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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十二章 失われた理想郷【第二部3】

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12-6 いざ行かんクソゲー道

 よし、ここは妹に嫌われるため対戦ゲームでフルボッコにしよう、空気を読まずにコテンパンに!


「そ、そうそう紗幸っ」

「待たせたなー!」


 だがそこにトイレに行っていたヤオが戻ってくる。そりゃもうすっかり出し切ったのかさっぱりとした笑顔でね。


 全く余計な事を……いや、苦し紛れの作戦よりもナチュラルエアークラッシャーの彼女に任せてみるのもいいかも。


「おうヨシノ! さっきのリベンジだ! 私を弄んだ事を後悔させてやるー!」

「え!? お兄ちゃんヤオさんに何をやったの!?」

「なに、無理やり誘ってリンゴを消しただけさ」

「リンゴを!? どどど、どんな隠語!?」


 僕は何ら嘘を言っていない。言葉通りの事をしたまでである。しかし想像力豊かな紗幸はあらぬ妄想をしてしまった様だ。


「くひゃひゃひゃひゃ! いいぜ、やってやる。お前のリンゴをズタボロにしてやるよぉ!」

「よっしゃ行くぜおらー!」


 本来ならばここで誤解を解いておきたいけど今回の目的は好感度を下げる事だ。僕はそのまま彼女をほったらかしにしてリンゴゲームの台へ移動した。


「ああそうそう。私は本気のヨシノ君とリベンジがしたいの。わかるね?」

「え? ふーん、わかったよ」


 けれど移動中ヤオは自信満々な様子で宣戦布告をした。サードマンモードはチート過ぎるから使うつもりはなかったけどそういう事なら仕方がないよね。勝負事で下手に手加減をするのは相手に失礼だし。


「レディ、ファイ!」


 僕はサードマンモードを発動し三秒後の未来を観測しつつ素早くリンゴを消す。うん、やっぱり前回同様余裕余裕、ってあらら?


「これが覚醒したリンゴ神の実力じゃー! 皆の者、神にリンゴを捧げよォォオオ!」

「あらーん」


 だがヤオは先ほどとは別人のように変わり怒涛の勢いでリンゴを消してお邪魔リンゴを降らしてくる。気付けば僕の画面はあっという間にお邪魔リンゴに埋め尽くされ秒殺されてしまったんだ。


「くっくっく、もうお前の術は見切ったんだよ」

「すごいねヤオ、一瞬で対策を練るなんて。どうやったの?」


 ただ今回は遊びとはいえこれは紛れもなくサードマンモードの敗北だ。もしこれが実際の戦いなら死んでしまうし僕は後学のためにその理由を知りたくて仕方がなかった。


「それは一言でいうならクソゲーへの愛、かな。無調整、バグ、ただの運……そうしたものに何度理不尽に敗北しても立ち上がる、それがクソゲーマーなのさ」

「フッ、そうだったのか。僕もたまにはクソゲーをしようかな」


 変なコメントが返って来たけどつまりはヤオが特殊だったという事らしい。僕は一安心し握手を求めたヤオの手を握り返した。


「さあヨシノ君! それじゃあいざゆかん、クソゲー道へ! そしてその先にあるバカゲー道にも!」

「ああ、見せてくれ! 僕にクソゲーの可能性を!」

「何してんのかねぇ、あの人ら」

「楽しそうだからいいんじゃないですか?」

「あわわ、ぶくぶく、りんご、りんご、りんご~」


 周りの目も気にせず盛り上がる僕らを紗幸の友人たちは冷ややかな目で見つめる。どちらかというと妹の友人からの好感度が下がっちゃった気もするけど外堀から埋めるのもありかもしれないね。女子って連帯感が強いしあんな奴と付き合うのはやめなよ! ってなったりするかも。


 だけど僕はふと思ってしまった。


 あれ? 僕が奇人変人なのはそもそもいつも通りなんじゃね、と。なのに今回のデートと言う名の悪ふざけに意味はあったのだろうか。


 まあなんだかんだで楽しめたしいっか。たまには学友と親睦を深めるのも悪くないよね。

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