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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-19 ハナコとのデートin復興記念公園

 ――芳野幸信の視点から――


 紗幸の恋愛フラグをへし折る作戦が失敗に終わり、人ごみに疲れた僕らは中華街の近くにあった公園でのんびりしていた。


「はぁ~、やっちまいました。まさかミヤタさんの好感度を下げてしまうとは」

「どまよー。豚まんでも食べて元気出しなよ」

「他人事ですね。まさかこれで未来が変わったりしてないですよね……」


 ハナコはがっくりと項垂れながらも僕の渡した豚まんをもひもひと食べる。これは遠回しに僕とミヤタが引っ付く事を示唆しているけど本人は気付いていないんだろうな。


「それはないんじゃない? 僕とミヤタの絆はちょっとやそっとの事じゃ揺るがないからさ。多分今頃甘いスイーツでも食べてさっきの事なんてもう忘れてるんじゃないかな」

「それもそうですね」


 ただミヤタの事を僕とフィリアさんの次くらいに理解していた彼女はその説明で納得してしまう。今頃ミヤタはへくちって可愛らしいくしゃみをしてポカンとしているんだろうな。


「でも中途半端に時間が余りましたね。今からお店に行っても並ぶだけで自由時間が終わりそうですしどうします?」

「じゃあデート関係なく普通の男女っぽく散歩でもしようか」

「いいですよ。でも健全な男女がデート以外の目的で公園を散歩する事ってあるんでしょうか?」

「ない事はないでしょ。スポーツとかするんじゃないの、知らんけど。折角だしラグビーでもするかい?」

「空き時間に公園でするにはちょっとハードルが……」

「フンゴォオオ!」


 公園を散歩しながらのんびりとおしゃべりをしているとどこからともなく男性ホルモン溢れる叫び声が聞こえた。どうやら近隣に住む奥様方が子供を連れてラグビーを楽しんでいる様だ。


「やってる人いるけど。そういえば兵庫にもプロのラグビーのチームがあったよね。成績もトップクラスの。一般市民もする程度に人気なのかな?」

「正史世界と同じならそれなりに人気だと思いますよ。もしかしたらあの子供の中にプロになる子がいたりするんですかね。もう少しすれば女子ラグビーのチームも出来ますし」

「私は最強のラガーウーマンになるんだー!」

「いいわよ! あなたは兵庫の星になるの!」


 チラッと見てみると子供の中にとりわけ強そうな女の子がいた。お母さんも反対せずに協力して子供の可能性を引き出そうとしてくれているし何とも微笑ましい光景だね。


「かもね。いい感じに声が棒読みだし実際の人が声を当てているのかも」

「どういうベクトルの冗談なんですか。確かにアニメとかでは有名人が声優を担当するのはありがちですけどちょっとこのジョークはわかりません」

「まーラグビーの盛んさに関しては東北のほうも負けてないけどね。青森秋田岩手は特に。今はちょっと衰退気味だけど秋田は有名な強豪校があったから日本代表クラスのプロ選手も多いよ。っていうかこんなトリッキーな話題なのに意外と話が広がったね」

「あはは、本当ですね」


 たわいのないおしゃべりをしながら僕たちは散歩デートを楽しむ。のどかな……というには少しばかり騒がしすぎるけどこういうちょっぴりカオスな展開も僕ららしいからいいよね。


「ちょっと海でも見てみようか」

「いいですよー」


 散歩を続け、ふと海が見たくなった僕らは公園の外に足を延ばしてみる。やっぱり同じ港町の住民として日本でもトップクラスの港湾都市の海は見てみたいよね。

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