全ての正体
結構な量の資料が集まってきた。
全部確認してみよう。
『実験記録 1』
『実験記録 4』
『実験記録 7』
『観察記録』
『実験副産物 e-2』
『実験副産物 g-6』
ざっとこんなところか。
「結構抜けてるな」
アインが言った。
「ま、まあ、抜けている分はしょうがない」
何しろ僕もアインも、機械の操作は少しできるものの、得意というほどではない。
ひとまず、集まった分だけでも読んでみよう。
まずは『実験記録 1』を開いた。
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**実験記録 1**
これから実験を開始する。
『目的』
これからの国の未来のため、戦争に負けないような機械生命体を作り出す。
『実験体の作成および作成時の設計方針』
軍事用に作るため、攻撃面・防御面ともに高い性能を目指す。
知能面については、目的と関係のない行動を取るのを防ぐため、命令に従うことができる最低限の知能を持たせる。
『完成後』
実験終了時、つまり生命体が完成した後は、数ヶ月間観察を行う。
使用不可能と判断された場合は、即座に処分する。
この実験は非常に危険なため、場所は無人島に決まった。
しかし、現在この世界には人が住んでいない場所が存在しない。
そのため、この付近の島の中でも特に文明が進んでいない島を実験場所に選んだ。
だが、この実験は国家機密であるため、島の住民には一切知らせないことが決定された。
さらに、誰にもこの実験の存在を探られないよう、地図から島そのものを消すことが発表された。
この実験のため、およそ30人のベテラン従業員が集められた。
なお、従業員および研究員の生死は問わないものとする。
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「な、何だこの実験は……」
「聞いてないぞ」
「国家機密らしいから、当然だろうな」
それはともかく、この島の住民はかわいそうだ。
何も知らないまま、自分たちの島で勝手に実験が行われていたんだから。
しかも、地図から島の存在ごと消すなんて。
……あれ? でも、これだけのことで、どうして島はあんなに壊滅していたんだ?
もしかして、作った生物が暴走したとか?
もしそうだったら、僕らも危険だ。
でも、まだそうと決まったわけじゃない。
だから、次の資料も読んでみよう。
「アイン、次を見よう」
「わかった」
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**実験記録 4**
今回の実験も順調だ。
現段階では、まだ攻撃性を高めている途中だが、もうそろそろ最終段階に入れそうだ。
今回の実験では、……(変更点の説明)
という形にした。
これにより、力が大幅に上がり、また一歩完成に近づいた。
次回からは最終段階に入る。
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これは今の状況とは、あまり関係がなさそうだ。
「アイン、これは関係なさそうだ。次を見よう」
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**実験記録 7**
前回の実験で、知能面を完成させることができた。
今回からは防御面について取り組んでいく。
しかし、防御面には少々問題がある。
このベテラン研究員たちの中にも、銃弾を防げるほどの防御力を持つ生命体を作った者がいなかったのだ。
もちろん、少し硬い程度の皮膚を作ったことがある者はいた。
だが、それ以上のものはなかった。
こうして悩んでいたとき、新人というわけではないが、この集団の中では少し立場の低い研究員が一言こう言った。
「受けるんじゃなくて、通り抜けさせれば?」
すると、その場にいた3、4人の研究員が、同じようなものを作ったことがあると言った。
その人たちの証言をもとに、一度、防御力だけに集中して作ってみることにした。
そして、完成した。
完成品 e-2(別記事にて説明)
まるで影のない霧のような姿をしている。
知能も攻撃力もないため、置物のような存在だ。
そして、これをもとに、今までの実験結果を組み合わせて完全な完成品を作ることにした。
同時に、その完成品の名前も決められた。
『霧影』
これが完成品につけられる名前となった。
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霧影?
しかも、霧のような姿って……。
「ドコール、俺たちが見てきたのって……」
「ああ、多分こいつの完成品だろうな」
まずいな、これは。
この島の状況を見る限り、そいつが暴れた可能性が高い。
いや、待てよ。もしかしたら、安全な奴かもしれない。
……いや、安全だったら、外にあった死体の説明がつかない。
「これ、まずいんじゃ……」
アインが言った。
アインの言うとおりだ。
でも、一旦落ち着こう。
落ち着いて、次の観察記録を読もう。
何か弱点のようなものが書いてあるかもしれない。
「結構危ない状況だ」
「でも、うかつに外を歩いたら、もっと危なくなる」
「じゃあ、どうするんだよ」
「一旦、次の観察記録を読もう。何か弱点が書いてあるかもしれない」
「わかった」
僕は『観察記録 』を開いた。




