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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第五章 ルキソミュフィア救援
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第76話 古の記憶2

 グレアラシルの言葉に、書架に集まっていた面々が言葉を失っていると、台所で食事の準備をしていたミカゲとコーヒーを淹れていたソフィアステイルが戻って来た。

 皆が一様に変な顔をして固まっているのを見て、

「何なんだち?あちしの顔がそんなに変だちか?」

と、ミカゲが溜息混じりに呟く。

 その言葉を聞いたコレットは、

「あ、あのねミカゲ、実はグレアラシルさんに驚愕の事実が発覚しましてですね、それで皆が固まってしまった所だったの。」

と、簡単に説明する。

 ソフィアステイルも、

「何と!この私が居ない隙に重大な話の進行があったとは!解せぬ!私の居ぬ間に話が進み過ぎている事を許さんぞ・・・・」

何故か一人でかなり悔しがっていた。

 二人の言葉で少し場が和んだお陰で、セレスはようやく口を開く。

「大まかにまとめてみるけど、グレの幼少の記憶はつい最近つまりグレの年齢相応の過去ではなく、母さんが世界樹の守護者をやっていた頃~つまり今から100年以上前の記憶だったって事らしい。で、合ってるよな?」

 2人が台所で準備している間に進んだ話をまとめると、グレアラシルに確認を取る。グレアラシルはゆっくりと頷いた。

「100年以上前・・・確かこの間言ってましたね、レオルさんが世界旅行したくなったと言って姐さんに世界樹の守護者を代わってもらったのがトトアトエ戦役のちょっと前の100年前だとすると、それより前・・・もしかすると110年とか120年前とかなんすね俺の記憶は。」

そう言って頭を抱える。

 その姿を見ながらレオルステイルは、一つの仮説を思いついた。

 ライカンスロープの研究をしていた父親の様な存在と、ライカンスロープの子供。

 そもそもこの蒼壁の大陸にはライカンスロープは存在していなかった筈だった。

 この世界でライカンスロープが存在しているのは緑壁の大陸位だったか・・・・とレオルステイルは自身の記憶を辿る。

100年以上前のどこかの時代、自分はライカンスロープ的な存在に会っていなかったか・・・・と、過去の記憶を遡った。

「グレアラシルよ、一つ聞いて良いか?お主は小さい頃から基本的には人間で、変化するとあの小動物になってしまうのは間違いないのだな?」

神妙な面持ちでレオルステイルが訊いてくるので、グレアラシルはビクビクしながら何度も首を振った。

「ま、間違いないです。俺と言う個人の記憶では、気が付いたら変身出来ていたし何故か小さい動物になってしまう感じでした。ただ・・・・・」

「ただ?」

「腑に落ちないと言うか、しっくり来ない記憶の様な夢の様な風景が頭の中を過るんです。世界樹も大きいんですが、それに匹敵する大きな別の木や植物が生い茂っている所に、俺一人だけが佇んでいるんです。しかもその時の俺は理想的に変幻したらこんな感じのオオカミだったのかな?と言う感じで、結構イイ感じ何すよね~。」

グレアラシルは、オオカミの体躯の大きさを身振り手振りで表現しながら、羨望の眼差しを記憶の中に向けていた。

「ふむ。」

 レオルステイルは短い返事をすると思考を巡らす。

 グレアラシルの夢の様な、しっくりこない記憶と言うのがもしかすると、本来の過去の記憶なのかも知れないとレオルステイルは考える。

 もし、本来は普通のオオカミの様な姿に変幻出来るライカンスロープだったのだとしたら、どうして今の状態に陥ってしまったのだろう。

 ライカンスロープとしての変幻する能力は、何らかの方法で抽出することが出来たりするのだろうか・・・・などと、思考を巡らせた。

 レオルステイルが長考に入ってしまったのを確認したセレスは、

「母さんが長考しだすと3日位はあのままだからね。とりあえず食事にしよう。ミカゲ、取り皿を皆に分けてくれ。母さんは長考している時は何も食べないから、後で何か食べられる様に一人分にご飯を分けておいてくれないか?」

 情報が混むと混乱しがちなセレスだが、こう言う時はテキパキと周囲に指示を出せる点ではやはり、トトアトエ・テルニアの王としてやって来ただけあると周囲の皆は心の中で頷く。

 色々と情報が錯綜して何が何やら状態になっているこの状況下でも、冷静な判断を下せる人がいるのは、ある意味とても恵まれている事だった。

 セレスの指示に従ってミカゲは、

「分かったち!取り皿はココだち。端から回して行けば皆に渡るちよ。」

言いながら、小皿をテーブルの端を占拠していたベルフォリスに渡す。

「ほいよ!次はコレット!」

 グレアラシルとレオルステイルが情報交換している間に、別のテーブルに座っていた面々も大きいテーブルの方に集まって来ていた。

 コレットはベルフォリスに渡された皿を、更にその先に渡す。そうしていくうちに、全員の手元に取り皿が渡った。

「姉さんは長考中で固まってるから、皆は置物だと思って先に食べましょう。」

ソフィアステイルは姉の座る椅子を少しずらしながら、言った。

 椅子が動かされても平然と、まるで本当に置物の様に固まっているレオルステイルを見たコレットは、

「本当に凄い集中力ですね・・・・これはただの長考なんでしょうか?」

テーブルの上に並べられた料理を口にしながら呟いた。

「さ~てね。母さんの事だから多分、精神だけ過去に飛ばすとかよく分からない事やっている可能性はあるんだよね。過去に行けるのは『慟哭の門』だけだと思っていたんだけど、1000年を数えるほどに世界樹に繋がっていた母さんの事だから、何かしら特殊な力を持っている可能性もあるんだよね。ってこの辺は全然教えてくれないんだけど!」

コレットの呟きを聞いたセレスが、レオルステイルの長考の正体について軽く説明する。

「長考しながら時間を超越・・・?」

 コレットの、いや、『アリ・エルシア』の感がレオルステイルの状況について記憶を辿る。

 昔、似たような事が出来る人に会った事は無かっただろうか?と。

 しかし、遠い過去の記憶は未だ濃い霧がかかった様になって、脳裏に浮かぶことは無かった。

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