表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋架け橋で約束を  作者: 桜坂ゆかり
第五章 七月五日
32/45

バーベキューを終えて

 やがて、食べ物がなくなって、バーベキューは終了した。




 みんなで後片付けをした後、おばあさんの挨拶により、その場で解散ということに。

 解散といっても、おばあさん、孝宏君、雪乃さん、それに私の四人は、どこかに帰っていくわけじゃないけど。

 智君、美麗さん、崎山君、そして雪乃さんのお友達お二人は、満足げな表情で帰っていった。

 バーベキューは大成功、かな。

 私にとっては何より、美麗さんとしっかりお話ができて、仲良くなれたことが大きな収穫だったと思う。

 ちょっと疲れちゃったけど、すごく楽しかったな。




「佐那ちゃん、お疲れ様。それじゃ、僕の部屋で休憩しない?」

 孝宏君が言ってくれた。

「うん、もちろん!」

「佐那ちゃん、お疲れのようだね。ゆっくり休むといいよ」

 おばあさんが私の顔を見て、言ってくれた。

「はい、ありがとうございます」

「ゆっくりね~。ああ、そうそう! 佐那ちゃん。私の今のお部屋は、二階廊下の突き当たりだから、いつでも遊びに来てね! しばらくはここでおばあちゃんと一緒にテレビ見てるし、それに明日夜にはもう帰るから、今週はあまり機会がないかもしれないけど」

「分かりました。機会があれば立ち寄るね。それでは」

 私は雪乃さんに答えた後、孝宏君の後に続いて階段を上った。




 それから、孝宏君のお部屋で、のんびりおしゃべりをして過ごした。

 孝宏君は、趣味の話をするとき、特に目がキラキラしている。

 そして、そんな孝宏君の様子を見ると、たまらなく幸せになる私。




 私たちは順番にお風呂や歯磨きなどを済ませ、再び話し込んだ。




 一緒にいる時間はあっという間に過ぎてしまう。

 早くも、もう寝る時間だ。

「もう寝なくちゃいけない時間だね」

 名残惜しい気持ちをこらえて、私が言った。

 孝宏君も寂しげな表情だ。

「楽しい時間は、あっという間に過ぎちゃうね。でも、また明日もいっぱいおしゃべりしようよ。佐那ちゃん、今日もありがとう」

「こちらこそ、ありがとうね」

「そういえば、明日は朝からライブハウスに行かないとね。日曜だから、ずっと一緒に過ごせるよ」

「はい、すごく楽しみ!」

 わくわくしてきた。

 孝宏君と一日中、一緒にいられるなんて……。

 思わずスキップでもしたい気分。

「僕も楽しみ。楽しみすぎて、今晩、ちゃんと寝られるかな」

 笑顔で言う孝宏君に、「ちゃんと寝ないと駄目だよ」と私は言った。

 すると、またギュッと抱きしめてくれる孝宏君。

 何度されても、そのたびにドキドキする。

 慣れてくるような類のものじゃないみたい。

 孝宏君の胸に耳を当てると、孝宏君もドキドキしてくれているのが分かった。

 すごく嬉しい。


「おやすみ、じゃあ、また明日ね」

 身体を離して、軽く手を振ってくれる孝宏君。

 おやすみの挨拶を返した後、後ろ髪を引かれる思いで、私は自分の部屋へと戻った。




 部屋で一人になると、途端に心細くなる。

 ……そういえば、おばあさんが何も言っていないことを考えると、まだ警察からの連絡が何もないのだろう。

 おばあさんのことだし、もし何か進展があれば、すぐに知らせてくれるはず。

 私、大丈夫かな……。


 記憶を取り戻して、早く元通りの私に戻りたいという強い思いがあるのに、それに反するような思いもまた、私の中に生まれていた。

 記憶を取り戻したら……また、元々好きだった人への恋へと戻る?

 そんなことあり得ない……。

 今の私にとっては、孝宏君以外の相手との恋は、考えられなかった。

 もう孝宏君以外の人に恋する自信は全くないし、恋いしたいとも思わない。

 孝宏君さえいてくれれば……。


 そんなことを考えていてなかなか寝付けず、ようやく眠りにつくことができたのは、空が白み始めた頃だった。




 また私は夢を見た。

 私がいたのは、あの秘密の場所。

 すでに薄暗くなっているあの場所にて、相変わらず一人ぼっちで私は立っていた。


 すぐに、孝宏君を探す。

 しかし、どれだけあたりを見回してみても、孝宏君の姿はなかった。

 思わず涙が出てくる。

 どこへ行っちゃったの……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ