12-57 ヨシノの潜伏生活二日目、そして終了のお知らせ
――芳野幸信の視点から――
ポリポリ、ポリポリ。
潜伏生活二日目。僕はぐうたらしながら鶯〇ールをつまみ相変わらず黒鬼さんの家でゴロゴロとしていた。
「自由にしていいとは言ったけど……お前潜伏中だって事忘れてないよな? すごい神経してるな」
「それが僕の長所ですから。全ては食べ始めたら手が止まらなくなるこの美味しいお菓子のせいです」
ギバさんはあまりにも心にゆとりがある僕に苦言を呈してしまう。最近忙しかったしこの際思いっきりぐうたらするのも悪くないかもしれない。最初ビクビク生活していた指名手配犯もしばらくするとパチンコで遊んでいたりするし、これはある意味正常な反応ともいえよう。
「ヨシノくーん、わたしにもちょーだい」
「いいよー」
ミヤタもすっかりだらけきって僕と一緒にポリポリとお菓子をかじる。うーん、素朴な味わいがたまらないねえ。
「ったく、心配して来てみればなんやこれ」
「お?」
「っ!?」
しかしすっかり油断しきっていると、どこからともなく聞き覚えのある関西弁が聞こえてきたのでギバさんは素早く大きな包丁を手に取った。
最初はどこから聞こえてきたのかわからなかったけど、どうやらその声は窓から聞こえてきたらしい。
「よう」
「あ、久しぶり」
「やっほー」
「なんだ、お前か」
その人物はもちろんドーラだったので僕らは安心し全員警戒を解く。僕はとりあえず窓を開けて彼女を迎え入れた。
「時間がないから手短に話す。疑いが晴れたからセントマリアに戻るで。黒鬼にも話は通してある」
「ありゃ」
「本当なの!? わーい!」
ドーラはそんな事を言ったのでミヤタは僕よりも喜んでしまった。しかし意外と短い潜伏生活だったなあ。
「随分と早いね? なにがあったのさ」
「儂もよう知らん。ただお前のお袋さんが無実の証拠をアキヅキに渡したらしいから後で礼を言っとけよ」
「そっか、母さんが」
どうやら僕の知らない間に母さんがいろいろやってくれていたようだ。やはりなんだかんだ言って最後に頼りになるのは家族なんだね。
「ただ赤月会は変わらず探しとるから気ぃつけろ。詳しい話は向こうでする。ほな行くで」
「うぃー」
「わかったの!」
「ん? 私もか?」
「せや、お前もや。向こうには黒鬼たちもおる」
「へーい」
ドーラから注意事項を伝えられ僕らはひとまず指示通りセントマリアに戻る事にした。ただおうちに帰るまでがミッションだ。それに今回は下手をすれば殺されちゃう可能性もあるから特に気を付けないとね。




