青龍、体育祭へ。②
「ちょ、転ぶ転ぶ!」
「踏ん張れ、セイ!」
今私たち、2年は校庭で体育祭の練習をしています。シオンと私は五人六脚の二人三脚に出るのでその練習をしていた。
正直リレーとかはその場で走ればいいと思ってるから、練習が必要なのは五人六脚と騎馬戦だけ。
って考えてると転んじゃう!
「せーの…っ」
声を2人で張り上げて、交互に足を出す。さっきまで崩れそうになっていたのに今は、シオンの動きが何となく手に取るように分かる。うん、これいける気がする!
「行けるぞ、セイ!スピード上げられるか?」
「行ける、行けるわよ!」
私たちの視線は合わないけど、何となく心のうちが分かった気がする。
昨日のことがあって、いつもの親友で相棒って感覚が欠如していた。
私とシオンは、ゴールラインを切って2人同時にヘタリと座り込んだ。
「ふう…この調子ならなんとかなりそうね…」
「そうだな…あとで真剣勝負の50メートル走しないか?」
「良いわね、最近してなかったもの!新記録達成できるかしら」
シオンは足を縛っていた紐をほどいて先に立って、私に手を差し伸べてくれた。
「ふふ、ありがとう」
私は素直に彼の手を取って、立ち上がった。
横で同じく二人三脚の練習をしていた朱雀が相方の玄武に「何で私の下敷きになって転けたんですか?!いつもあなたは私の下敷きに…っもう!」と意味不明な怒り方をしている。
こりゃ、今日の女子会で問い詰めなきゃいけないようね…
「おーい!セイ!芹澤先生に測ってもらおうぜ」
「はいはい、今行くわ!」
芹澤先生が向こう側に行ってタイマーをセットしているうちに、私はシオンにだけ聞こえる声量で話しかけた。
「ねえシオン。あんたが負けたら、今日の女子会で私たちが付き合ってることをバラすわ」
「じゃあ、セイが負けたら今日の男子会で惚気るぞ」
「良い度胸じゃない。受けて立つわよ」
私が不敵に笑うと、シオンはふっと笑ってクラウチングスタートの準備をする。
先生が向こうで手を上げた瞬間私たちは校庭の砂を爆発させる勢いで走り出した。
頬に伝う風が気持ち良い。はあ最高。この感覚が空きで50メートルはやめられない。
あっという間にゴール直前。私は前傾姿勢をとってゴールを走り抜けた。
「…お前ら、バケモンだな」
「さいっこう!私の勝ちかしら?」
「いや、見てみろ同時だ、同時」
芹澤先生の手にある2つのタイマーは2つとも『4.37』を示していた。
「じゃあ私は女子会でバラすし、あんたは思う存分惚気ると良いわ」
私はシオンの腕に自身の腕を絡めて、小悪魔的に笑った。
それを見ていた芹澤先生は、私たちの関係が今までとまるで違うことを目の当たりにして目を丸くし、遠くで見ていたヤタと朱雀の目はターゲットを見つけた捕獲者の目をしていた。




