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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第十一章 永遠の村と『あの日』の償い【第二部2】

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11-49 VS 嘲笑と贖罪 弓削華澄

 だけど変わったゲスミにニコニコ笑っていたせいで、彼女は残念ながら逆上してしまった。


「何ヘラヘラ笑ってやがるッ! 私はようやく居場所を見つけたんだッ! お前らなんかに壊されてたまるかッ!」

「だから違うんだけどなあ」


 結局誤解が解けないままゲスミとのバトルはスタートしてしまう。そして彼女は溢れんばかりの怒りを矢に込めて勢いよく放った!


「ひょい」


 ただもちろんそれだけなので普通に回避出来る。彼女はいわばライフルを持ったおじさんで一般人なのだ。きっと戦闘力は5もないだろう。数値が急上昇して測定器が壊れるなんて事ももちろんない。


「くッ!」


 攻撃を外したゲスミは茂みに隠れて逃げ出してしまう。鬱蒼と茂った深い森は相手の姿を隠し、ほんの一瞬目を離しただけですぐに見失ってしまった。


「どうしよう紗幸、殺すだけならどうとでもなるけど次のタイムリープで復活するだろうからなあ」

「うーん、死なないとしてもそんな事したら二度と話を聞いてもらえなくなると思うからやめたほうがいいよ。出来れば怪我をさせない様にしてほしいんだけど」


 今のゲスミを知ってしまった紗幸にとって彼女はもう敵でも因縁の相手でもなくなってしまったらしくすっかり思考は救済にシフトしていた。よーし、ならここはお兄ちゃんとして妹の願いを叶えるとしよう。諸々の事は割り切って。


「そっか。音とか気配でどこにいるかは大体わかるとして……シンプルに接近してサブミッションで無力化かな。少しは怪我するかもしれないけどまずは力尽くで話し合いに持ち込まないと」

「力尽くで話し合いかあ。随分と矛盾した表現だけどそうするしかないよね。私のガトリングを使うわけにはいかないし」

「使ったら一瞬で肉塊になるからねー。よっと」


 木陰に隠れていたゲスミは二発目の矢を発射するも僕は会話をしながら回避した。弱い敵を殺さない様に倒すのって強い敵を倒すよりも至難の業なんだよね。


「僕が行くから紗幸は避けられる位置で待ってて。ゾンビでも矢で撃たれるのは痛いだろうし」

「うん、お願い」


 仕方がない、遠距離鈍足アタッカーの紗幸は大人しく待機してもらおう。この任務は紗幸には難しいだろうからね。


 ズドン!


 僕は銃を発砲、威嚇射撃をしてから茂みの中に入った。もちろんゲスミに命中させるつもりはないけど大抵の生き物はこの音にビビッてそれだけで行動は制限されてしまう。野生動物に限らずやはりシンプルに大きな音は怖いからね。


「ふむ」


 だけどゲスミの動きに変化はなく僕に攻撃を命中させる事を前提に立ち回っていた。銃の音を怖がらないとは……そっか、それだけ立ち向かう強い意志があるって事なのか。


 音が消える。しかし耳を澄ませば土を踏みしめる音は聞こえてくる。右、右、近づいて……。


「ッ!」

「ひょい」


 息を殺して潜伏していたカスミは背後から不意打ちを仕掛けるも僕は難なく矢を避けた。


「いくつもの修羅場をくぐってきた僕とはレベルが違うんだよ、お疲れ様でした。どうせならこのやり取りミヤタとやりたかったな。僕が外○役で」

「クッ!」

「逃がさないよ」


 ゲスミは再び逃げ出そうとしたけど僕はすかさず威嚇射撃をして怯ませた。今度はちょっと服をかすめて破る程度に。


「あ、あわわわ……」


 銃口を向けられたゲスミはあの時の様に大きく目を見開いて怯え腰を抜かしてしまう。やはりいくら友人を護ろうとしても眼球を撃たれた恐怖はそう簡単にぬぐえない様だ。


「安心して。僕は君と話し合いたいだけなんだ」

「ん、う、ぐぁっ」


 僕は優しく声をかけるけどそれはかえって恐怖を倍増させてしまい彼女は呼吸すらも出来なくなってしまった。


「ざけんじゃねぇよカス……ッ! 皆は……この世界は私が護る……ッ!」

「おや」


 しかしそれでもゲスミは恐怖に打ち克ち立ち上がった。僕が犯人というのは誤解とはいえやはり幸せな気持ちになってくるよ。


「うああああッ!」

「む」


 ゲスミは半狂乱で叫びながら僕に掴みかかり銃を奪おうとした。だけど向こうから近付いてきてくれたわけだからこれは僕にとっては願ってもない状況である。


「ああああッ!」

「く、ぬおっと」


 相手は普通の少女と言え追い詰められ火事場のバカ力を発揮している状態だ。何より暴発してゲスミを撃たない様にしなければならない。僕は慎重に計算しながら揉み合いタイミングを伺った。


 しばらく銃を乱射しながら暴れていると相手は疲れてきた。そろそろか、今かな?


「カスミッ!」

「あらら?」


 ズドンッ!


 しかしそこに空気が読めない第三者が現れ強引に間に入ってきてしまった。僕は彼を護るためにギリギリのところで捕縛を中断し、結果弾丸は予期せぬ方向に飛んで行ってしまう。


「サクッ!」

「サクタロウ!」

「ま、まったくお前ら何やってんだ……」


 その乱入者、サクタロウは大腿部から血を流し、戦いをやめた僕らを見て安心したように笑い、そして全身から力が抜けた彼はその場に崩れ去ってしまう。


 うむむ、予想外の出来事が起こってしまった。これは少しまずいな。ここは一時休戦して彼を治療しないと。

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