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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-14 傷心のスイーツ巡りin神京町

 ――宮田マリアさんの視点から――


「ぷいぷい。ぷいぷい!」


 ヨシノくんの浮気現場を目撃してしまったわたしはプリプリとどうぶつの住人の様に頭から煙を出してぷんすかしていた。


 いや、別にヨシノくんは誰とも付き合っていないから浮気でも何でもないんだけど……それでもなんかすっごく腹が立ってもやもやした気分になっちゃうの!


「うーん、中華街だからてっきり美味しい虫が食べれる店があると思ったんだけどないね。探せばあるかな」

「かもしれんがその辺で切り上げてくれ。吾輩は普通にスイーツが食べたいのだ」

「お」


 ちょうどいいところに目の前を歩くアトゥちゃんとチェルノちゃんを発見。うん、今日もいい感じに油断して投げやすそうだ。


「っ」


 けれどチェルノちゃんはテロリストの勘で良からぬものを察知して身構えてしまう。これじゃあ八つ当たり出来ないの、ちぇー。


「なんだミヤタか……異様な気配を察知したが何の用だ」

「ヨシノくんに浮気されちゃったからチェルノちゃんたちに絡もうかなって」

「あらら、そりゃ残念。ヨシノも罪な男だねぇ」

「フン、戦いに生きる人間が色恋沙汰に現を抜かすな。まあいい、ならばお前もスイーツ巡りツアーに参加する事を許可しよう!」

「わーい!」


 二人とおしゃべりして数秒後、わたしはスイーツの魔力に悲しかった事をすっかり忘れてしまった。そんなつまんない事は美味しいスイーツより大事じゃないからね!



「ぽへー、かわいいの!」

「本当、食べるのがもったいないね」

「くっくっく、そうだろう。事前に下調べした甲斐があったというものだ」


 スイーツ巡りツアー一件目、わたしたちの手にはゴマ団子の上にハリネズミを模した揚げ饅頭が刺さった串団子があった。美味しそうだけど食べるのがかわいそうなの~。


 でもこれを食べなきゃ次のスイーツを食べられないからここは心を鬼にしてぱくん。もちゃもちゃ食べるとハリネズミさんは優しいカスタードの味がしたの。


「にゃむにゃむ~」


 メインのゴマ団子ももちもちしてゴマがぷちぷちしてとっても美味しいの! チェルノちゃんも本当に幸せそうな顔をしてほっぺがもちみたいになって落っこちそうだったの。


「うん、良いね、このゴマのプチプチ食感。前に食べた虫を思い出したよ。あれは確か……」

「アトゥ、それ以上言うなよ」

「はーい」


 アトゥちゃんも満足していたけど余計な一言を言いそうになったのでチェルノちゃんはすぐに彼女を制止した。ゴマにそっくりな味の虫……何となく想像出来るけど想像したくないのー。



 食欲がなくなりそうになったところで口直しにかき氷を買ってみた。夏のスイーツにはやっぱこれだよね。


「ぴゃ~! キンキンに冷えてやがるの!」

「これがかき氷なのか……! これはかき氷じゃない別の何かだ!」

「二人ともオーバーなリアクションだね。ちべたー。でもうま~。確かにかき氷の概念は変わるね」


 お店に入って出されたかき氷は細かく削られた氷がこんもりと乗せられていて、とってもふわふわでまるで雲を食べているみたいだったの!


 イチゴとレアチーズの、ええとこういうのなんて言うのかな、そうマリアージュだ。ハーモニーっていうかね! ああもう上手く言えないけどとにかくとっても幸せな気分になれるの! 語彙力の無さが憎くて仕方がないの~。


「チェルノちゃんは黒蜜きな粉にしたんだ。一口いい?」


 和スイーツが好きなチェルノちゃんはやっぱりと言うか黒蜜きな粉味にしたらしい。こっちも全然違う見た目でとっても美味しそうだったの。


「構わんがお前のも一口寄越せよ」

「うん、いいよー」

「ちなみに僕のはマンゴーです」

「うん、あとでそっちも頂戴ね!」


 ある程度楽しんだところでわたしたちは食べ合いっこをする。うーん、口の中にいろんな味が入ってきて幸せがどんどん倍増していくの~。

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