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恋架け橋で約束を  作者: 桜坂ゆかり
第七章 七月七日
38/45

いても立ってもいられず

 目を覚ますと、部屋は明るく、朝の光が私の近くにも差し込んできていた。

 孝宏君?!


「おはよう」

 私が身体を動かした瞬間、孝宏君の声がした。

 一瞬、びっくり。

 でも、すぐに安堵に変わった。

 よかった……隣にいてくれた……。


 ずっと、寝付いた体勢のまま、いてくれたみたい。

 一晩中、添い寝してもらえたんだ……。

 普段はここで喜べるはずなのに、不吉な夢のせいか、心から笑えなかった。


「さてと、そろそろ朝の支度を始めるね」

「あ、ごめんね。時間を取らせちゃって」

「謝らなくてもいいよ。僕は佐那ちゃんに謝ってもらうようなことを、された覚えは一度もないから。次、佐那ちゃんが謝ってきたら、罰としてキスするよ」

「全然、罰になってな~い。それなら、わざと謝っちゃうよ」

「ははは。調子、出てきた? やっぱり佐那ちゃんは、元気でいてくれないと。僕も寂しくなるよ」

 元気付けてくれたんだ。

「うん、元気出てきたよ。ありがとう!」

 そして、孝宏君は準備のために、私の部屋を出ていった。

 そっか、今日からまた雪乃さんもいないんだ。

 すぐ寂しくなる私……相当な寂しがり屋なのかなぁと自分でも思う。




 朝食の後、孝宏君はいつもどおり学校へ出発した。

 ただ、今までと違って、頭を撫でたり、抱きしめたりしてくれてからの出発だった。

 もちろん、おばあさんの見てないところで、だけど。




 今日は特に、いつもよりも寂しい私。

 なので、リビングにて、おばあさんと一緒におしゃべりする時間が、いつもよりも長かった。


 そういえば、まだ警察からは何の音沙汰もないらしい。

 気に病んでもどうしようもないけど……でも、不安に拍車がかかる。




 孝宏君、まだかなぁ。

 まだ午前中で、それも、十一時にすらなっていない段階で、孝宏君の帰りが待ち遠しくなっていた。

 ああ、私も一緒に授業を受けられたらいいのに……。

 今日は天文部の集会出席のために、帰りがいつもより一時間以上遅いと聞かされていたから、なおさらだった。

 このまま、午後五時ぐらいまで会えないなんて……。


 そのとき、不意に思いついたことがあった。

 そうだ!

 校門の近くで待っていれば、一緒に帰れる!


 制服も着ないでじっと待っているところを、他の人に見られたら不審がられそうだけど……。

 それに、恥ずかしいから堂々と手を繋いで歩けないだろうけど……それは仕方ないとして。

 それでも、隣を歩いて家に帰るだけでも、私にとっては幸せだから。

 とにかく、たとえ一分一秒でも、孝宏君と長く一緒にいたい。

 そんなことを考えていると、ますます五時が待ち遠しく、時間が経つのが遅く感じられた。




 お昼ご飯を食べた後も、全く落ち着けなかった。

 会いたい気持ちばかり募って、手にした本にも全く集中できない。

 午後四時過ぎ、もういてもたってもいられなくなった私は、校門前へ向かうことにして、おばあさんに一言告げてから、家を出た。




 見上げると、空はどんよりと曇っていた。

 一雨来てもおかしくないほどに。

 とりあえず、二人分の傘を持っていくことにした。


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