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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十一章 永遠の村と『あの日』の償い【第二部2】

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11-85 七十二時間後の奇跡

 その頃、ボランティアスタッフの活動拠点の旅館にて。


 チーム明日花の拠点はセントマリアに移転する事が決まり、数時間後にはこの場所を他の団体に譲るため様々な荷物が既にまとめられ引き払う準備が出来ていた。


「よいしょ」

「あそぼー」

「だれもいなーい」


 誰もいない部屋に団子の様に縦に重なり連係プレーでふすまを開けた三匹のマタンゴさんズが入室する。暇を持て余した彼らはチーム明日花のメンバーの誰かと遊びに来たわけだが、部屋の内部を見て全員が出払っている事を知りがっかりしてしまった。


「おもちゃないかなー」


 仕方がないので彼らは遊べそうなものを探し荷物を物色する。けれどチーム明日花のメンバーは遊びに来ているわけではなかったので当然彼らが欲するようなものはなかった。


「あー、だめだよー、かってにひとのものにさわったら」

「ちょっとくらいへいきだよー」


 良心のあるマタンゴさんは礼儀の知らないマタンゴさんたちを諫めるも彼らは聞く耳を持たなかった。


 本来野生のマタンゴさんは空き家に忍び込み、食糧や缶詰やガラクタなどの興味を示したものを集める厄介者だ。


 ひかげに使役されて大部分はその様な事をしないとはいえそのあたりは個体差がありこうして好き放題する個体もいる。もっとも彼女に叱りつけられたら次からは大人しく言う事を聞くようになるのだが。


 この良心のあるマタンゴさんもそんな一体だったが、自由気ままに生きる事を信条とする彼が何故従ったのか自分でもわからなかった。もちろん一応理由はあるにはあるのだが、それを言語化する事はキノコ程度の知能しかない彼には出来なかった。


「あれ? なんだろこれ」

「かっこいい!」


 しばらく調べていると彼らは机の上に置かれたロボットのプラモデルを発見した。それはとある人物のアドバイスでミヤタが慣れない夜更かしをして組み立てたプラモデルで、なんやかんやで本人も知らないまま重要な意味を持つ神器になり果てたのだが当然そんな事はキノコ風情が知る由もなかった。


「だーかーらー、かってにさわったらだめだって」

「やあやあ」

「たあたあ」


 マタンゴさんはプラモデルに興味を示してそれを持って遊び始め、良心のあるマタンゴさんは注意するも彼らは聞く耳を持たなかった。


 こうなってしまったらひかげに怒ってもらうしかない。彼は諦めて肩をすくめて(肩はないのだが)仲間が飽きるのを待つ事にした。


 バキィ!


 だがその時プラモデルの右足が突如として砕け散る。突然の事に遊んでいたマタンゴさんはひどく驚き慌てふためいてしまった。


「わー!」

「こわれたー!」

「だからいったじゃーん!」

「ちがうよ、なにもしてないもーん!」

「おこられるー!」

「にげろー!」


 それほど乱暴に扱ったわけでもないのに何故壊れたのだろう。けれどマタンゴさんたちは怒られる展開を想像しわたわたと部屋から逃げ出してしまった。


 ……………。


 そしてわたしの視点に戻って、と。


「ゲフォ、ゴフォッ!」

「わわっ!?」


 埋まっていた泥まみれの人はむせて口から泥を吹き出した。つまり呼吸をしているってことで、それは生きているって事だったの!


「生きてるの! この人生きてるの!」

「そんな!? 生きてる!? 七十二時間はとっくに過ぎてるのに!」

「と、とにかく急いで搬送するぞ!」


 助けた人が生きているとわかり自衛隊の人も大慌てで使う機会がなくほったらかしにしていた担架を持ってくる。どうして助かったのかはわかんないけど今は一人の命が助かった事を喜ぶの!


「ね、ねえ、今の子ってまさか!?」

「ああ、きっとそうだろうね。後で様子を見に行ってみよう」

「?」


 でもヨシノくんとさっちゃんは違う意味で驚いていたっぽかったの。もしかして二人の知り合いなのかな。


 けどもしそうならそんな子を助ける事が出来てなおさら嬉しかった。すぐには無理だろうけどわたしも気になるから出来れば後で無事に回復したかどうか教えてもらおうっと。

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