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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-25 ヨシノのハナコに対する父性愛

 久我から煽りコメントと不穏な忠告をいただき、何をすべきか方針すら定まっていない僕らは一旦別行動して各々アイデアを集める事にした。


 チーム明日花は散らばって行動し、黒鬼さんは麻薬取締官としての本業を、そしてアトゥをメインとするチェルノ団の部下たちは中国マフィアを調べる。よくわかんないけどアトゥ曰く『ちょっと気になる事があるから』だそうだ。


 バディはミヤタでもよかったけど今回はなんかさっきからやたら薄気味悪いハナコにした。正史の事も把握しておきたかったしね。


「むふふ、あれが正史にも記されていた黒鬼さんと久我さんの喧嘩ですか! 眼福の極みです!」

「嬉しそうだねえ」

「はい! 二人の犬も食わない喧嘩は時にシリアス、時にギャグで後世にまで語り継がれていますからね!」

宮城うちの伊達政宗と浅野長政みたいなものかな。最近ようやく和解したけど。二人もそんな事が歴史に語られるだなんて知ったらどう思うのかなあ」


 歴史というものはゴシップにあふれている。紫式部と清少納言の喧嘩は今でいう所のSNSの罵り合い合戦そのものだし、ニュートンが嫌っていたフックの全ての研究結果を抹消して科学を百年遅らせたと言われる様にしょうもない個人的な感情で歴史が変わってしまう事もあったりする。黒鬼さんと久我の関係性もそうだったりするのだろうか。


「でも未来を変えるって目的に協力する事を決意してから最近やたら君との絡みが多い気がするなあ。このままじゃハナコルートに入っちゃうよ。狙っているわけじゃないけど」

「む、むう。それは困りますね。いろんな意味で……念のため確認しますがこれっぽっちもそういう感情はないですよね?」


 いろんな意味がどういう事なのかよくわからなかったけど未来人との恋愛は確かに様々な障害があるだろう。ただ僕は一応考えてから率直な意見を言った。


「うーん、一番しっくりくる表現は父性愛かなあ。ハナコってなんかほっとけないっていうか」

「父性愛とはこれはまた意外な回答ですね」

「はは、まさか僕と君が親子だったってオチじゃないよね」


 僕は冗談っぽく普通に考えられそうな可能性を口にした。以前成長したミヤタとハナコは姉妹の様にそっくりだったし、僕がもし未来でミヤタと結婚したらその子供は当然ミヤタに似る、つまりその子供がハナコである可能性は十分にありうるのだ。


「それはないと思いますよ。だってヨシノさんの子供は、」


 だけどハナコはその可能性をあっさりと否定する。けれどあっ、と気まずそうな表情になりあからさまに目をそらしてしまった。


「……とにかくないと思いますよ」

「え、滅茶苦茶気になるんだけど」

「み、未来が変わるといけないので」


 僕の追及をハナコは常套句でかわすけどその目はものすんっごく寂しそうだった。これ絶対ロクでもない何かが待ち受けているよね? ネタバレだとしても教えてほしいんだけど。


「そっか、だからヨシノさんはあんなふうに……」

「聞こえてるからね、その思わせぶりな独り言」

「それよりも今は本編を進めましょう! ほらはよはよ! 正史通りなら駅前でイベントが起きますから!」


 ハナコは抗議する僕の後ろに回り込んで強引に押して移動する。事情があるのももちろんわかるんだけどねぇ。これだけ熱帯雨林の食虫植物みたいにプンプン匂わせまくって誘ったのに何も言わないなんてドケチすぎるよ。

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