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復讐

「あぁ刑事さん。今日は何かありましたか」


「従業員の彦野さんはいらっしゃいますか」


「おーい、彦野君!」


 店主は彦野を呼びに行った。


「大野さん、まさかこんな展開になるとは思いませんでした」


 片山がやりきれない表情を見せている。


 彦野が二人の目の前に現れた。


「お忙しいところ、申し訳ありません」


「そろそろいらっしゃる頃だと思っていました」


 彦野は両手を真っ直ぐ差し出した。大野は署に同行を求めたのみだった。


 取り調べに対し、彦野は落ち着いて応じていた。内容は大野の読み通りだった。


 半年前彦野の母親は、川野主宰のサッカーチームの少年が乗る自転車にぶつけられた。転倒した事で大腿部骨折に至り、そのまま寝たきり状態となってしまった。


 彦野の母親は学校の養護教諭として勤め、事故の当日も、再任用としての勤務先からの帰路だった。


 目撃者が救護に当たり、警察にも届け出たが、結局現在のところまで発見に至っていない。しかし、事故後に彦野自身が川野へ、加害少年特定の協力依頼をしていたが全く取り合わなかった。


「挙句の果てに、『そんなに金が欲しいのか』と言われ、一万円札を床に撒かれました。私は犯した罪を認め、責任を求めただけだったのに…」


 取調室から出た大野と小林は、課長に報告した。


「やりきれないヤマだなぁ、罪のない人が運命を狂わされたんだ」


 課長は頭を抱えていた。


「殺す気は無かったようです。あくまで復讐と、このチームに社会的に注目を浴びせる為だった様です」


 小林が報告した。


「橋本さんを跳ねた車は見つかりませんか」


「それなんだがね、乗り捨てられているのが発見された。盗難車でね。県警も必死で追ってはいるが…」


 大野は決心した表情になった。


「課長、川野のところに行ってきたいのですが」


「大野さんの事だから、止めても行くんでしょ。まぁ上手くやってくださいよ」


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