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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-75 失われた理想郷へ突入

 決戦の舞台となる失われた理想郷ネオユートピア。かつてはこの世の全ての希望と夢を詰め込んだ時代の最先端を行く街だったらしいけど、震災により甚大な被害を受けて現在はご覧の有様である。


 マンションは傾いたまま、あるいは潰れたまま放置され、路上には生きているのか死んでいるのかもわからない虚ろな目をしたホームレスが寝そべっていた。散らばっているゴミの中には注射器もある事から誰かが麻薬を使用していたのだろう。


 地獄の様な光景という表現は似つかわしくない。あえて言葉で形容するならばネオユートピアは死んだ街だった。


 あらゆる希望と夢が存在しない、ただ朽ち果て土くれになるのを待つだけの場所。それは岩巻が辿っていたかもしれないもう一つの可能性でもあった。


 もしかしたら僕たちの故郷もほんの少し舵取りを間違えればこうなっていたかもしれない。そう考えると僕は物悲しい気持ちになってしまった。


「なんかすごくくちゃいのー」

「下水道なんて通ってませんからねぇ。きっとホームレス連中がその辺でしてるんでしょう」

「うげ、まじ」


 ひかげは黒鬼さんの説明に思わずウッとなってしまう。衛生状態は劣悪でネズミもちょろちょろ動き回ってるし、こんな場所ではペストとかに感染してしまうかもしれないな。


「それにしても静かですね。普段よりも人が明らかに少ないです」


 僕は基準を知らないのでわからなかったけど、月影さん曰く今は異常な状態らしい。確かによく見てみれば寝床と思われるダンボールの数に対し周辺にいる人が少ないな。


「きっとあれのせいじゃないですか」

「っ」


 僕がそう言うとフィリアさんはすぐに敵の気配を察知し盾を構える。そして周囲の路地からぞろぞろと武装した兵隊たちが現れ、僕たちはいつの間にか取り囲まれてしまったんだ。


「フッフッフ、きっと来ると思っていたでありますよ! 飛んで火にいる夏の虫とはこの事でありますな! この先にはいかせませんよ!」


 傭兵部隊を率いるのはアロウレスのファリンだ。しかしいつ見てもちっこくて怖さが感じられないフォルムをしている。


「まあそうなるよね。敵は全員生身の人間っぽいけどプロだ。気を引き締めてかかろう!」

「了解!」


 リーダーの久我も含めて主力はいないのでおそらくこいつらはあいさつ代わりの斥候部隊なのだろう。つまりネオユートピアを攻略するにはこんな所で足止めを食らっているわけにはいかないのだ。


 敵は傭兵らしくアサルトライフルやマチェットを振り回し統率の取れた動きで襲い掛かる。周囲の景色も相まってまるで海外のスラム街で戦っているみたいだ。きっと麻薬戦争を長々としている南米とかではこういう風景は日常茶飯事何だろうなあ。

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