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恋架け橋で約束を  作者: 桜坂ゆかり
第三章 七月三日
19/45

おしゃべり、そして就寝

 その後、後始末をしてから、孝宏君と私はお風呂や歯磨きをそれぞれ済ませて、また孝宏君の部屋でおしゃべりをすることにした。


「今日はほんとに楽しかったですね」

 私たちはまた今日の出来事を思い出しながら、おしゃべりを楽しむ。

 美麗さんの話題はお互い触れなかったけど、私は内心すごく気になっていた。

 射的のときに、孝宏君と美麗さんが急接近したことなんかを思い出すと……。

 胸が苦しくなった。

 なので、話題を小物入れの方向に変えることに。


「小物入れ、大切にしますね」

 すでに私の宝物になった小物入れについて、またお礼を言った。

 孝宏君も「喜んでもらえて、本当によかったよ」って言ってくれて、嬉しそうに笑う。

 その笑顔を見て、ますます私も嬉しくなった。

 美麗さんのことには触れないまま、私たちはおしゃべりを続けた。




 やがて、寝る時間が来たので、孝宏君に伝えると、「おやすみ」の挨拶を交わして、私は自分の部屋へと戻った。


 今日は夏祭りと秘密の場所へ行ったおかげで、孝宏君と急接近だったなぁ。

 でも、夏祭りでは、美麗さんが孝宏君に急接近……。

 優しくしてくれる智君には申し訳ないけど、私にとっては孝宏君が誰よりも大切な人だと、より一層自覚することとなった。

 孝宏君が美麗さんとお付き合いすることになってしまったら……私には考えたたくもなかったし、想像するだけで涙が出てくる。

 やっぱり……絶対に嫌だ。

 気持ちを伝えなくちゃ……。

 でも……いつ伝えよう……。


 そう言えば、七月七日が刻一刻と近づいてくる。

 孝宏君から聞いた、恋架け橋の伝説を思い出した。

 たしか……「七夕の夜、この橋の上で愛を誓い合った2人は永遠に結ばれる」とか「七夕の夜にここで告白すれば、恋が実る」とか、言ってたっけ。

 そのときに告白しようかな。


 でも……またしても、胸騒ぎが私を襲った。

 何だろう……この不吉な予感……。

 自然と、私が倒れていた時に手にしていた絵馬のことも思い出してしまう。

 七月七日……。

 いったい、何があるというの?


 それと、今日も警察からの連絡がなく、記憶探しもほとんど進展しなかったことも、私の不安に拍車をかけていた。

 このまま記憶が戻らなかったら、どうしよう……。

 考えるだけでつらい。

 そんなことを布団の中で一人、悶々と考え続けているうちに、いつしか私は寝入っていた。




 その晩の夢は、前日とよく似ていた。

 制服姿で駅のホームに立つ私。

 しばらくすると、前日の夢と同じく、アナウンスが流れて、電車がホームに入ってきた。

 車掌さんが安全確認のため、車外へ降りてきたのを尻目に、私は電車に乗り込む。




 ……そこで目が覚めた。

 昨日と似た夢だったなぁ。

 意味は全く分からないので、深く考えるのはやめておいた。


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