大野の気づき
黒田と片山も戻ってきた。
「さすがに警戒したのか、今日は表れませんでした」
二人の顔に疲れの色が出ていた。課長が饅頭を人数分持ってきた。
「お疲れさんお疲れさん、これでも食べてよ」
「やだ課長、こんな時間に食べたらお肌が荒れちゃう」
黒田が笑いながら両手で頬をさする。
「じゃあ、黒ちゃんの分もらっちゃおっかなぁ」
片山が黒田の饅頭を取った。
「それはそれ、これはこれです」
黒田は片山の手にあった饅頭を頬張った。大野は二人のやりとりを笑いながら見ていた。
「課長、饅頭なんてどうしたんですか」
「鑑識の神戸課長から。もらったらしいんだけどさ、神戸さんは甘いの苦手だからって」
課長は饅頭を一口で頬張った。
翌日、大野の姿は署内の地域課にあった。
主任がパソコンで調べている。
「大野さん、これですかね」
データをプリントアウトした。
「ありがとうございます。これでヤマが動くかもしれません」
大野は部屋へ戻り、課長に報告した。
「なるほどなぁ。じゃあ保護者の線は…」
「まだ、可能性です。当たってみても良いですか」
「うん、お願いします」
「片山君、一緒に来てくれ」
大野は片山を助手席に乗せ、覆面パトカーである場所に向かった。道中、大野は考えを伝える。
「そんなことが…でも、考えられますよね。だとしたら、許せませんね」
「昨日の事故を見て、気づいたんだ」




