摩耶と吉原
第一回目の摩耶先生によるカタカムナウタヒの授業が終わった。
大半の生徒がミスマルノタマの意外と簡単な装着方法と新しい考え方に満足して帰っていった。
あたりはもう真っ暗になっていた。
「ふーちゃん、いい授業だったよ。僕たち大人たちも今更ながら物質文明と精神文明の違いもわかったし、これからの社会の枠組みの将来性が見えてきた」
「ジョージおじさん、そう言ってもらえて嬉しいわ」
「ところでこの後、少し会議をしたいのだけれども時間あるかな?」
「いいわよ。じゃあウィングで話しましょう。マイさんアミさん一緒にいきましょう」
「売り上げ協力ありがとうね、摩耶ちゃん」
4人は揃ってお化けトンネルを通ってウィングバーガーに入っていった。
「マイさんウイングバーガーセット2つお願いね」
「はい!いつもありがとうございます!お代は結構よ」
「え?」
「なんか毎日、たくさんの男子生徒から『ハンバーガーの代金』って食べないのにお金を置いていってくれるの」
「あー、メグの胸貯金のおかげね」
クスっと摩耶が笑う。
「ところでジョージおじさん、会議の内容は?」
「前に話した例の新しい企画の話だ。社長からどうしてもふーちゃんと話をしてくれって言われたもので」
「了解、電子書籍ね。名前は『今日も元気よ!カタカムナ』でお願いね。で、具体的には今後どうしたらいいの?」
「社長から当座の資金3000万円を預かっている。この資金をもとにカタカムナ文明の広報と今日、観させてもらった授業のようにミスマルノタマをまとうやり方を全国に知らしめることができたらいいと思ってる」
「だったら賛成よ。私にできることなら何でも言ってちょうだい」
「それともう一つ。我々が住む神戸が太古の昔に世界の首都だったというこの事実も発信したいと思う」
「賛成」
「できれば神戸市役所の観光課と連携できればだと思っている」
「それならクラブの渡辺部長のお父さんが、ちょうど観光課の課長さんをやっているので一緒にコラボできたらいいわよね」
「そうかそれは奇遇だな。神戸市の観光課とわが社が一緒になって神戸市が太古の昔の世界首都だと言うことを全世界にPRできたらこれほど面白い事はないな」
「そうね。それと私たちの本当の目標の全人類が貧富の差がなくなって、精神文明の理解の一助につながるなら私の人生をかけてもいいと思ってるの」
「ふーちゃんのその熱い思いは、昨日の記者会見で感じたことだ。僕も心から応援したい」
「了解!じゃぁ出版の成功を祈念してコーラで乾杯しましょう」
「「乾杯」」
「カランカラン」
ウイングのドアのベルが鳴ってネズミ顔の生徒が入ってきた。
「よかったー!ここにいたのか」
ネズミ顔の播磨が『ぜいぜい』言いながら摩耶のテーブルの横に座った。
「あら、播磨先輩どうしたの?息せき切って。あ、ジョージおじさん、この人が私のクラブの先輩の播磨先輩です。こう見えても、なんとあの神戸ドリーム観光の社長の御曹司です」
「そうですか、吉原です。摩耶ちゃんのお父さんの会社に勤めています。よろしく」
「よろしくお願いします」
息を整えた播磨がお辞儀した。
「ところで摩耶さん、例の話は納得してもらったかな?」
「先輩の旅行会社で働く話ね。大丈夫よ。メグにも相談して了解もらったから。お手伝いするわ」
「よかった!それを聞いて安心した!もう先に親父に約束したから今更NOが言えなかったんだ!ありがとう!本当に心からお礼を言う」
後輩の摩耶の前で米つきバッタのように両手を合わせる播磨はどう見ても貧乏神にしか見えなかった。