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祓魔師一家  作者: れもん
3章.学生篇
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青龍、学生らしく。

 ある日の終礼終わりのこと。

「じゃあさよならー」

 気の抜けた担任教師の芹澤の声が聞こえる。私たちもそれに対応して別れの挨拶をするが、

 その声は、たった6人の生徒が後ろに机を引く音にかき消された。

「青龍!今日は掃除なしの日ですよね?!」

 机を下げ終わり、スクールバッグを肩に掛けていると義理の妹である朱雀が私のもとにやってきた。

「うん、そうなはず。どうしたの?」

「最近できたらしいカフェがあって、行きたいんですけど一緒に行きませんか?」

「お、良いわねぇ。皆も誘う?」

「はい!本当は女子だけが良いですけど…」

 スマホを私の方に突き出しながら、朱雀は頬を赤らめる。

 うーん、私の妹可愛い。

 そう思いながら、私は帰ろうとしているクラスメイトに声をかけた。

「ねえ、久野田さん!」

「は、はいっ」

 私が肩をぽんぽんと軽く叩き呼び止めたのは、クラスメイトの久野田ヤタさん。

 分厚い眼鏡に短く切った黒髪。

 優等生タイプで、口数も少ない。話したことは授業でもない。

 今年、一気に学年が減ったので一クラスになり、去年全く関わりのなかった彼女と今年は一緒のクラスになったのだ。

「今から皆んなでカフェ行くんだけど、一緒にどう?」

「え、えと、良いんですかね…」

 おどおどしながら目線を朱雀の方に彷徨わせる久野田さん。

 なんて女の子らしい動き…っ。可愛すぎる。

「久野田さんと話してみたいなと思っていたので来ていただけると私も嬉しいですっ!」

 朱雀は満面の笑みで久野田さんの手を取った朱雀。

 うーん、天使の戯れ?

「なーに楽しそうなことしてるの〜?」

「俺ら誘わないなんて、どうかしてんぞ」

「外出届出しに行こうぜ」

 私たち(主に朱雀と久野田さん)がマイナスイオンを発しているとさっきまでふざけ合っていた男子たちが私たちのところまでやってきた。

 ふわふわとした話し方の白虎と、ちょっと拗ねている玄武、そして行く許可も取るつもりがない相棒のシオン。まあ、一緒に行くつもりだったし良いか、諦めて教室の外に出る。

「じゃあ、外出届、速攻出して行くわよ!」


 基本、学園は寮制なため外出届を出さないと任務以外では外には出られない。

 ちなみに学園があるのは神戸市の裏山。よく私たちもわかっていないけど、一般人にはわからないような造りになっているらしい。

 私たちは廊下を走って、寮まで戻り、寮母さんに外出届を人数分だして、山を駆け下りた。

 そして一駅分だけ電車に乗って、カフェに着いた。

「久野田さんは何食べる?甘いの好き?」

「、はい、好き、です」

「私も好きなの!一緒にメニュー見よう?」

 横のに座った久野田さんはどこか気まずそうな空気を纏っていた。

 私はなんだか居た堪れなくて、久野田さんの手をテーブルの下でぎゅっと握った。

「大丈夫だよ、ここにいる皆んなヤタちゃんと仲良くなりたいって思ってるから、ね?」

「な、名前…」

「あ、駄目だった…?」

 無意識でヤタちゃんと呼んでいたから、少し慌てて挙動不審になる私。向かいに座るシオンに変な顔で見られている。

 そう焦っているとヤタちゃんはふっと笑って私の目を見た。

「駄目じゃないよ、私も青龍ちゃんって呼ぶね」

 初めてヤタちゃんと目があった気がした。

 彼女の目は大きくてとても綺麗だった。


「わああ!めっちゃ可愛いぃぃっ」

「ちょ、はしゃぐなよ!お前嫌でも目立つんだから」

 私がチョコバナナパフェと苺レアチーズパフェのどっちも食べたい!とシオンにわがままを言い、

 それだったら俺と半分こしたら?とシオンが心優しい提案をしてくれた。

 いつもシオンは私が甘やかすくせがあるので内輪では定番なのだが、いつまで立っても朱雀がシオンを恨めしそうに見つめる。

 パフェ一緒に食べたかったのだろうか。

 まあ詳しいことは本人にしかわからないし、難しいことを考えるのは得意ではないので私は諦めて苺レアチーズパフェを頬張った。

「ん〜っ!美味しいっ」

 レアチーズの酸味と苺の甘みがマッチしていて本当に美味しい。

 シオンもチョコバナナパフェをひとくち食べて目をきらきらさせている。

 うーん、やっぱり我が相棒も可愛いな。

「はい、シオン。美味しかったわよ!」

 私は近距離でシオンの喜んでいる顔が見たくてスプーンにシオンの好きそうな場所を一口分とってスプーンを突き出した。

 シオンは数秒葛藤して、大人しくスプーンに食いついた。

「ん、美味いな。あ、青龍も食えよ」

 シオンが私と同じようにスプーンに一口分とって私に突き出す。

 私は迷いなくシオンが持っているスプーンに食いついた。

「わ、美味しい!ていうかチョコバナナのところ渡してよかったの?」

「おう。青龍、好きだろ?」

 私も良い相棒を持ったものだ。そしてつくづく、こういうところが好きだなと思った。

 多分シオンは私のことをきっと仲が良い相棒としか思ってないだろうな。

 私ばかり好きで、不平等に感じるときもあるけれど、そんないじらしい恋心すら、今は愛おしいとさえ思う。

 目を軽く閉じて葛藤を抱えた私の心を落ち着ける。

 私のほろ苦い気持ちはチョコバナナの甘ったるい匂いに溶かされていった。


 シオンが耳を赤くしていることも、その時の私は気が付かなかった。

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