

 やっとようやく解放されたと思ったのに、神様ははまだ私を自由にしてくれないらしい。

 私は錆びついた機械のような動作で、声の主へ顔を向けた。

 

「どうか……しましたか」


 おそらくこの男子は、私が接客した相手のうちの誰かだ。

 でも今この時に話しかけてこないで欲しかった。

 

「いや〜、もし一人なんだったら俺と一緒に文化祭回って欲しいなー……なんて」

「それは…………ごめんなさい」


 ……やばい。

 

 もう、何もかも限界かもしれない。


「もしかして待ち合わせ中?」

「はい……友人が今お仕事中で……それを待ってるんです」

「じゃあ、そのお友達が終わるまででいいからさ。お願い!!」


 こんなのはすぐ適当に無視してしまえばいいだけ。

 分かっているのに、その一言をひねり出す体力すら底を突いていた。

 

 思考を停止させ、このままコンクリートの床に沈んでしまいたい。

 いっそこの場で首でも吊ってしまえば、この五月蝿い連中から永遠に逃げられるだろうか。そんな暗い想像が頭をもたげる。


「ほら、いこうよ!」

「あっ……」


 そう言われ、男子に無理やり腕を引かれそうになった、その時。

 

「ごめんごめん、藤崎さん。待たせちゃったね」


 坂本さんが崩れ落ちそうな私の手を取ってくれた。

 

「…………」

「それじゃあ一緒にデートしよっか」

「あぁ……はい」

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