長野 黒姫高原
翌日10:00 校門前
メグが校門に到着すると、大江田と田森そしてなんと中居の3人の先生が待っていた。
「あれ?中居先生も行くんですか?」
「急で申し訳ない。せっかく黒姫高原に行くなら近くの野尻湖にちょっと行きたくなったのでね」
「野尻湖ですか?あのナウマン象の歯の化石が見つかったと言う」
「そうだ。さすがになんでもよく知ってるね。同伴してもいいかな?」
「了解です?ご存知のとおり2人も3人も同じですから」
「ありがとう、助かるよ」
「では、さっさと行きましょう!黒姫高原へレッツゴー!」
そう言うとメグは水晶を取り出して3人の先生を引き連れてお化けトンネル内に入って行った。
トンネル内が明るく輝いた直後。
黒姫高原の麓にある熊倉神社のひっそりとした境内に4人は立っていた。
神戸の雑踏から離れた見晴らしのいい高原には、ピーチクとヒバリの声が聞こえている。
「はー、やっぱり空気が美味しいわねー」
巨大な胸を突き出して大きく背伸びするメグ。
「なんと・・・ほんとに一瞬で遠距離移動ができた・・・」
大江田がメガネを拭いてかけなおして辺りを見回す。
「ね、素晴らしいでしょう?」
中居がつぶやく。
「しかし全然、神戸-長野間の距離感を感じさせないな・・・」
田森がつぶやいた。もちろん全然ではなく舌足らずなので「でんでん」と聞こえる。
「あの丘の上が宿泊予定のホテルだな。さあ、ここからホテルまで歩いていきましょう」
大江田が坂道の上の赤い屋根を指差して歩き出した。
「卯原さん、少し質問いいかな?」
坂道を歩きながら、ハンカチで汗を拭く大江田がメグに聞いた。
「何でもどうぞ」
「我々4人だったから、今のように一瞬で来れたんだが、例えば1学年500人の生徒丸ごとの移動は可能なのかな?」
「回数の問題だけね。工夫すれば全然問題ありません。今、特別教室で教えてる100人の生徒全員がミスマルノタマをまとえたら3回ほどの往復で可能になるわね」
「そうか、それができたら素晴らしいなぁ。旅費がタダになるし時間も短縮できるな」
しばらく歩いてホテルの玄関に着いた。ホテルの支配人が玄関で出迎える。
「ようこそ影松高校様。いつもご利用ありがとうございます。あれ。今日は歩きで来られたのですか?」
「やあ、こんにちは佐藤支配人。今日は瞬間移動で神戸から来ましたもので」
「あー!新聞テレビで大騒ぎになっているアレですね。従業員みんなで話題になっています。現場を是非、一度見たいものです!さあ、立ち話もなんですから奥へどうぞ」
佐藤支配人が、4人を応接室に案内した。
「さあ、これが旅行当日のプランです」
先生たちが目の前に配られた資料に目をとおす。
その後、修学旅行中の行程や、部屋割りなど細かい2時間ほどの打ち合わせが終わった。
「あ、予算の件ですが。ひよっとしたら瞬間移動により旅費が浮く可能性が出てきましたから、その分生徒たちにいい食事とみやげ物を出してあげてください」
「わかりました。神戸からの移動費用が削れると楽ですよね」
「はい、当日はよろしくお願いします」
打ち合わせが終わると、佐藤支配人にタクシーを呼んでもらい4人は野尻湖方面に向かい旅行当日に立ち寄る施設の予約が完了した。
「だいたいこれで2日目のグループごとによる『野尻湖散策』のメドが立ちましたね」
時計の針は13:00を指している。
道路脇にレストランが見えてきた。
「そろそろ、ここでお昼にしようか?」
「賛成!お腹が空いてきたわ」
「毎年立ち寄る、このレストランのぜんざいはとても美味いんだ」と田森が言った。もちろん「ぜんざい」ではなく「でんざい」と聞こえる。
食後はレストランで当日の予約をして、3日目の目的地の長野市内に向けてタクシーを走らせた。
「田森先生、長野市内ではどこに行くのですか?」
「例年、みやげ物購入と受験祈願を兼ねて善光寺に行くんだ。その後はグループごとに市内の散策だ」
と田森が説明する。もちろん善光寺でなく「でんこうじ」と聞こえる。
長野市内の各所の予約と善光寺巡りが終わり、タクシーは最初に来た熊倉神社まで戻ってきた。
突然、メグが提案した。
「提案!どうせなら近くの皆神山に行ってみない?先生方?」




