青龍、林間学校へ。
それは私たちが放課後に射撃の訓練をしている時に起こった。
「2年いるか?!」
普段滅多に焦った声を出さない芹澤先生が射撃場に大声を出しながら入ってきた。
「どうしたんです?センセー」
私たちは射撃を止めて芹澤先生に駆け寄った。
「学長が、長期の任務をお前らに与えられた」
…長期の任務?
「詳しくは明日話すが、3日後の晩から東京へ任務で行ってほしいとのことだ。長期滞在になるから荷造りだけしておけ。まあ俺も同行するし、手練の殺し屋も連れて行くがな」
皆んながいつも通りの反応をしている中、私は必死に足りない頭で思考回路を巡らせていた。
「プロと先生も同行。ってことは潜入捜査ですか」
先生はギクッとした顔になる。何だか今日の先生は表情の変化が面白い。それくらい動揺しているのだろうか。
「…すまんな。まあそういうことだ」
「にしても潜入捜査か…プロがその手のプロなんだろうな」
「そうね、だって1年生で習ったもの。あー、何だっけ、えっと」
「殺し屋規定、だろ?」
「そうそう、それよ」
殺し屋規定。それは殺し屋の中の法律みたいなものだ。
殺し屋には世間一般の刑法や法律が通用しないときがある。
その時の他に定められたのがこの、殺し屋規定。
潜入捜査に関する規定はいくつかあるけれど、有名なのはこれ。
『殺し屋規定:第十五条。潜入捜査は原則未成年にまわしてはならない。』
でも例外があると、去年芹澤先生が言っていた気もしなくもない。
「東京かぁ、行ったこと無いから初めてなのよね。シオンも?」
「おう。ここ以上の都会は知らないはずだぞ」
「え、大阪に行ったことがないの?!」
私は大げさに驚いてシオンを見上げる。
「おう、兵庫から出たことが、まず無い」
「え、じゃあ今度一緒に行きましょうよ。何か甘いものでも食べに」
私がそういうとシオンはふっと笑って私を見た。
またこの笑い方だ。この笑い方は初めてでは無いような気がした。
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