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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十一章 永遠の村と『あの日』の償い【第二部2】

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11-58 原宿系ファッションの女の子からの不思議なアドバイス

 プラモデル屋さんでのお仕事を無事に終わらせたわたしはまた別の現場へと向かい、まだ手が届いていないエリアを中心にお手伝いをしていた。


「えっほ、えっほ」

「あうー」


 今サラちゃんと一緒にやっているのは一周回ってシンプルな力仕事だ。やっぱりわたしはゾンビだからこういう力仕事が一番向いてるね。


 アラディア王国のロボットは大きなガレキをどかすのは得意だけど室内での細かい作業には向いていない。だからおうちの中で作業をする時は人の手のほうがいいんだよね。


「うぱー」


 ぬるぽも得意の水鉄砲で泥に汚れたまだ使える家具とかを洗っていた。ひかげちゃんと一緒にレベルアップしたから前よりも長い時間放水が出来るみたいだ。


 だけどこのあたりには同じようなおうちがたくさんあるからわたしたちが何かをしてもほんのちょびっとしか役に立てないだろう。いつになったら終わるのか気が遠くなるけど地道にやっていくしかないよね。手を動かしていたら少しずつだけど進めるし。


 ……………。


「お疲れさまだ! お茶飲むか!」

「ふにゅー、うん、ありがとー」


 ようやく作業が終わり丸太に座って一休みしているとサバトが空き缶のお茶を渡してくれる。でも明るい日中のうちに出来るだけ済ませておきたいから少し休んだら次の現場に行こう。


「……………」


 それに暇だとヨシノくんたちの事を考えてしまう。二人は危ない目に遭ってないかな、ちゃんと帰って来れるのかなとかそんな余計な事を。だからわたしは出来るだけ身体を動かしたかったんだ。


「ギョエー」

「ふに?」


 ふとその時ガチョウの様な鳴き声が聞こえ、気になったわたしはガレキで出来た山を見てみるとそこに馬の顔をしたコウモリみたいな生き物がいたの。


 大昔に岩巻高校で戦ったシャンターに似ているけどそれにしては随分と小さい。あれの子供なのかな?


「なんだろうこれ」


 変異ゾンビには違いないけどなんかよちよち歩いていて可愛いし危険なものじゃないはずだ。わたしはついつい愛でたくなってしまい近づいてしまった。


「ギョエー」

「待ってー」


 わたしが追いかけるとシャンターの子供は小さな足でぽてて、と鳩みたいに走って逃げだす。すぐに捕まえたかったのは山々だったけどわたしは飛び立たない様に程々の速度で追いかけたの。


「ギョエー」

「あ」


 しばらく追いかけているとシャンターの子供はパタパタと飛んで目の前にいた人の胸元にダイブする。わたしは視線が下に向いていたから気付かなかったけど誰かがいたみたいだ。


「おーよちよち」

「あれ? あなたは」

「さっきはどもー」


 その人はさっき学校の避難所で出会った不思議なファッションの女の子だった。シャンターの子供は女の子に抱きしめられてすっかり安心しきっていたの。


「えと、お姉ちゃんの家族だったの?」

「家族というか、関係性は奉仕種族とかそういうのに近いけどね」

「ホウシ種族? 胞子を出すキノコの友達ならいるけど」


 女の子はペットとの関係を形容するにはあまり使わない表現を使ったからわたしは結局どういう関係性なのかよくわからなかったの。


「でも追いかけてごめんなの、つい可愛くて」

「なら触ってみる? うろこで覆われているから触り心地は悪いけど」

「じゃ、じゃあ早速」

「ギョエー」


 女の子はそう提案してくれたからわたしは緊張しながらシャンターの子供をなでた。初めて触る生き物だからちょっとドキドキするね。


「なでなで」


 女の子の言う通りシャンターの皮膚は固くて爬虫類を触っているみたいだった。触った事は無いけどゾウさんを撫でたらこんな感じなのかな。


「うりうり」

「ギョエー」


 ついでにアゴの下を撫でるとシャンターは気持ちよさそうに鳴いた。犬とか猫と一緒でやっぱりここを撫でられると気持ちいいみたいだ。


「癒された? 随分と不安そうな顔をしていたけどどうしたのかな?」

「あ、うん」


 女の子はさっきまでのわたしを見ていたのか優しくそう声をかけてくれた。全部を話せるわけじゃないけど少しだけなら言ってもいいかな。


「その、一緒にボランティアに来ていた子が道に迷って変な所に行っちゃって……無事に帰って来れるか心配なの」

「そっかそっかー」


 本当の事は言えなかったからわたしは内容をぼかして伝える。これで伝わったのかどうかはわかんなかったけど女の子はうんうんと頷いて聞いてくれたの。


「ねえ、もし君に出来る事があるって言ったらそれをする気はあるかい?」

「え? あるの?」

「それがあるんですよ!」


 そして女の子はものすごく気になる事を言ったからわたしのアホ毛レーダーがピンと立ってしまった。これはぜひとも聞かないと!


「ほれ」

「わわっ、どこから出したの?」


 女の子は何もない場所からカードを取り出しまるで空中に浮かんでいるかのようにシャッフルをして一枚のカードを提示する。それは戦士のカードみたいだったけどもちろんわたしにはその意味はわからなかったの。


「ふむふむ、この占いの結果は……君はさっきのお仕事でプラモデルを手に入れたはずだ。空き時間でいいからそれを完成させるんだ。そうすればきっと分岐判定をクリア出来るはずだよ」

「ふにに、よくわかんないけど分かったの!」


 プラモデルを完成させるのがヨシノくんたちを助ける事にどうつながるのか、分岐判定がなんなのかわたしにはさっぱりわかんなかった。


「おーい、そろそろ次の現場に行くよー」

「わかったの、ひかげちゃん! じゃあね!」

「健闘を祈ってるよ~」


 けれど出来る事が見つかりわたしは有頂天になって小躍りしてしまう。よーし、それじゃあ仕事が終わったら今夜にもプラモデルを早速完成させようか!


「……ふふ」


 ただ女の子はさっきまでの明るい表情とは違う随分と悪役っぽい含みがある笑みを浮かべていた。不思議系と思いきや黒幕系なのかな?


 まあいいや、それじゃあ今日はフィリアにばれない様にこっそり夜更かしするの!

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