12-34 バンド練習初日take2
シオン一行が助っ人に来て、それぞれの適性も確かめようやくそれぞれが担当する楽器決まる。
「チャウチャウちゃう? ちゃうちゃう! チャウチャウちゃうんちゃうん?」
「チャウチャウちゃう? ちゃうちゃう! たうたうたうたう! 言えた!?」
「うん、ガッツリ噛んだからやりなおし」
「うえーん」
イナデラは前述の通りボーカルを担当する事になり、A子の指導の下早口言葉のトレーニングをしていた
「のこのこ来たこのキノコどこの子この子ここのキノコの子!」
「にょこにょこここのっこきのこっここっここおのこ!」
「よんだ?」
しかしさっきから可愛らしい早口言葉だ。キノコキノコ連呼したから思わずマタンゴさんは反応してしまい真似っこをしたけど、
「にょこにょこきたこにょきにょこどこのここのここのこここのきにょこのこー」
「ほわほわ~」
もちろん言えずに舌足らずな感じになったから皆はメロメロになってしまう。むう、練習の邪魔をしないでよ。
「ドラムを打つ時は首が折れそうなくらいに! こう!」
「こう!? でもそれは特定の大御所ドラマーの人だけじゃないかな!」
ケマはカンパネラに教えられながらややへんてこな特技を覚えていた。あれあんまりやりすぎると首を痛めるからやめたほうがいいんだけどね。
「くれなーいにそーまーるー」
「それ以上は権利があるので止めましょう」
「はーい」
そんな姿を見てミヤタはあの名曲を歌いだしてしまったのですかさずフィリアさんが制止し世界の滅亡を防ぐ。でもパフォーマンスもライブが盛り上がるための大事な要素だし何か考えてみてもいいかもね。
「ふーむ、だがやらなかったらやらなかったでなんかインパクトに欠けるな。あの着ぐるみを着て演奏する事は出来るか?」
「ミノキングの事? でもそれいいね! やってみよっか」
そこにチェルノの発案で急遽ケマは怪獣の着ぐるみを着て演奏をする事になった。初心者が着ぐるみを着て演奏とか結構難易度が高い気もするけどチャレンジをしたいのに止める程僕は野暮じゃない。ここはひとまず見守るか。
「へえ、結構上手いね。君素人じゃないよね?」
「ピアノの経験はあったから」
キーボード担当のスイメイはシオンから教えてもらっている。滞りなく物事が進んでいるのはいいんだけどこれと言った事が何もないからちょっとつまんないね。
「ぎょえ! ゆ、指が~!」
「はは、最初はそうなるよな。テーピングのやり方教えてやるよ」
ベースを担当するヘイザエモンは初心者の洗礼に苦しんでいた。彼女の先生はサブロウだけど、何故か気遣われたヘイザエモンは小悪魔スマイルを浮かべてしまう。
「キュン! そんなに優しくするなんてあなたもしかして私に惚れてる?」
「部屋の温度調整大丈夫か? ちょっとここに熱中症で頭がおかしくなってる奴がいるけど」
「な!? 私の小悪魔テクで微動だにしないだなんてあなたただものじゃないわね!?」
勘違いしたポンコツな残念系サブキャラの彼女はサブロウを誘惑するも軽くあしらわれる。そりゃこいつはスパイだからきっとハニートラップくらい両方の立場で腐るほど経験しているからこんな奴じゃどうとも思わないだろう。
「ぽつーん。なんか寂しいね」
「あはは、こっちとしてはありがたいんだけど」
ちなみにギターを担当するサクラギは最初から物になっていたので特に教える事はなく一人寂しく練習していた。本来ギターをするはずだったイナデラはちょっぴり申し訳なさそうにしていたけど、ちょうど教える側も一人足りなかったしこれでよかったとは言える。
ただ紗幸はある重要な事実に気が付いてしまった。
「なんか上手くいきそうだね。皆教えるのが上手いし」
「だね。こっちとしてはちょっと困るかな。滞りなく物事が進むのは良いんだけどそれってつまり僕たちに出来る事は何もないって事だし」
贅沢な悩みだけど僕はうーん、と腕を組んで悩んでしまう。少なくとも音楽に関しては僕たちに出来る事はない。他に出来る事を探さないと。
「何言ってるの! 告知とかビラとかポスターを作ったりとかいくらでもあるでしょ! 何でもいいから早速作るよ!」
「それもそっか」
しかしその時珍しくミヤタがナイスなアイデアを出した。確かに宣伝は大事だ。いくら音楽が良くてもお客さんが来なくては意味がない。まだ細かい日程とかは決まってはいないけど掲示物かビラのデザイン程は考えてもいいかもね。
「よし、それじゃあイナデラたちが頑張っている間にあれこれ仕込むか。皆もそれでいいね?」
「異議なーし!」
「いいですよ!」
「おう」
僕らはひとまずこの場は協力者に任せて仕込み作業に入る事にした。彼女たちのイベントが最高の結果で終わるようこっちも裏方として最高の仕事をしないとね。




