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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-43 海沿いエリアにたたずむ大ボス感を漂わせる怪人

 僕はミヤタ、紗幸、ついでにぶたたちと一緒におパンツ泥棒を探すため神渡市内をうろついていた。


 一応国家機密の塊である戦艦の中に侵入されるという一大事だったから、他のモブさんも駆り出されているけどこんなクソ暑い中大変だね。


「でもなんで泥棒さんはわたしのおパンツ盗んだのかな?」

「やかんに入れて出汁を取って飲んだり食べたりするんじゃない?」

「パンはパンでもパンツは食べられないよー?」

「幼女のおパンツは食べ物です!」

「うわー……本当に何でこんなお兄ちゃんを好きになっちゃったんだろう」


 ピュアな幼女と変態紳士のしょうもないやり取りに妹はドン引きしてしまう。図らずもちょっと前の目的である好感度ダウン作戦の進捗状況は進んだから良かったけども。


「ぷひぷひ」

「それでぶたにくちゃんたちは何のニオイを嗅いでるの?」

「わたしのニオイを嗅いでもらって泥棒さんを探してもらってるの。多分うまくいくんじゃないかな。ブタは犬より鼻がいいらしいし」

「へー。でも警察豚っていないよね」

「総合力なら犬のほうに軍配が上がるよ。ブタは人の言う事を聞かないし、とにかく食べ物とかのほうが気になって麻薬とかガン無視するから」

「ほへー」


 ちなみにブタを捜査に用いるうえでのネックになる人のいう事を聞かない、という部分に関しては何ら問題ない。少なくとも僕はぶたにくたちがミヤタの命令を無視するのを見た事がないからね。ゾンビ化による知性の向上に由来するものなのか、強い信頼関係によるものなのかはわからないけど。


「せっかくだから僕もニオイを嗅いでみようか。クンクンスハァ、こっちだ!」

「ふにに、ブタが人間に負けられないの! もし一番早く見つける事が出来たらさっき買ったあまクイーンをちょっと多めに食べさせてあげるから頑張ってね!」

「ぷひ!」

「ぷい!」

「ぷー!」

「ぴぎー!」


 僕は地面を這いつくばってミヤタのニオイを探知する。ブタ連中も鼻先に美味しいイチゴのご褒美をぶら下げられ気合は十分だ。


「うわあ……」


 何よりも紗幸の好感度がダダ下がりしておりこっち方面でも順調で僕は思わずにやけてしまった。結果的にいい方向に転がったからおパンツ泥棒には感謝しかないよ。


 とにかくそれはそれとして当初の目的であるおパンツ泥棒を探さなければいけない。ただわざわざおパンツを盗むためだけに危険を冒して敵の拠点に忍び込むなんてどんな奴なんだろう。


 白き帝の軍勢にしてもアラディア王国にしてもそんなわけのわからない事をするとは思えないけど。やっぱり犯人はわざと目立つ行動をとり僕の偽物の存在をカモフラージュしたかったのかな。


「おっ」

「ぷひっ」

「ふにっ」


 海の近くのエリアまで移動をして捜索を続けていると僕らは往来の真ん中に立っているあからさまに怪しい男を発見した。ノーヒントでもそいつを見れば一発で怪しいと思うくらいに怪しい奴だ。


 ただそれは変質者という意味ではない。その身長二メートルは優に超える大男はハロウィンの仮装の様にコミカルなお面を被っていて、黒いコートを身にまといツバが異様に広いハットを被っていた。


 何よりも目を引くのが背中に背負っている巨大な十字架の様な物体だ。周りの人はただコスプレをしているだけと思っているのかスルーしているけどあれは間違いなく銃である。


 まあうん……見るからに大ボス感のある視界に入れたらマッハで逃げだしたくなるような、一言で形容するなら怪人という言葉が相応しい人間だ。きっと仮面の下は隠さざるを得ない様な人ならざる醜悪な顔をしているのだろう。


「あの人からわたしのおパンツのニオイがするの?」

「ぷひ」

「ああ、間違いない。ミヤタのおパンツはあいつが持っている」

「え、ええ? なんかこう……どう見てもあの人ボスキャラだよ。あんなボスキャラっぽい人がおパンツ泥棒なんてするのかな」


 ぶたにくと僕の嗅覚が間違っていなければ犯人があの人物である事は明白だ。ただそのただものではないオーラに紗幸は話しかける事を躊躇してしまう。


 僕も正直雰囲気と罪状が一致しないから何かの間違いじゃないかって自分の判断に自信がなかったし……でもこんなあからさまに怪しい奴をスルーするのもなあ。

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