12-76 VSアロウレス斥候部隊
そして無数の銃声を合図に敵味方入り乱れての大乱闘が始まる。城壁や物見やぐらの様なビル群はどことなく廃城を想起させ、僕はまるで合戦を行っているかの様な錯覚に陥ってしまった。
「むぐぐ、ロケランを避けるな! 弾もタダじゃないんだぞ!」
メンバーの中で最大火力を出せるチェルノはロケランを爽快に外しかなりご立腹だ。隙の多い攻撃なので発射の直前に動けば理論上は回避出来るとはいえ、モブも含めて全員がそんな事が出来るとはさすがだね。
最強の傭兵組織のアロウレスは訓練された兵隊とはいえ所詮は人間なので銃で撃てば普通に倒す事は出来る。後はサードマンモードを使いつつ皆がやられない様気を配りながら戦えばいい。
「そいやー!」
「お嬢様!」
ズドンッ!
前に出過ぎたミヤタをフィリアさんが呼び止めると同時に僕は銃を撃って彼女を狙撃しようとしたスナイパーを撃破した。特にミヤタは後先考えずに暴れまくるからちゃんと見ておかないとなあ。
「ふにに、ありがとうなの!」
「もう少し慎重にね」
僕はそう注意したけどそのアドバイスを二秒で忘れたミヤタは鉄骨を拾いブンブンと振り回して大暴れをした。彼女の戦闘スタイルであるプロレスには基本ガードなんてないから最初から出来ない仕様なのだろうか。
仕方がないので僕は彼女を含めた皆のサポートに徹し、踊る様に四方八方に弾を撃ちまくった。簡単に言ってるけど同時に何万何千万っていう単位の計算を頭の中でしないといけないからものすごく大変なんだよ。
うう、頭の使い過ぎで糖分が欲しい。帰ったら鶯〇ールをこれでもかと食ってやる。
「げぽー!」
「ふんッ!」
火力の低いアトゥと律子も僕と似た様な事をし、サポートに徹して敵を蜘蛛の糸や鎖で絡めとり動きを封じて味方を援護する。二人がいるおかげでかなり助かるよ。
「お見事です。殺す様に立ち回ればもっと上手くいくものを。せいッ!」
「そんな事したらミヤタに嫌われちゃいますし。っていうかそんななまくらの安物でよく戦えますね」
「私の戦闘スタイルは少々品がないので。武器がすぐに駄目になるので買い替えるのが面倒くさくなったんですよ。多少刃こぼれしていてもそこまで困りませんしねぇ」
黒鬼さんは一生懸命頑張る僕のカバーに回り護る様に戦ってくれたので幾分楽になった。守りを一切考えない黒鬼さんの二刀流スタイルはまさしく狂戦士、その攻撃はかなりスピーディーで敵に反撃させる隙も与えなかった。
うーん、流石後世の世に語り継がれる英雄だ。彼は人間だけど僕の知る限り純粋な戦闘の技術だけなら今まで見てきた人の中でも五本の指に入るだろう。もしこんな人が赤ゾンビになったら世界が終わっちゃうね。
「ひぃ、ふう、紗幸さん、大丈夫ですか!?」
「な、何とか! でも数が多すぎるよ! やっぱゴム弾じゃきついかなあ……」
なお紗幸は今回安全に配慮してゴム弾を使用している。もちろん当たり所が悪ければ普通に死ぬけどやはり火力不足は否めず苦戦している様だった。
「舐められたものでありますね! 遠慮せずにどんな手段を使ってもいいのでありますよ! 戦場では甘さは死を意味するのであります!」
部隊のリーダーでもあるファリンの武装は粗悪な性能の低いアサルトライフルだったけど、武器のハンデをものともせず大立ち回りをして皆を苦しめていた。
どこからどう見ても兵隊向きな体躯じゃないのに腐っても最強の傭兵組織というわけか。彼女もそうだけどアロウレスは手加減していい相手じゃないからなあ。ただ僕なら普通に射殺出来るけど紗幸はたとえ追い詰められてもそんな事出来ないだろうし。むーん。
「ふむ、ここは搦め手を使ってみますか……影法師ッ!」
「お?」
そんなやや劣勢の中月影さんは複数枚のお札を取り出して念を込めてそれを放り投げる。するとそのお札は月影さんの形をした影となりアロウレスに襲い掛かったのだ。
「へえ、面白い事出来たんだな。そんな切り札があるなら最初から使ってくれよ」
「切り札は安易に使うものではありません。最適なタイミングで用いてこそ意味があります。一度技を使えば手の内がわかってしまい次からは効果が減少してしまいますから」
「むぎぎー! 鬱陶しいであります!」
この摩訶不思議な攻撃は付き合いの長いギバさんですら知らなかったらしい。月影さんの影は耐久力は低めだけど強さはほぼそのままだったから敵をバッサバッサと大太刀で切り伏せてくれる。
敵は世界観を間違えた攻撃に憤慨しており、倒せども倒せども無限に湧いてくる影に押し切られ徐々にではあるけど盛り返す事が出来たよ。




