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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十一章 永遠の村と『あの日』の償い【第二部2】

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11-59 正史とは異なる岡山編の考察

 ――ハナコの視点から――


 異界に迷い込んだヨシノさんたちの救出チームには私、セラエノさん、レイカさん、ドーラさんが選抜された。


 私がまずした事は未来の事を知らないレイカさんとドーラさんに適当な理由をつけて別行動をさせる事だった。そして私はその間にセラエノさんと二人きりになり、昔ながらの喫茶店でコーヒーを飲みながら作戦会議をする事にしたんだ。


「セラエノさん、どう思いますこれ」


 ヨシノさんから送られてきたメールには『フミについて調べてほしい。具体的には周辺で何か事件がないか。もっと言えば彼女を殺す動機のある人間がいないか』と記されていた。


「私も正史で出てきたフミさんの事は知っていますけどあの人に恨まれるような過去はなかった……事はなくもないですね。ただあの件が絡んでいるのならむしろフミさんのほうに事件を起こす動機があります。ゲスミさんを殺す動機が」

「ええ。ただ今回の事件の犯人ではないでしょうね。今レイカとドーラに調べてもらっているからもう少ししたら何かわかるかもしれないけど。報告が上がるまではここで考察合戦をしましょう」


 セラエノさんはコーヒーを優雅に飲みまるでミステリー小説の感想を述べる用にそう言った。


「いやあ、ここまでコーヒーを飲む所作が似合う人もいないですね。出会った時のギャグシーンが嘘みたいです」

「鳥取はコーヒーの消費量が全国一位になった事があるの。つまり鳥取県民の血はコーヒーで、肉体はちくわで出来ているのよ」


 セラエノさんは鳥取県の雑学を披露しながらコーヒーをゆっくりと飲む。もし最初に出会った時こんなミステリアスな姿を見ていたらきっとこの人について勘違いしたままだったんだろうな。


 いやそうでもないか。結構な頻度でボケてるし。この人もヨシノさんに負けず劣らずなギャグ担当だからなあ。


「さて、最初のトピックだけど、ハナコも知っての通り明らかなイレギュラーが迷い込んだ結果正史とはかなり違う展開になっているわ」

「はい。正史だと人工太陽計画に絡んだ発電所の建設が土砂災害を誘発し、村の皆さんを助けるためタイムリープをしながら奔走したんですよね」

「ええ。けれどこの世界ではここに人工太陽計画の発電所は建設されていない。その代わりに中国がメガソーラー発電所を作って同じように土砂崩れが起こった。武蔵電力は白き帝の軍勢とアラディア王国の両方と手を組んでいたから少なくとも熊本編よりずっと前から関係はあったはずよ。アラディア王国がどの段階から人工太陽計画に加担していたのかはわからないけど、きっと地盤の問題に気付いていたから手を付けなかったんでしょうね」

「リスクを避け、同時に利用するために……」

「その通り」


 メガソーラーの無茶な開発による土砂災害はまだ断定はされていないけど、マスコミや世間は詳細な検証もせずに決めつけ関係のある中国政府や県知事を糾弾している。実際メガソーラー発電所が大規模な土砂崩れの原因になったのは間違いないし、批判されても仕方ないけどそれでも裏事情を知っていた私はしっくりこなかったんだ。


 ブブブブブ。ブブブブブ。


「見ますね」


 簡単に情報交換をしていると私のスマホが鳴動しメールが届いた。どうやらレイカさんからの報告の様だ。


「それで調査結果はどうだった?」

「『フミの事だけど三年の時の同級生が何人も死んでる。犯人は不明、警察も殺人事件として捜査しているわ』ですって」

「そう。これで中学時代の出来事が関係しているのはほぼ確定ね」

「ですね」


 メールには殺された同級生の事件に関する記事へのリンクが張られていたので調べてみる。


 そのどれもが包丁で刺されていたり首を絞められていたりと特に面白みのない平々凡々なよくある殺人事件であり物証も多く残されていた。これといった謎解き要素もないずさんな事件なので私たちが何かしなくても警察に任せていればやがて解決するなんて事のない事件だろう。


「ふむ……」


 そして私は最後に添付されたリンクをクリックすると今度は毛色の違う新聞記事のページに飛んだ。


『それぞれの道へ 三十五人の笑顔』


 それは卒業式の時に美術教師でもある担任の先生が黒板に描いたいわゆる黒板アートを取り上げた記事だった。


 やはり美術教師というだけあってとても上手に描かれてあり、中央には満面の笑みを浮かべた先生の顔が描かれ彼を囲むように教え子たちの笑顔の花が咲いていた。卒業式の主役は生徒なのに随分と出しゃばりな先生である。


「最低な絵ですけど……この中に殺人鬼がいるんでしょうか」

「可能性はあるわね」


 この絵は一見心温まる絵だったけど、私は非常に不愉快な気分になりながら他の新聞記事と一緒にヨシノさんに送信する事にした。洞察力のある彼ならきっとこの絵に隠された真実にすぐに気付くだろう。


 ブブブブブ。


「あれ、またメールだ」


 続けて私のスマホにドーラさんからメールが送られてきた。だが今度は調査結果ではなくとある新進気鋭の芸術家の個展についての情報だった。


「この絵を描いた担任の個展が丁度吉備市内でやってるみたいです。行ってみますか?」

「そうね、何か情報が入るかもしれないし」

「わかりました」


 私はレイカさんとドーラさんにメールを送り、個展の会場で合流する事にした。何かヨシノさんたちを助けるために役立つ情報が手に入るといいんだけど。

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