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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-22 クエスト・蓑呂木商店街を盛り上げよう

 メタル風の少女と怪獣に案内されて僕らは蓑呂木商店街商工会議所と書かれたプレートのある精肉店の奥へと入った。でもどこからどう見ても内装が民家にしか見えないのは気のせいかな。


 一応先客として黒髪ロングの幽霊みたいな女の子とコンパクトミラー片手にメイクをしているギャルっぽい女の子、さらに紙袋を被った人物がいる。この三人もきっと商店街の関係者なのだろう。


「ふー、たくさん汗かいちゃったー」

「しっかり水を飲みなよー」


 怪獣は着ぐるみを脱いで正体を現し、中からは薄着の女の子が湯気を出して水を勢いよく吸引する様に飲んでいた。今は夏だし着ぐるみの中はきっとクソ暑いんだろうな。


「ええと、皆は?」

「あたしは商工会のイナデラ。んでここのお店の看板娘で怪獣の子がケマちゃん」

「やっほー」

「んでこっちが怪談屋のスイメイで、こっちが自称カリスマコスプレイヤーのヘイザエモンだよ」

「……どうも」

「ちょ、その名前で呼ばないでって! 私はEMOだよ!」

「ヘイザエモンって」


 ギャルっぽい女の子はその珍苗字が嫌なのかその名前で呼ばれる事をひどく嫌っている様だ。だけど黒髪の怪談屋の女の子はクスリとも笑わず無表情で随分と愛想がない。何となく退屈そうだしやる気はなさそうだ。っていうか怪談屋ってなんなんだろう?


「で、僕がスイメイの助手のサクラギです。紙袋はそういうキャラなので気にしないでください。別に取ってもいいんですけどなんか外すタイミング逃したんで」

「あー、よくあるよね、そういうのって。サ〇ダンゴみたいな」

「ねーよ」


 紙袋を被った人物は声の感じからすると少年の様だった。ミヤタが出したたとえが適切かどうかはわかんないけどそういう事なら無理に取らせる必要もないだろう。


「ええと、他の人は? 商工会の人ってもっとこう、年寄りが多い気もするけど」

「う、うん。もちろんいるけど都合がついたのがあたしたちだけだったから。というか実質活動を休止してるんだよね」


 僕が尋ねるとイナデラは歯切れ悪く答える。どうやら事情があるみたいだけど果たしてこんなメンツで大丈夫なのだろうか。


「正直どれもこれも上手くいかなくて困ってたんだよね。けどそこで町おこしの先輩のチーム明日花の噂を聞いて、黒鬼さんが知り合いだって聞いてどうにかこうにかブッキングさせてもらったわけなんだよ!」

「むむ、つまりご指名ってわけなんだね! こんなの気合が入らないわけないね!」


 だけど彼女は人一倍商店街を盛り上げようと情熱の炎を燃やしていた。少なくともリーダー的な存在のイナデラはアウトローな見た目に反してかなり郷土愛が強い子の様だ。


「早速だけど会議を始めるよ! 具体的にはいつもみたいにイベントをしようと思うんだけどどんなのがいい?」

「私は食べる系のイベントがいいなー」


 最初にケマがふにゃふにゃとした笑顔でそんな意見を出し、続けてミヤタが挙手をして提案をする。


「はいはいはい! わたしはプロレスがいいと思うの! 怪獣がプロレスをしたら面白いと思うの!」

「お、いいね~! はい次は?」


 ミヤタはやはりというかプロレスを提案した。こいつには他にないのかとも思いつつ、まあそこまで悪くはないので否定しないでおいた。


 素人がやると危険ではあるけど兵庫や大阪ならアマチュアの団体くらいいくらでもあるだろうし。その場合お金はかかってしまうけどね。


「次は?」


 しかしそれっきり商工会のメンバーから意見は出なかった。スイメイと助手は沈黙し、ヘイザエモンはメイクを続けていた。どうやらやる気があるのはリーダーだけで他はそうでもないらしい。


「ねえ、アイデアがないならもう帰っていい? もうすぐ生配信の時間だから」

「ちょ」


 ヘイザエモンは面倒くさそうにイナデラに告げる。人を見かけで判断したくはないけどどうやら彼女は見た目通りの人物だったらしい。


 さらにはスイメイがはあ、とため息をついて狼狽えるリーダーに告げる。


「この集まりに意味はあるの? いくら他所から人を呼んだところで今更どうしようもないじゃない」

「スイメイまで……」

「やっぱり僕たちだけじゃ限界があると思います。いくらアイデアを出したところで他の人が賛同し協力してくれなければ独りよがりになってしまいますし」


 サクラギも決して間違った事を言っていない。どんなイベントも金や人手が必要不可欠であり子供だけでは限界があるのは明白だ。今はイベントを立案するよりも賛同者を集めるべきなのかもしれない。


「ごめん時間切れ。じゃーねー」

「ちょっと!?」


 そしてヘイザエモンは一方的にそう告げて帰ってしまう。数少ないメンバーはさらに減ってしまい、店内はより一層寂しくなってしまった。


「あむあむ」

「まったくもう……そ、それじゃ会議続けよっか!」

「う、うん」


 空気が悪くなり、ミヤタは明らかに戸惑っていたけど会議は続行する。けれどそれが尾を引いてしまったのか、それっきりいいアイデアが出る事はなかった。


 むう、やる気があるのは良い事だけどどう見てもイナデラは一人だけで空回りしている。こんなんで依頼を完遂出来るのだろうか。下手すれば今までの任務で一番難しいかもしれないなあ。


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