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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十一章 永遠の村と『あの日』の償い【第二部2】

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11-50 ゲスミとの一時休戦

 横槍によってゲスミとのバトルが中断され、僕は急いで負傷したサクタロウを担いで彼の自宅に戻る。


「ありゃ、ただい……ま!? 兄ちゃんどうしたの!?」

「説明は後。手当てするから道具を借りるよ」

「う、うん、それはいいけど」


 カヤは怪我をしたサクタロウの姿にかなり驚いていたけど言われるがまま治療に必要なものとかを用意してくれる。


「わたわたっ」

「……………」


 僕はてきぱきと災害時に出来る応急処置の講習で得た知識を使って包帯を巻くけど、紗幸は混乱して何も出来ずゲスミもこの期に及んでまだ警戒している様に見えた。


「犯人はお前じゃなかったのか」

「見たらわかるでしょ。詳しい話は後でするけど」

「……そうか」


 ゲスミは治療する姿を見てようやく味方であると認識してくれた。もちろん因縁が解消される事はなく根深い怨恨はまだ残ったままだったけど。


「ね、ねえ、兄ちゃんは大丈夫なの?」

「出血はしているけど見た感じ傷口は浅い。一週間もしたら治るでしょ」

「そ、そっか」


 素人目ながら所見を述べるとカヤは安心する。この傷は僕が銃を撃って出来たもの……とは今は言わないでおこう。


「一週間もかからないさ。どんな怪我でも一日で治るからな」

「サクタロウ」


 だけど手当の最中サクタロウはそんな事を言ったので僕は一瞬手を止めてしまう。そしてその意味を瞬時に理解したうえで僕は手当てを続けたんだ。


「これでよし」

「ありがとう。痛て……」


 サクタロウは傷口を包帯の上からさすり痛がってしまう。痛いってわかっているのについついやっちゃうよね。でも怪我をさせたのは僕だから感謝しなくてもいいんだけどなあ。


「ええと、サクタロウはどうしてあそこに」


 応急処置を終わらせたところで僕はなぜあんな場所にサクタロウがいたのか尋ねた。神社は辺鄙な所にあり用事がなければまず訪れる事はない場所だったからだ。


「お前らが神社の場所を尋ねたからだ。要石を調べに行ってたんだろ」

「……………」

「っ」


 そして僕たちはその単語を聞いてすべてを理解する。どうやらサクタロウもまたこの異界がタイムリープをしていると知っている様だ。


 つまり彼と会話をしていた時は嘘をついていたという事になる。その理由はいろいろ考えられるけど今は彼から話を聞こう。


「もし壊すつもりならとりあえず止めるつもりだったが行ってみたら……ここから先は言わなくてもわかるよな」

「うん、その……ごめんね」

「別にいい。仲直り出来たみたいだし」

「フン、別に仲直りはしてないけどな」


 ゲスミは即座に訂正し不機嫌そうに答えた。一応誤解は解けたけど殺されるだけの因縁はまだ残っているから引き続き背中には気を付けたほうがいいかな。


「要石を壊すのは構わない。だけどもうちょっとだけ待ってくれ。わがままな頼みだって事は重々承知しているけど……俺たちはまだこの世界に未練があるんだ」


 サクタロウが異界の状況についてどこまで知っているのかはわからないけど僕はおおよその事情を把握していると解釈した。自分たちが死んでいる事、そして殺人鬼の事、タイムリープをしている事を全て……。


 彼はそれをすべて理解したうえで懇願したのだ。彼には恩義があるし、それに何より僕はちゃんと空気が読めるからここはそのお願いを聞くとしよう。


「わかったよ。だけどあまり長居はしたくない。僕にも護るべき存在がいて、彼女と一緒にちゃんと家に帰らないといけないから」

「すまないな」

「お兄ちゃん……」


 けれどこっちにも譲れないものはある。僕は紗幸に視線を向けてそう主張すると彼もまたその申し出を受け入れてくれた。


 僕は紗幸を護らなければいけない。彼が自分の妹を大切に思っている様に僕も兄として自分の命よりも大切な家族を護らなくちゃいけなかったから。


「ところでヨシノ、お前たちは今日どこに泊まるつもりなんだ?」

「学校に泊まるつもりだけど」

「そうか、そっちが嫌じゃなければ今日はうちに泊まっていくと言い。理由はあえて言わないが固まっていたほうがいいだろ?」

「君らがいいなら僕は構わないよ」


 サクタロウは至極もっともな提案をしたので僕はもちろん承諾する。事件が起きるかどうかはわからないけどやっぱり昨日みたいに死なれるのは目覚めが悪いからね。


「わかった。野菜ばっかのヘルシーな料理しか出ないが我慢してくれ」

「うぃ」

「カスミは、」

「遠慮しとく。こっちは別口で因縁があるからな。傾向的に今回は奴は出てこないだろうし」

「あっ」


 ただゲスミはその申し出を即座に拒み家から出て行った。こっちとしてもそっちのほうが気が楽だしそれでもいいんだけどね。


 とにかく今日はゆっくり寝られそうだ。殺人鬼はフミを狙っているらしいから彼女の事はちょっと心配だけど。


 でも傾向か。きっとゲスミはデータが取れる程様々な経験をしたんだろうな。絶望にくじける事なく友達を助けるために情報を集め続けて……。


 僕はまだこいつの事を許したわけじゃないけど、少しくらいは見直してもいいかな。

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