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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-24 久我の煽りと忠告

 蓑呂木商店街を救うために最初の一人が仲間になってくれたのはいいとして、やはりどんなイベントをするのがいいのだろう。正史とやらに則った正解の行動はあるんだろうけど一応仕事だからアイデアは出さないとね。


「あっれ~? 黒鬼じゃん」

「ん」


 けれど考え事をしている最中にチャラそうな少年の声が聞こえた。そして僕らはその人物が何者であるかを確認し思わず眉をひそめてしまう。


「久我さんですか。釜牛での騒動以来ですね」


 黒鬼も概ね同じ感想だったのか必死で愛想笑いをして波風を立てない様にする。チャラチャラした久我はあまり人にいい印象を与えないけど黒鬼さんは彼を嫌っているのだろうか。


 彼は眼鏡でポニーテールの少女と軍服姿の少女を連れていた。見た目は普通の高校生とミリオタの少女だけどきっとこの二人も最強の傭兵組織アロウレスのメンバーなのだろう。


「うちもいるでー。初めましての人もおるから自己紹介するけどうちは副官のビッキーや。荒木の一族でもあるでー」


 眼鏡の少女は陽気な関西弁を話しそう自己紹介する。荒木の一族って事は律子とも面識があるのかな。


「吾輩もいるであります! 本官はパクファリン二等兵であります! 久我様の側近なのであります! つまりすごいのであります!」


 軍服姿のファリンは傭兵である事を隠そうともせず元気いっぱいに挨拶をした。背もちっこいしとてもじゃないけど百戦錬磨の傭兵組織のメンバーには見えないけど……瞳の奥に得体のしれない何かを感じるし油断は大敵だね。


「なんか面白い話してたね。イベントでも企画してるの? こんな場所で」

「あなたには関係ないですよ。はよ死ねや。すみません言い間違えました、はよ去ねや」

「あまりニュアンスは変わってない気もするけど」


 久我と黒鬼のやり取りからは仲が悪い事がひしひしと伝わってくる。僕らはその様子を見てああ、二人は犬猿の仲なんだなあとすぐに理解してしまった。


「何なら俺が協力しようか? 俺は知っての通り世界的なマジシャンだからね。友達価格で百分の一の値段で引き受けてあげるよ!」


 彼は微妙な空気を気にせずそんな提案をする。そういえばこいつの表の顔は若くして数々の賞を総なめにした超一流のマジシャンだっけ。


「あ、でもこんな寂れた所じゃその値段でも無理か。大体普段の出演料は一億くらいだし。ごめんね~、お金がない人には夢を売れないんだ」

「は、はあ」


 しかしマジックの腕前は超一流でも性格は最悪らしい。喧嘩を売られたイナデラは明らかに引きつった顔になり必死でこめかみをひくつかせ怒りを抑えていた。


「じゃーね~、せいぜい頑張んなよ」

「本当にあんたは何しに来たんですか」


 久我は煽るだけ煽って手を振り去ってしまう。どうやら彼は暇を持て余し嫌味を言いに来ただけの様だ。


「あ、そうそう」


 だけど彼は去り際、


「今回俺たちはそっちが何もしなければ何もするつもりはないからね~。でも何かをしたら……わかるね?」


 と、重要な事を告げてどこかに消えてしまったんだ。


 うーむ、つまり今回は下手に刺激をしなければアロウレスは何もしないのか。こっちとしても余計な面倒事は避けたいし頭の片隅にはおいておこう。


 だけどそれはそれとして、


「うがー! むかつくー! なんなのあいつ!」


 失礼にも程がある態度にイナデラはひどく憤慨し彼がいなくなった瞬間歯を剥き出しにして怪獣に変貌してしまった。まあそりゃそうだ。


「あーもう悔しい! こうなったらすんごいアイデアを出してぎゃふんと言わせてやるんだから」

「うん、わたしもなんかぷんぷんだから頑張るよ!」

「ええ、一緒に見返してやりましょう!」


 ただ彼女とミヤタはそのおかげで奮起したのでそれはそれでよかったのかな。よし、あいつの鼻を明かすためにも一生懸命頑張ろうか。

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