レイナは目覚める②
続きです。
レイナの目覚めは、いつも重く、辛いものだ。
軋む体を、まるで棒の様な腕で押し上げる様は、自分の体の重みにさえ耐えきれない私は一体なんなのだろうかと、いつも疑問に思ってしまう。
爽快な目覚めというものを、一度は味わってみたい、そう願ったこともあったが、それも随分と昔に諦めてしまった。
生きることは、レイナにとって苦痛以外の何者でもない。
だから、その日の朝のことをレイナは、一生忘れることはない、そう思った。
「ん・・・」
柔らかな光を瞼越しに感じ、瞳の奥に火が灯るように熱くなる。
随分と長い間、寝ていた様だが、頭の中にある記憶は、クラレント卿の屋敷に通された後に、ぐらりと体のバランスを崩したところまでは覚えている。
それから一体、どれだけの時間が経ったのだろう。
1日か、2日・・・長旅の疲れもあるだろう。4日程度は寝込んでもおかしくないかもしれない。
レイナの意識が徐々に覚醒をしていくのと同時に、いつもの覚悟を決めていく。
そう、苦痛に耐え続ける覚悟を・・・。
この寝起きの油断を突くような痛みを耐え切った後に、体を起こすのが、「おはよう」より早い、レイナのあいさつなのだ。
しかし、それはいつまで待っても訪れなかった。
意を決して、目を開き、体を起こすと、肩に掛かる、手入れの行き届いた赤い髪がサラリと流れる。
「ここは・・・」
そこは、ガラス張りの温室だった。
空の日は、すでに高く、陽の光が身体を包む。
ベットの絹の柔らかな優しい感触。光の暖かさ、心地よい眩しさ。
遠くの山々まで煌めくような白銀の世界。
世界が変わったような錯覚を覚えるほどだった。
自分の置かれた状況もそうだが、、体の変化にも驚愕した。
体が軽いのだ。ゴリゴリと身を削る様な痛みもヘビが這い回るような熱も、氷が体の中を抜けていく様な悪寒も何も感じない。
身体が感じる全てが優しく、世界の全てが愛に満ちていた。
一ヶ月に一回は更新できるように頑張ります。




