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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十一章 永遠の村と『あの日』の償い【第二部2】

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11-86 フェイスレスが助けた理由についての考察

 ――ハナコの視点から――


「ごめんなさい」

「これをおおさめください」

「このとおりー」


 荷物をセントマリアに移動させるため拠点の旅館に移動し、マタンゴさんがミヤタさんが作ったプラモデルを壊した事が発覚し、そして現在彼らはマスカットや桃の缶詰などそれぞれの一番のお気に入りの岡山のご当地缶詰を差し出して頭を深々と下げていた。


「うーん、壊しちゃったものは仕方がないね。うん、ちゃんと謝れて偉いね」

「ごめんなさーい」

「ごめんね、本当にうちの子が」


 もちろん懐の深いミヤタさんはその程度の事で怒る事はない。彼女はあっさりとマタンゴさんズを許し、付き添いで一緒に謝罪したひかげちゃんも大事にならずホッとした様だ。


「別にいいよ。元々避難所で会った個性的な女の子にプラモデルを作ったらヨシノくんたちを助ける事が出来るって言われて作っただけだし。こうしてちゃんと戻って来れたって事はきっとそういう事だと思うの!」

「え?」

「それよりもわたしは今から避難所のほうに行くの! その後すぐに柳敷のほうに行かないといけないから急いでるの! なんか佐〇光留が来るらしいから!」

「あ、うん」


 彼女はものすごく気になる事を言ったけど、それ以前にミヤタさんはもっと重要な事があったらしくカスミさんに会うため部屋からいそいそと出て行った。移動手段はまだ用意してないけど彼女なら走って行けるだろう。


「しかし変な壊れ方したね。まるで内側から破裂したみたいだ」


 部屋に残ったヨシノさんは壊れたプラモデルを観察する。そのプラモデルは右足が破損していたけど、その壊れ方は今言ったとおり普通ではなく粉々だったので彼は疑問に感じてしまったらしい。


 ……うん、ちょうど今部屋の中には私とひかげちゃんとヨシノさんしかいない。ならあの話をしてもいいかな。


「ミヤタさんが避難所で会った個性的な女の子についてですが、もしかしたらそれはフェイスレスが変身した人物かもしれません」

「ああ、そういえばそんな事言ってたね。っていうか悪役なのにボランティア活動してるんだ」


 フェイスレスがボランティアスタッフに紛れ込んでいたという情報はもちろん共有しているのでひかげちゃんも知っている。ただずっと離脱していたヨシノさんはまだ知らないから伝えておかないと。


「フェイスレスなら異界でも会ったよ。僕の場合も助けてくれたけど」

「そうですか。でもヨシノさんの事もそうですが一体どうしてプラモデルを。何の意図があってそんな事をしたんでしょうか?」


 どうやらフェイスレスは異界にも出没して今回の騒動に介入していた様だ。ただあいつが暗躍していたとしてミヤタさんにプラモデルを作らせた意味はこれっぽっちもわからなかった。あいつのする事はよくわかんない事も多いけど今回は飛び切りわけわかめだったからね。


「罪移し……」

「え」


 けれどヨシノさんはボソッとそんな単語を言ったので私は驚愕する。普段生活していく上ではまず聞かないけどここ最近たびたび耳にするキーワードを。


「土偶や雛人形は災いを肩代わりしてもらうためのものらしいけどもしかしてこれもそうなんじゃないかな。だから消え去る運命だったはずのゲスミは助かった、そんなところかな」

「オカルトの極みだけど意味を求めるならそれが一番しっくり来る説明だね」


 ひかげちゃんは不本意そうに納得する。大前提としてあいつがそんな事をした理由はわからないけどそう考えるのが一番妥当な線だろう。


「あいつの目的はともかく結果的にゲスミはアドバイスのおかげで助かった。実はフェイスレスってそんなに悪い奴じゃなかったりするのかな」

「それだけはありえません」


 ただ普段冷静なはずのヨシノさんがそんなトチ狂った発言をしたので私は速攻で反論した。ゲインロス効果で惑わされているみたいだけどこればかりは言い返さないと。


「フェイスレスは白き帝の軍勢の中でもとりわけトリックスターな奴です。良い目的のために悪行を行い、悪い目的のために善行を行う……そんな奴なんですよ。正史にはあいつがした行いの全てが記されています。だからそれだけはありえないと思います」

「ふーむ。つまりゲスミを助けたのは何かしらの魂胆があると」

「そうだと思います」


 ヨシノさんは私の説明に納得し思いとどまってくれた。クリスマスの災厄にも絡んでいるフェイスレスはラスボスの次くらいにあくどい奴だ。その目的はわからないけど、どれだけ優しい事をされてもあいつだけは決して最後の最後まで信じちゃいけないんだ。


「わかったよ。今は君の言葉を信じるよ。さて、僕もそろそろゲスミの様子を見に行こうか」

「じゃ私たちは荷物の整理をしておくよ。ハナコも手伝って」

「あ、うん、わかった。それじゃあヨシノさんも気を付けてください」

「うぃー」


 気になる事は多々あったけど今は復興支援が最優先すべき課題だ。考察についてはまた後でじっくりすればいいだろう。


 けどフェイスレスは一体何がしたかったんだろう。正史にはした事は書かれていても何を考えてそんな事をしたのかっていうのは書かれていなかったからなあ。


 私は知るべきなのだろうか。なぜ彼が悪役になったのか、その理由を。


 ……ううん、そんなの知らなくていい。あいつは絶対的な悪、それ以上でも以下でもないのだから。

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